夜の世界に戻った私は、記憶に爪痕をのこす男性達と出会う
大学時代の女友達との飲み会をぬけ、クラブの体験入店へ向かった。
店を出ると、肌を指すような師走の空気が頬をなでた。黒い空にはにごりがなく、肺まで清潔にしそうなほど湿気のない空気だった。
金銭的な余裕がほしい。毎日同じことのくり返しで、あり余ったエネルギーを発散したい。刺激がほしい。これが体験入店の目的だった。女友達とは、本音をぶつけ合える関係ではない。飲み会が盛りあがってきた真っ最中に「大切な予定が入った」と告げ、急用をよそおって抜け出してきた。
初めての夜の世界……と