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夢の国

2月17日。


今日は、和の19歳の誕生日。


そんな2人が今居るのは…


夢の国。


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開門前。


和:ふぁ〜あ…。


○○:なんだよ、大あくびして。


和:…昨日パパとママとご飯行くって言ったじゃん?


○○:うん。


和:その後お家帰って今日の準備したんだけど…


和:…楽しみすぎて全然寝れなかった。


○○:小学生かよ。笑


和:…しょうがないじゃん。夢だったんだから。


和:彼氏と…ディズニー来るの。




そう言って、照れくさそうに○○を見上げる和。


○○:…そっか。


あくまでも、冷静に…和に向かってにこっと微笑む○○。


今日は…かっこいい彼氏でいたいから。


○○:てか、人多いな。当たり前かもしれないけど。


和:ね。ほんとそれ。


人混みを見ていると


和:あー、制服ディズニーとかもよかったな。


○○:あー、19ならまだいけるんじゃない?


和:いやいや、○○も。笑


○○:やばいだろそれは。笑


苦笑いの○○。


和:じゃあ…スーツ?


○○:仕事思い出すからやだ。


和:むぅ…わがまま多いなぁ。


○○:(私服じゃだめなのか。笑)


そんなこんなで、開門。


○○:絶対はぐれるなよ。


和:ふふ、こっちのセリフ♡


そう言って、○○の手をぎゅーっと握る和。


いざ、夢の国へ―――


―――――――――――――――


入園。


和:お城の前で写真撮りたいかも。


○○:ああ、いいな。


ということで、撮ってくれる人にお願いして


撮ってくれる人:いきますよー。はい、ちーず…


シャッターの瞬間、ぺとっと○○にくっつく和。




○○:ありがとうございました。


和:ありがとうございましたー♡


撮ってもらった写真を見ると


○○:(あー、やっぱなぎ可愛いな。)


和:(○○かっこつけてる。笑)


まずは最初の思い出完成、な2人でした。


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せっかくなのでバースデーシールも貰って、お目当てのアトラクションの待機列。


和:嬉しい。これ欲しかったんだー♪


“なぎちゃん”と記されたバースデーシールを見て嬉しそうな和。


○○:なんでちゃん付け?


和:えー、童心に返りたいじゃん。笑


すると


和:あ💡じゃあ○○も園内ではなぎちゃんって呼んでね♡




○○:なんでや。笑


苦笑いの○○。一応、試しに


○○:…なぎ?


和:…。


○○:…なぎちゃん。


和:なにー?♡


無視、からの満面のにこにこ。


○○:(くぅ…///)


名前を呼んだので、何か言わねば。ということで


○○:…誕生日おめでと。


和:ふふ、ありがと♡


浮かれ気分の2人でした。


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アトラクションを終え


和:楽しかったー♡


にこやかな和と


○○:いやぁ…すごかったな!


興奮気味の○○。


そんな○○を見て


和:…よかった、○○も楽しんでくれてて。


○○:えっ?


和:○○がディズニーってあんまイメージ湧かなかったから。笑


○○:お前俺を何だと思ってるんだ。笑


そう言って笑いながら


○○:なぎと一緒なら…どこだって楽しいよ。


そう、和の目を見て言う○○に


和:えっ…///


思わずニヤけてしまう和。


○○:あ、間違えた。“なぎちゃんと一緒なら”か。笑


和:…。


○○:…無視する設定忘れてたろ。笑


和:うるさいなぁ…!さっさと次行こ!


○○:はいはい。笑


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いい感じにアトラクションに乗ったら、グッズも買って…食べたい物を食べる。




和:これ食べたかったんだー♡


そう言って、美味しそうに頬張る和(可愛いカチューシャ付き)に


○○:くぅ…可愛すぎるな。


もはや心の声が小声で盛れちゃう○○。


せっかくなので


○○:なぎちゃんこっち向いて?


和:ん!




