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キャッチボール

乃木坂高校、本日は放課後に部活動の代表者会議。


○○:あ〜…練習出たいな。


彩:だめだよ?キャプテンなんだからこういうのもちゃんとやんないと。


○○:…わかってるって。


野球部からは、○○と彩が出席。


すると


友達女:あっ、池田も出るんだぁ♡


吹奏楽部の代表として出席の、友達女ちゃん。


○○:そうだよ。(友達女)も?


友達女:うん。大変だよねぇ…放課後にさぁ。


○○:ほんとなぁ。


話をしながら、彩とは反対側の○○の隣に座ろうとすると


彩:…そこサッカー部の席だよ?


友達女:えっ?これ席決まってんの?


○○:あそこじゃない?吹奏楽部。


ちょっと離れた席を指差す○○。


友達女:あっ、ほんとだ。ありがとう教えてくれて♡お互い寝ないように頑張ろーね♡


○○の肩をポンと叩き、自分の席に向かう友達女に


彩:…。


ちょこっとだけイスをずらし、○○に近寄る彩。


…まるで、この席は自分のものだと主張するかのように。


――――――――――


その後、代表者会議がスタート。


会議といっても…面倒な座学ばかり。


先生:え〜…部室の使用に関してですが…


○○:…。


寝ずにちゃんと話を聞いてる○○。


○○:部室も1回ちゃんと掃除したいよなぁ。


彩:散らかってるもんね。笑


○○:小川と一ノ瀬にお願いしようかな?


彩:いいけど…変なモノ出てこないよね?笑


ヒソヒソ声で話す2人。


彩:…///


自然と距離が近くなり…思わず照れる彩。


○○:何だよ、変なモノって。笑


彩:え〜?笑


そのまま、先生の話は進んでいき


先生:そしてですね、みなさんには我が校のホームページやパンフレット、校内新聞等に載せるための各部のPR文を作成してもらいたいので…


○○:(うわぁ、めんどくさそうなの来たな。)


先生:期間は今月末までということで、よろしくお願いしますね。


その後もいろんな話があって、会議は終了。


○○:PR文かぁ…何書く?


彩:んー…目標とか、どんなチームか…とか?


○○:あー、なるほどな。


彩:去年のやつとか参考にしよーよ。あやも一緒に考えるから♪


○○:おっ、よろしく!


そんなはなしをしながら、部屋を出ようとすると


友達女:池田ー、帰るの?一緒に帰ろーよ。


彩:…!


○○:いやいや、今から部活行くよ。


友達女:今から!?もうけっこう遅いのに?


○○:そうだよ。


友達女:…彩も?


彩:もちろん!


ちょっと強調して言う彩。


友達女:そっかぁ…じゃあ、また月曜ね?


彩:うん。


○○:おう。


友達女:ふふ、部活頑張って♡


○○に向けて、にっこりと笑う友達女ちゃんに


彩:…。


悔しいけど、ちょっぴり可愛いなと思っちゃう彩でした。


――――――――――


その後


○○:うわ、雨降ってんな。


彩:今日天気予報雨になってたっけ…?💦


雨の中、遅れて2人で部活に出席。


しかし


○○:あれ、終わり?


△△:ああ。雨降りだしたし、明日練習試合だからって、今日はもう切り上げることになった。


○○:…そっか。


△△:どうだった?会議は。


○○:ああ…えっと、そうだな。


みんなを集めて、報告。


○○:…で、まぁPR文は俺と小川で考えるから、部としての目標をここで決めたいんだけど、みんなは何がいい?


わいわいがやがや、話し合った結果は…もちろん、『甲子園出場』。


○○:よし、じゃあ…目標達成のためにみんなで頑張ろう!


おー!という気合いの入ったかけ声と共に、輪が解ける。


部員それぞれが、家路につく中


彩:あれ、帰んないの?


