限定特典
休憩時間、社員食堂。
和:あれ、このおにぎり具がない。明太子のやつ買ったはずなのに…。
○○:はは、おばちゃんミスったんだろ。ハズレ引いたな。笑
和:…むぅ。
すると
先輩女:ねぇ、○○くんっ♪
○○:…はい?
和:…。
先輩女:(男性芸能人)って知ってる?
○○:ああ、知ってますよ。
先輩女:それがさ、今度(映画)っていう映画に出るんだけど〜
○○:はぁ。
先輩女:一緒に観に行かない?
和:!?
○○:えっ、なんで俺と?
先輩女:あのね、(映画)って少女漫画が原作のラブストーリーなんだけど
○○:はぁ。
先輩女:なんと!ペアシートで観たカップル限定の特典が配られるんだって!
○○:(テンション高ぇな。)
先輩女:ということで、彼氏のフリして一緒に観に行ってほしい。
和:!!?
○○:はぁ!?なんで俺が。
先輩女:なんで?後輩だからよ。先輩の命令には従いなさい。
○○:やばいなこの先輩。
苦笑いの○○。…と
和:…。
めっちゃ不満気な和。
先輩女:(やっぱ和ちゃん居ないとこで話した方がよかったか。)
すると
○○:…まぁ、別にいいですよ。
先輩女:おっ。
和:えっ!?
○○:映画代は(先輩女)さん持ちでしょ?
先輩女:もちろん。
○○:ついでにその後の夕飯も…?
先輩女:…しょうがないなぁ。
○○:あ、映画の前の昼飯も奢ってもらわないと俺空腹で映画館まで行けないかも。
先輩女:くっ、どんだけ奢らせる気だこいつ…まぁいいよそれで。
なんて話をしていると
和:…いいんですか?それで。
先輩女:えっ?
和:偽りのカップルで特典だけゲットして!それで嬉しいんですか!
○○:おいおい、どうした急に。
先輩女:…。
和:…よくないですよ、そういうの。(男性芸能人)さんにも失礼です。
先輩女:……たしかに。
○○:…。
先輩女:和ちゃんの言う通りだね。
和:…。
先輩女:…○○くんと正式に付き合えってことよね?
○○:はぁ?
和:えっ!?💦あ、いや…それは違くて…💦
先輩女:(めっちゃ動揺してんなこいつ。笑)
先輩女:うそうそ、冗談よ。笑
笑いながら和の肩をぽんぽんと叩く先輩女。
先輩女:諦める。よくないよね、嘘をつくのは。和ちゃんの言う通りだ。笑
和:…。
先輩女:じゃあね、食事中邪魔してごめんね。
そう言って、少ししょんぼりした様子で立ち去る先輩女。
○○・和:…。
その背中を見送り
○○:…映画の特典くらいであそこまで言わんでも。
和:だって…
和:(○○さんと(先輩女)さんが一緒に映画観に行くの嫌だったから…。)
和:○○さんが断らないからいけないんですよ。
○○:俺はまぁ…単にあの人の奢りで飯が食いたかっただけというか。ちょっと今月苦しくてな。笑
和:…だったら私が奢りますよ。
○○:ばかか。後輩に奢られても飯がマズくなるだけだわ。
和:むぅ…
すると
先輩女:ねぇ!見て!!
大急ぎで戻ってきた先輩女。
○○:どうしたんですか?
先輩女:これ!
先輩女が喜々としながら見せるスマホの画面には、映画の公式アカウントの投稿。
先輩女:限定特典、あまりにも人気で問い合わせが殺到したから、来場者全員に変更だって!
○○:へー、そんなことあるんですね。
先輩女:やっぱり(男性芸能人)の人気ってすごいのよ。ふふ♡
○○:はぁ…💧
先輩女:まぁそういうことだから。さっきの話は忘れて?
○○:はい。
先輩女:和ちゃんもね♪
和:…はい。
すると、○○に聞こえないようにこっっっそりと小声で耳打ち。
先輩女:大好きな○○くん、盗ろうとしちゃってごめんね♡
和:なっ!!?///💦
先輩女:ふふ♡
動揺する和を見て、にやにやしながら再び立ち去る先輩女。
和:(む、むかつく…あの女!!💢)
○○:…?