【私的感想】vsパナシナイコス UEFA Conference League 10月25日
10月25日に行われたUEFA Conference Leagueのパナシナイコス戦のマッチレビューをしていきます。
スコア:CHE(4)- PNN(1)
得点者CHE:フェリックス、ムドリク、フェリックス、エンクンク
得点者NOF:ペリストリ
カンファレンスリーグは控えメンバーで臨んでおり、この試合も同様にリーグ戦では出場機会のない選手で構成されたメンバーとなった。この試合の注目ポイントはマレスカ監督就任後初となる、エンソの底起用。この試合では攻守に走り回りこのポジションがベストなんだと感じさせるパフォーマンスを披露した。そのほかには直近のリヴァプール戦でベンチ外となってしまったムドリクがMOMの大活躍。ネトやフェリックス、エンクンクと攻撃陣が軒並み結果を残し、サブ組の熟練度も徐々に上がってきている。
MOM:ムドリク(CHE)
この試合のMOMはムドリク。1ゴール2アシストの大活躍。昨シーズンに多く見られたドリブル時のボールタッチの悪さは大きく改善されており、本人も自信を取り戻している。特にベンチ外となったリヴァプール戦ではサンチョがハーフタイムで交代となるなど微妙なパフォーマンスだっただけにこの調子が続けばリーグ戦での出場機会にも恵まれそうだ。得点シーンではしっかりゴール前に顔を出し、今まではサイドに張ったままだった点が大きく改善、守備でも失点シーンこそ戻りきれなかったが、その後のシーンではしっかり戻り反省している様子も見受けられた。
1点目:ジョアン・フェリックス(CHE)
中盤でボールを拾ったデューズバリーホールがネトとのワンツーから前を向き、すぐに同数になっていた前線へフィード。これをフェリックスが頭で落とし、左サイドのムドリクへ。ドリブルでペナルティエリア内に侵入し、相手も下がったことでフェリックスへのパスコースができた。すかさずパスを選択。フェリックスもこれをワンタッチでゴールに流し込み先制に成功した。マレスカのサッカーでよく見られる縦への意識の高さが得点を生み出した。マレスカはビルドアップ時に相手を誘い出し、ディフェンスの枚数とオフェンスの枚数が同数または優位になると、すぐに縦につけ、スピードアップする。その結果、ウイングが仕掛けるスペースを生み出し、1体1に強いウイングが揃っているチェルシーは簡単にシュートチャンスを作ることが今シーズン得点を量産できている一つの要因であろう。
今回もその意識が得点につながった。
2点目:ミハイロ・ムドリク(CHE)
ネトが右サイドでカットインからのアーリークロスを狙っていたところ、近くにいたデューズバリーホールとのワンツーで裏へ抜け出す。この時のファーストタッチが素晴らしく、スピードに乗りつつ、中の状況も確認できる状態に。フェリックスとエンクンクはマイナスで被ってしまうが、大外からムドリクが中に入ってきてクロスを頭で押し込む。これで追加点。
マレスカ監督は就任以降、この後半立ち上がりからの得点率が非常に高く、前半で相手の穴を見つけ、すぐにつける戦術の持ち主であることを示している。ネトも逆足でのクロスではあったが、素晴らしい精度を披露。マドゥエケにはない特徴を披露し、アピールに成功。
対してフェリックスとエンクンクにはもっと積極的に中に飛び込む姿勢を見せてほしい場面でもあった。
3点目:ジョアン・フェリックス(CHE)
ネトからのクロスに対して、相手のクリアが短くなったところをムドリクが回収。後ろでもらう動きをしていたフェリックスが中へ動き直し、そこにムドリクからのパスが通る。少しペナルティエリアの外のエリアから右足を振り抜くと、これが相手DFに当たり、ボールはゴールへ吸い込まれた。
空いたスペースを見つけて動き直したフェリックス、そこに素早くパスを供給したムドリクの個人技が光る得点となった。
