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「にゃんだふるコンサート」にちなんで。
どちらかというと、僕は「犬派」だった。
子どものころ、「コロ」という犬を飼っていた。2歳上の兄が拾ってきた典型的な雑種犬。白い毛のところどころに黒ブチがあった。かわいかった。でも僕も兄もとくに世話はせず、裏庭の犬小屋に住むコロはもっぱら母親が面倒を見た。
ある日、小学校から帰ってきた僕は、犬小屋が空っぽになっていることに気づいた。
母親に尋ねる。「あれ、コロは?」母親は感情を押し殺した声で言った。
「保健所の人が来てね、連れて行ったよ。あんたたちが世話しないから。しょうがないでしょ」
以来、僕は生き物を飼わなくなった。そんな無責任なこと、しちゃいけないと思っていた。
彼女と暮らし始めるようになって、僕の身の回りには「猫」がいたるところに出没するようになった。
彼女が昔飼っていた白猫「チーコ」にちなんで、ホールのマスコットキャラクターは「マエストロチーコ」と名付けられた。チーコをあしらったオリジナルグッズは最初のTシャツを皮切りに、今年になってマグカップとランチトートバックがお目見えした。
ギャラリーではいま、「ねこてん」を開催中だ。
ホールのロゴを作ってくれた菊池さんも「マエストロチーコ」を描いてくれた渡部さんも、大の猫好き。だったらふたりに思う存分猫を描いてもらおうということになり、15点の素敵なグラフィックとイラスト作品が完成した。
2月22日の「猫の日」には「にゃんだふるコンサート」(ネーミングは彼女)も行う。札幌で活躍するピアニストの渡部美蕗さんに、猫にまつわる曲を選曲してもらった。お話も美蕗さんが担当する。合わせて「猫にちなんだオリジナルケーキ」も画策中。こちらは「自由製作室」の出村さん(札幌の伝説的喫茶店「つばらつばら」元店主)がとびきりのケーキを用意してくれる。
まさに「にゃんだふる」。足らないのは本物の猫ちゃんだけ。でも、ホールのルーバーやピアノをかじられても困るので、いまは「マエストロチーコ」でがまんしているといった具合だ。
本物の猫と暮らしたことがない僕は、どうしてみんなが猫のことになると同じような顔をして頬を緩ませるのかがよくわからない。ペットに感情移入し過ぎるのは、ペットにとっても迷惑なんじゃないかとさえ思ってしまう。
でもまあ、こうしてみんなが集まるきっかけになれば、それはとてもうれしいことだ。
ドビュッシーは生粋の猫派だったが、二人目の妻エンマと暮らし始めるとあっさり犬派に転向した。僕はその真逆の人生を、これからゆっくり楽しんでいこうと思っている。
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