末期癌で介護をうけていた父は夢のなかで「立てるよ」と言った
13年前に亡くなった父と再会した。夢の中で。
小腸の末期癌にはじまり、肺や胃に転移した。せめてもの救いのように眠るような最期だった。
父は木製のなにかに腰掛けていた。
でも、ここはどこかはわからない。寂しくはなく、明るく、暖かい場所であるとは理解できる。腰掛けている彼の姿は、現実と間違えるくらいリアルだった。
サテン生地のブラウンのスーツに、紺のシャツを着ている。私はその姿を彼の頭上から見ている。立った形で父を見下ろしているのだろう、と思った。
よそよそしく、いくつ