4点目:クリストファー・エンクンク(CHE)
フェリックスが左サイドを持ち上がり、ペナルティエリア内のエンクンクや楔のパスを入れたところ、相手DFの手に当たり、PKの判定。
これをエンクンクが冷静に流し込み4点目となった。
5点目:ペリストリ(PNN)
途中出場のテテが右サイドでボールを持つと、ククレジャと1体1の場面となる。この段階でムドリクが戻り切れれば良かったのだが、右サイドを駆け上がってきたバギアニディスへパス。テテのカットインを警戒していたこと、CBがサポートに入っていると感じていたククレジャはこのパスに遅れをとってしまい、バギアニディスはフリーに。グラウンダーのクロスに逆サイドのペリストリが合わせて1点を返した。
このシーン、まずはムドリクがテテの対応に戻れていればスライドでバギアニディスにはククレジャがつけており、ピンチにはならなかったであろう。
次にこの試合、CB兼ビルドアップ時はボランチとして出場していたヴェイガ。CBでの経験が少ないこともあり、カバー対応に遅れてしまう。ラインを気にしていたのもあるかもしれないが、スライドの指示を出しても良かったのかもしれない。
最後はバディアシル。この試合ビルドアップや守備対応は素晴らしかったが、この場面では最後まで相手を追うことができておらず失点。4点リードの試合展開で選手の中に少し油断が生まれていたのは間違いないだろう。
このような試合でクリーンシートで終えられれば良いのだが、ディフェンスリーダーとしてチームを締める役割を誰がやるのか今後は注目していきたい。
各選手の評価(10点満点)
フィリップ・ヨルゲンセン 8.0
試合開始直後のセットプレーからのヘディングを防いだセーブがこの試合1番のビッグプレーだった。あのセーブがなければ試合展開は大きく変わっていたであろう。ビルドアップでも不安な点はなく、しっかり足元につける技術はさすがだ。失点こそしてしまったものの、その他は安定した活躍。このようなセーブを続けていけばスタメン奪取も近いのかもしれない。
アクセル・ディサシ 7.0
今期は慣れない右SBでの出場が続くが、大きなミスはなくこなせるようになってきた。ビルドアップ時は3バックの右になることで選択肢も多いのが要因だと思う。攻撃時は一度ペナルティエリア内でテクニックを見せ、シュートまで持っていくシーンもあり、ムードメーカーとして欠かせない存在になってきている。
ブノワ・バディアシル 7.0
先述の通り、失点シーンは改善の余地ありだが、この試合では変な判断ミスがなく、安定したビルドアップを披露。ディフェンスラインでの素晴らしいビルドアップの数々にしっかり貢献しており、ダイレクトでのパス精度はさすがの技術を見せていた。あとは判断ミスをこの試合のようになくせればコルウィルの良きライバルとして凌ぎを削ってくれそうだ。
レナト・ヴェイガ 6.0
前節のカンファレンスリーグでの印象が強かったこともあり、この試合は落ち着いた印象。体格を生かしたディフェンスで相手を苦しめ、ビルドアップも難なく貢献。さまざまなポジションでの起用が増えているが、堅実にこなせており、便利屋状態になってきている。今後スタメンを奪っていくためには長所もしっかりと見せていきたい。
マルク・ククレジャ 7.0
リヴァプール戦に彼が不在だったことがどれだけ痛手だったのかはっきりとわからせるパフォーマンスを披露。相変わらずの対人守備に加え、試合終盤になってもプレスを続けられる運動量、ビルドアップ能力も素晴らしいの一言。この試合フル出場してしまったが、次のリーグ戦では先発を期待したい。
エンソ・フェルナンデス 8.0