スマホのカメラで1枚ぱしゃり。


○○:ああ…めっちゃいい!


ご満悦の○○。


和:ねー、一緒に撮りたい!


○○:しょうがないな。


ということで和の隣に移動してインカメで自撮り。


…実は、○○の頭にもカチューシャが。


和:あはは、○○可愛い!笑


○○:…恥ずいんだけど。


和:ぜーったい取っちゃだめだからね!♡


○○:…はい。


メンターの面影などまるでないくらい、従順な○○でした。


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次の目的地に向かう途中。


和:○○。


○○:ん?


振り向きざまを、ぱしゃり。


和:へへ、撮ってやったぜ。笑


不敵な笑みを浮かべる和に


○○:俺単体で撮ってどうすんだよ。笑


和:あとで見返す♡


そう言ってヘラヘラ笑いながら、調子に乗って連射。


○○:やめろ!笑


和のスマホのカメラを手で塞ぐ○○。


和:見て、いっぱい撮れた。


笑いながらカメラロールを見せる和。


○○:いくら何でも撮りすぎだろ。


和:ふふ、(先輩女)さんに送りつけよっかな♡笑


○○:なんでだよ。笑


思わず笑ってしまう○○でした。


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その後もなんやかんやしているうちに、楽しい時間はあっという間に過ぎていき…夕暮れ時。


偶然、喫煙所の前を通りかかった2人。




和:そういえば全然行ってないけど、大丈夫?


○○:大丈夫。それに、待ってる時間無駄だろ?


和:…我慢しなくてもいいよ?


○○:ありがと。でもほんとに大丈夫だから。なぎを…なぎちゃんを1人にするのも嫌だしな。


律儀に言い直す○○にきゅんとしつつ


和:別に迷子になったりしないよ?


○○:まぁ…他にもあるだろ、変な奴に絡まれるとか。


和:あはは。ないって、そんなこと。


○○:そんなのわかんないだろ。


和:…じゃあ、もし仮に私がナンパされてたら助けてくれる?


○○:当たり前だろ。


和:それはそれで見てみたいかも♡


○○:…ばか。


和:えー?


○○:彼女をナンパから助ける彼氏もかっこいいかもしれないけど、俺はそもそもそういう機会を作らない彼氏になりたいから。


和:○○…


和:…かっこいい♡


そう言われると、急に恥ずかしくなってきたのか


○○:…腹減った、さっさと飯食い行こ。


歩調が早くなる○○に


和:あー、もう!待って!笑


慌てて追いついてぎゅっと手を握る和でした。


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園内のレストランでディナー。


お洒落な雰囲気に、豪華な食事…そして、誕生日ケーキ。


和:…夢見たい。ちょっとこれは幸せすぎる。


○○:そっか、それはよかった。笑


嬉しそうな和を見て、嬉しそうな○○。


でも、幸せの裏には…気になることも。


和:私、今日だけこんなにいっぱい幸せ貰っちゃってさ…。


○○:うん。




和:お金、大丈夫…?


けっこうほんとに心配そうな和に、思わず笑ってしまう○○。


○○:あのな、それはこの世で1番野暮な質問だぞ。笑


和:だって…


○○:あのなぁ…俺だってそんなバカじゃないし、なぎちゃんの嬉しそうなとこ見たら俺も嬉しいから、これでいいんだよ。


和:…そっか。ごめんね?


○○:じゃあ…わかってくれたところで、これ渡しとこうかな。


そう言って、小箱を取り出して


○○:改めて…誕生日おめでとう、なぎ。


和の目を見つめてそう言って、小箱を手渡す。


和:プレゼント…!開けていい?


○○:もちろん。


わくわくしながら小箱を開けると、中身はシルバーのネックレス。




和:わっ、可愛い…!!


嬉しそうな和を見て、少し安堵する○○。


○○:…ヨーロッパの方の言い伝えでな。


和:…?


