信念と承認欲求の綱引き
書籍出版の依頼を断った、という話のツイートをした。
30歳までに本を出す目標があった当時、書籍出版の依頼は絶好のチャンスだった。
にも関わらず結果的に断ったのは、「信念」にそむく依頼内容であったから。結論を出すまでに悩んだ状況は、「信念と承認欲求の綱引き」が適した表現だったと思う。
ここでいう「信念」とは、私の美容整形に対する思いそのものを指す。
「整形をする」と聞いても、あまりピンとこないかもしれないが、美容整形をうけるまでには複雑な過程があり、さまざまな感情が入りくむ。
容姿に悩み、クリニックをかけまわり、どのクリニックにするか悩み、勇気ある決断をして手術台にのる。麻酔をされ、痛みに耐えて、切られ縫われ、術後の痛みや腫れを回復するのをじっと待ち、本当にキレイになれるのか不安をかかえる。
「整形をする」とは、この過程をくぐり抜けてまで美しくなりたい、変わりたい強い気持ちを持つ、ということなのだ。
さらに「顔」は、人生に関わる。
美容整形の結果ひとつで人生がよい方向に変われば、悪い方向に変わってしまう。「人生を左右する重要な施し」が美容整形なのである。
次に、承認欲求とは「本を出版する」を指す。
本を出版するのは、これまで文章に費やしてきた時間や努力が認められる瞬間であり、大勢の人に名を広められる絶好の機会。依頼内容に疑問をいだいても、むしろお金を払ってでも欲しいチャンス。
承認欲求をみたすために、信念をまげてまで出版するか否か。
両者が行ったりきたり、ああでもないこうでもないと、心の中でおこなわれる葛藤は、互いにひっぱりあう「綱引き」そのもの。
恥ずかしいことに、承認欲求がでしゃばり、一度信念が負けてしまったのは正直に話しておく。
本の依頼があった経緯を先方に迷惑がかからない程度に説明しておくと、
・整形を肯定する本を出したい
・そのため整形に詳しいライターを探している
・あなたの名前で書くかどうかは未定
・詳しくは上と相談するけど、どう?
当初の依頼は、こうだった。
私は美容整形をくり返してきた身であり、そのかたわらライター業をしている、依頼に適した組みあわせ。
編集者との打ち合わせで、イエスかノーかの選択を迫られたとき、
『30歳までに、自分の名前で本を出版したい目標がある。自分の名前で書けるなら書く。名前が出ないなら書かない』
と、返事をした。
後日連絡があり「書いてください」とのことだったけれど、みぞおちの辺りに感じる不快感から、断ることにした。
その不快感の正体は「本の中で具体的なクリニック名を紹介して、読者に行動を促したい」という、先方の依頼に対してのものだった。「ここなら間違いない」と言えるクリニックを出したい、とも。
紹介するクリニックはもちろん、こちらに決定権はない。大人の事情で掲載するはめになるであろうクリニックは、いくつか予想がついた。
そのクリニックに対して、いい印象はない。
現実世界で、たとえば友人に対して紹介できるクリニックかと聞かれたら、断じて「NO」である。私が手術をうけて満足しているクリニックであったとしても。
私がよい結果になったからといって、手術の決断は本人であれ、医師が最善をつくしても、100%なにも起きない保証はない。
顔のわずかな変化で、人生が変わる。本を通してであっても、人さまの顔に責任を持つなど容易ではない。
ファッション雑誌の片隅にもクリニックの情報が記されている今、こう考えるのは「考えすぎ」かもしれない。クリニックは行くか行かないかは、自己責任。「紹介したけどあとは知りません」と、もう少し頭を柔らかくしてもいいのかもしれない。
ビジネスとして、紹介したくもないクリニックを紹介することになるであろうモヤモヤ感。その本を、私の名前で出す責任。
一時的な承認欲求のために、信念をまげてまで出版して、この先後悔しないだろうか。これまで応援してくれた人たちを裏切るようなことをして、本当に後悔しないだろうか。
信念の声に耳をかたむけてみると「1ミリでも後悔する可能性があるならするな」と、言っている。
だったら、信念に従うまで。
一度依頼をうけたのは、私の信念が承認欲求に負けた瞬間。でも、あらためて依頼を断ったそのとき、承認欲求よりも信念がまさった瞬間であった。
(カッコよく聞こえるかもしれないけど、心臓をバクバクさせて、若干震えながら、ろれつが回らずに断りの電話を入れる様子は無様だっただろうし、「あっ、そうですか」と冷たくあしらわれたショックに、しばらく落ち込んでいた)
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