○○:ちょっと室内(練習場)で身体動かしてから帰る。何もしないのは気持ち悪いし。


彩:…そっか。


それを聞いていた△△。


△△:あ、じゃあ…


“俺も付き合おうか?”と、言おうとした瞬間


彩:…あやも行っていい?


△△:!


○○:えっ?ああ、うん。でも帰んなくて大丈夫?


彩:うん、大丈夫!


△△:…。


黙って、帰りの支度をする△△でした。


――――――――――


室内練習場。


軽くウォーミングアップをして、ティーバッティング。


彩がティースタンドに置いた球を、竹バットで黙々と打ち返す○○。


乾いた打球音が、心地よく室内に響く。


振り切って、体勢を戻す際…彩とぱちっと目が合う。


○○:…なんか照れるな。笑


彩:えー?


照れ隠しをするかのように、スタンドに置かれた球を打ち返す。


彩:…照れるんだ。笑


どこか嬉しそうに…はにかむ彩。


そこから、何球か打った後


○○:ふー…。


一旦休憩して、汗を拭う○○


彩:…。


そんな○○を、じーっと見つめる彩。


○○:…どうかした?笑


彩:えっ…?あっ、ううん…!///💦


見てたのがバレて、赤くなる彩。


○○:あっ、もしかしてもう帰りたい?


彩:え!?いやいや、全然!


彩:いくらでも…付き合うから♡


○○:小川…。


そこから、ひたすらにバットを振り込み


○○:あー…疲れた。おしまい!


彩:ふふ、おつかれさま♡


2人で球を拾い集める。


彩:…ねぇ?


○○:ん?


彩:キャッチボールしよう?


○○:え?ああ…いいよ。


球を全て拾って、グローブをはめ


○○:行くよ。


彩:うんっ!


○○が投じたふんわり山なりボールを…


彩:…あっ。


捕球ミスして、後ろに転がってくボールを拾いに行く彩。


彩:えいっ!


拾った球を投げ返すと、○○の手前でバウンドして、グローブの中へ。


ボールをついた土を落として…もう一度。


すると


ぱすっ


彩:あ!見てっ!捕れた♡


○○:おー、ナイスキャッチ!


にっこりと笑う○○。


その…、胸を目掛けて投げ返す。


彩:えいっ!


○○:おっ。


すると、○○の胸元へストライク。


○○:ナイスボール!


彩:へへっ。


そこから、2往復…3往復。


ふんわりした軌道のボールが、互いの胸を行き来する。


彩:ふふ♡あや、上手いでしょ♡


○○:うん。上達するの速いね!


彩:…へへ、褒められた♪


にこにこしながらキャッチボールしていると


○○:よし、来い!


キャッチャーのように座って構える○○。


彩:よーし…!


彩と○○の、“初バッテリー”。


大きく振りかぶって、足を上げて…


彩:そりゃっ!


彩が投じた一球は、ぱんっという捕球音と共に、ストライク。


○○:おー、いい球!


彩:へへ、よっしゃ♪♡


――――――――――


練習を終え外に出ると、空はすっかり真っ暗。でも、雨は上がっていた。


○○:ありがとね、付き合ってくれて。


彩:いーえ♪


制服に着替えて、帰り道。


彩:雨、止んでよかったね。


○○:そうだなぁ。


並んで歩く夜…雨上がりの風が冷たく感じる。


○○:寒いな。笑


彩:ね。


ちょっと近づいて歩く2人。


彩:…。


隣の○○の…横顔を見上げ


彩:…ねぇ、池田くん。


○○:んー?


呼ばれて、彩の方を見る○○。


彩:…///


彩:…やっぱなんでもない。笑


○○:なんだよ。笑


思わず笑ってしまう○○。


そこから…他愛もない話をしながら歩く、帰り道。


彩:…///


ほんとは…手を繋いだりしてみたいけど、勇気が出なくてそれは出来なかったので


○○の制服の袖を…ちょこっとだけ摘んで歩く、彩でした。