○○:19歳の誕生日に、幸せの願いを込めてシルバーのアクセサリーを贈られた女性は…本当に幸せになれるらしい。


和:…。


○○:だから…俺もなぎの幸せを願って、それにしてみたんだけど。


○○:気に入って…くれた?


和:うんっ…!


思わず…○○の顔をじっと見つめてしまう和。


和:○○も…そういうこと考えてくれるんだね。


○○:まぁ…ぶっちゃけ何にしようかめちゃくちゃ迷って調べたからなぁ。見つけた時“これだ!”って思った。笑


そう言って笑う○○に


和:ありがとう…○○。


和:○○が私のためにいろいろ調べたり考えたりしてくれてる時間が…1番幸せだよ。


和:もちろん今日だけじゃなくて…出会ってから、ずっと。メンターの時も…彼氏の時も。


和:…大好きだよ、○○。




○○:なぎ…///


和:…///


○○:…あっ。


和:?


○○:なぎちゃんって言うの忘れてた。笑


和:あ〜!もう…、こらっ♡笑




互いに笑顔になる2人。


そんな些細なことで笑い合えることこそが…幸せなのかもしれません。


―――――――――――――――


最後は、ナイトパレード。


日中は暖かかったとはいえ、冬の夜はやっぱり肌寒い。


それでも、腕を組んてぴたっと身を寄せ合い


子供の頃のように無邪気な気持ちで過ごす時間は


あっという間に…過ぎ去っていくのだった。


―――――――――――――――


そして…帰り道。


和:…終わっちゃった。


○○:あっという間だったな。笑


和:…。


和:…○○。


○○:ん?


和:今日はさ…


○○:…。




和:○○のお家に帰りたい。


○○:…ああ。


○○:…いいよ。


―――――――――――――――


そして…○○の家。


和:おじゃまします♡


○○:おう。


荷物を降ろし、一息。


和:疲れた。笑


○○:まぁ…けっこう歩いたしな。風呂入るか?


和:うんっ。


とはいえ、パジャマを持ってきていなかったので、そこは○○の服で代用。


和:…覗かないでよね。笑


○○:覗くか。はよ入れ。笑


そんなやり取りの後…和がお風呂がお風呂に入っている間、パパッと部屋を掃除する○○。


それから、しばらくして


和:上がったよ。


○○:おかえり。


大きめでダボダボな○○の服を身にまとい




和:似合う?笑


○○:似合ってはないけど、彼女感はある。笑


和:…“感”じゃなくて彼女だしぃ。


そう言ってちょっと拗ねたような表情をしてみせる和に、きゅんとくる○○。


○○:俺も風呂入ってくるから、適当にのんびりしといて。


和:わかった。いってら。


○○を見送り、ソファに腰を降ろし


和:(これが○○の部屋かぁ…)




和:(…へへ。)


部屋の中を見渡し


ソファに横になってみる。


和:(ふかふかしてて気持ちいい。)


和:ふぁあ……


疲れた身体もお風呂でぽかぽかになり、睡魔に襲われる。




和:…。


寝ちゃダメだと思いながらスマホを開き、今日撮った写真たちを眺めて余韻に浸る。


しかし、それでも…


和:…zzz


あっさり寝落ちしてしまう和。


それから、少しして


○○:ふぃ〜…。


お風呂から上がってきた○○。


○○:…あれ、なぎ?


○○:…。


○○:…なぎちゃん?


ちゃん付けしても返事がない…すると、ソファで爆睡する和を発見。


○○:…寝ちゃったか。笑


可愛い寝顔に、癒やされる。


○○:ったく…風邪引くぞ。


ベッドに毛布と布団を取りに行き、そっと和にかける。


○○:…おやすみ。


2、3回ぽんぽんと頭を撫で、部屋の電気を消し…ベランダへ出る。


○○:ふぅ………。


今夜は、上弦の月。


夜空に輝く美しい月を眺めながら一服する○○の顔には


充実感と…幸福感が、満ち溢れていた。