本職の中盤底でのプレーは彼をワールドクラスの選手だと再認識させる機会となった。インサイドハーフとしてのプレーもレベルは上がってきていたが、私たちが見ていた彼のスーパーな部分を再認識させてくれた。中盤の底からのロングフィードで局面打開できるだけでなく、ショートパスからも打開でき、この試合多くのチャンスを創出。あえて相手を誘い出しビルドアップする機会が多いマレスカサッカーにおいて、このポジションに彼がいることは多くの選択肢を生む。今後カイセド、ラヴィアもいる中、どんな選択をマレスカが下すのか見ものである。
キーナン・デューズバリーホール 7.0
徐々に当確を表してきた彼はこのカンファレンスリーグのメンバーにおいて、異質な個性を放っている。レスター時代と違い決して中心選手ではないチェルシーにおいても見事な黒子役を披露。ほしい時にサポートに来ているだけでなく、セカンドボールにもよく顔を出しボールを回収。自分の役割をしっかり認識し、マレスカボール経験者として一味違う部分を見せている。
ジョアン・フェリックス 9.0
カンファレンスメンバーでのパーマー役を難なくこなしてしまう才能の持ち主はノせると止まらないことを証明。リヴァプール戦では出場機会なく終わってしまったことを後悔させるようなパフォーマンスで相手を蹂躙。得点だけでなくパスでもチームを動かし、チャンスを創出。
ムドリクの使い方に慣れてきたのか素晴らしい関係性で同胞のネトとも良い連携ができている。あとはエンクンクとうまく噛み合えばこのメンバーでも優勝が狙えるレベルだ。
ミハイロ・ムドリク 9.5
移籍してきてからどこか噛み合わなかったドリブルも最近は失うことも少なくなり、自分のペースで仕掛けられるようになってきた。元々高い足元の技術とパス能力も遺憾なく発揮し、多くのチャンスを創出。結果的には2アシストを記録した。彼のドリブルは常に相手の脅威になっており、1人で止めることは不可能なレベル。左足でもクロスを上げられる長所は今後もっと活きてくるであろう。さらにはボックス内に飛び込んできての得点も見逃せない。
彼に足りなかった部分が少しずつ身についてきており、大化けするのも時間の問題かもしれない。
ペドロ・ネト 7.5
リヴァプール戦でもドリブルで違いを見せていた彼は、この試合は本職の右ウイングでの起用となった。結果としては1アシストを記録。マドゥエケと比較するとカットインからのシュートの流れは改善が必要だが、右足クロスのアシストは素晴らしかった。シュートに直結するプレーをもっとしていけばより相手の脅威になれる存在だ。
クリストファー・エンクンク 6.5
得点こそ取れたものの、試合では大きく目立つシーンは少なかった。やはり裏抜けの少なさは少し気になってしまい、降りてきてボールを受けるシーンが目立った。その結果、必要なゴール前に入るのが遅れ、チャンスシーンに顔を出すことが少ないのが懸念点だ。ボックス内でこそ輝く選手だと思うが、ボールも触りたいタイプのため、今後動き方は改善していかないといけない。フェリックスとポジションチェンジしながらの運用は2人の特性がうまく噛み合っているが、パーマーやジャクソンとの共存はイメージができづらく、試合終盤での起用が続きそうだ。それでも点を取ってくれる能力はチームでも上位であり、今後まだまだ頼る場面は出てくると思うので、今の得点ペースは内容は気にせず、喜べる部分だ。
まとめ
サブ組の調整のようになってきているカンファレンスリーグ。アウェイでもしっかり勝てる状態なのはとても喜ばしい状態だ。この調子で練度を高めていく➕サブ組のアピールの場となれば、大きな成長が見込めそうだ。このレベル相手となると素晴らしいビルドアップからの崩しも多く、マレスカのやりたいサッカーが明確に見えてくるため、ファンとしてはとても嬉しい限りだ。ここからスタメンを奪う選手が出てくればより競争力の高いチームとなり、選手のモチベーションも上がってくるであろう。次節こそはクリーンシートを目指して戦ってほしい。