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ツイてないな

12月29日、年末年始休暇。


明日から実家に帰る予定の○○。


今日は自宅でのんびりバイクでも磨いていると


📱:prrrr...


○○:ん…?


○○:もしもし。どうした?


○○:えっ…?


――――――――――


綺麗になったばかりのバイクに乗ってやってきたのは、和の家。


ピンポーン


○○:…。


カチャ


○○:よお、大丈夫か?


和:…大丈夫じゃない。


○○:熱どんくらいあんの?


和:さっき計ったら8度6分だった。


○○:けっこうあるな。


寄り添うように歩きながら、部屋の中へ。


○○:とりあえず…これ。使えそうなもん買ってきた。


和:…ありがと。


○○:それにしても…ツイてないな、風邪引いてハワイ行けなくなるなんて。


和:…。


○○:社長は?


和:せっかくホテルとか飛行機とか予約したのに私のせいでキャンセルとかもったいないからお父さんとお母さんには行ってもらった。


○○:そっか。まぁそうだよな。


和:…○○は、何か予定あった?


○○:風邪引いた彼女の看病より大事な予定なんかねぇよ。


笑いながらそう言うと


和:…///


照れて少し俯く和。


○○:てか、喋ってないで寝ろ。寝りゃ治るから。


○○に促されるまま、ベッドに横になる和。


○○:熱さまシートあるけど、貼る?


和:…うん。


和がコクンと頷くと


○○:…ん。


そっと和の前髪をかき分け、おでこにペタッとシートを貼る○○。


和:…///


仕上げに、指でそっと押さえて丁寧に貼り付ける。


和:…自分で貼れたのに。


○○:…。


○○:腹減ったら言えよ、いろいろ買ってきたから。


和:(あ、話逸らされた。笑)


少し笑いそうになる口元を、掛け布団で隠す和。


和:○○は…今からどうするの?


○○:逆に聞くけど、どうしてほしい?


和:…。


和:…そばにいてほしい。


○○:…しょうがないな。


――――――――――


○○:…。


和が寝るベッドにもたれ掛かりながら、すぅすぅと寝息を立てる和のお腹の辺りを、子どもをあやすように優しくぽんぽんと叩く○○。


○○:…なぎ。


和:…zzz


○○:(…寝たか。)


○○:…。


○○:(…寝顔めっちゃ可愛いな。)


すやすやと眠る和をぼんやりと眺めていると


○○:…ふぁ。


○○:(やべ、眠くなってきた…。)


――――――――――


数時間後


和:○○っ…!


ベッドに突っ伏して爆睡する○○の腕をトントンと叩く和。


○○:んぅ…?


ハッと顔を上げる○○。


○○:おお…どうだ?調子は。


和:…ちょっと楽になった。


○○:そっか。よかった。


そう言って笑顔を見せる○○に


和:…///


思わずきゅんとくる和。


和:…お腹空いた。


○○:おかゆ食うか?レンチンのやつだけど。


和:食べる。


○○:じゃあ温めてくるわ。器借りるよ。 


和:うん。


数分後


○○:お前普段自炊とかしてるん?


和:まぁ…仕事の後疲れてなかったら。


○○:ふーん。


和:なんで?


○○:キッチン散らかってんなぁって思って。笑


和:うるさいなぁ…余計なとこ見ないで。


むっとした表情の和。


○○:ごめんごめん。笑


へらへらと笑いながら、温めてきたおかゆを和に渡す○○。


和:ふー…ふー…


和:……パク


和:…美味しい。


○○:まぁ、コンビニのやつだからな。笑


和:でも○○が温めてくれたやつだから。


○○:それ関係あるか?笑


――――――――――


気づけば、いつの間にか夜。


和:…帰るの?


○○:まぁ…着替えねぇし、シャワー浴びたいし。


和:…。


和:…すぐ戻ってきてね。


○○:はいはい。笑


――――――――――


数時間後、戻ってきた○○。


○○:よお、元気か?


和:…またちょっと熱っぽい。


○○:薬飲んでさっさと寝るしかないな。


和:その前に熱さまシート貼り直して。


○○:自分で貼れるんじゃないんか。笑


和:…。


○○:はいはい、貼りますよ。


すると


📱:prrrr...


○○:…あ、ちょっと待って。親から電話かかってきた。


立ち上がりベランダへ出る○○。


和:?


○○:もしもし。あー…、うん。いや、明日なんだけど…


和:…。


なんとなく聞こえてくる会話を、思わず聞いてしまう和。


○○:彼女が風邪引いてて看病するから帰るのやめるわ。


和:!


○○:え?ああ、また落ち着いたら帰る。


その後も少し喋って電話を切り、戻って来る○○。


○○:外寒いわ。笑


和:…一緒に布団入る?暖かいよ。


○○:アホか、風邪うつるだろ。笑


和:…○○。


○○:ん?


和:…ありがと。


○○:…。


○○:礼言う暇があるならはよ寝ろ。


和:…ばか。


――――――――――


真っ暗な部屋の中。


ベッドのすぐ下で、和が貸してくれた毛布に包まって横になる○○。


○○:…めっちゃなぎのにおいがする。


和:…だって私のだもん。


○○:まぁ…そりゃそうか。


和:…○○。


○○:ん?


和:…おやすみ。


○○:ああ、おやすみ。