旅の醍醐味

　昔からの趣味に旅行がある。
　無論一人旅だ。思い立ったが吉日とばかりに出かけるので他人とスケジュールを合わす暇はないから。
　田舎に住んでいる頃は車でいろいろまわった。
　日本全国で車で行くのが難しい北海道と沖縄以外は全ての都府県は回った。
　殆どの宿泊は車中で、気が向いたら旅館に、とホント気の向くままに走り回っていた。
　春先の東北でドカ雪に降られたり、高速道路を気づかないままスピード違反して覆面パトカーに捕まったり、道の駅で夜寝ていたら警官に職質されたりと大変なことも多かったが、山越の道を走って景色を堪能したり山の中の温泉に浸かったりと楽しめた旅行も少なくない。
　その中でも思い出に残るのは食事だ。なんだかんだ言っても高速道路のSAのB級感あふれる食事はしっかり堪能していた。あとは地元のドライブインで取る食事は美味しかった記憶がある。とは言っても地元の名物みたいなものはあまり食べなかった。思ったより高いからね。
　その後関東に出てきたのだがこの頃はすでに車を手放していたので車での旅行はほぼしなくなった。なのでそれからは鉄道、またはバスを使った旅行になった。
　これも一人、計画もなく思い付いたら旅行に出かけていた。
　雪見の露天風呂に入りてぇとその日の朝旅館を予約、それもどこにあるかしっかり確かめないから思ったより運賃と時間がかかったりしたが、山奥の温泉でしかも繁忙期を避けていたのでゆったり出来たのは嬉しかったりした。
　また冬の最中の北海道の雪の中を鉄道に乗りたいと北海道の乗り放題切符を使い期間内で北海道の行けるとこれでもがと乗り尽くしたりもした。まだ北海道新幹線が開通ておらず新青森駅から新幹線のグランクラスで帰ったのはいい思い出た。
　無論旅館も当日決めるという強行軍だ。
　やはり雪の積もらないところで育ったせいかひたすら積もった雪を見て、その中を突っ切って行く鉄道に乗って感動しっぱなしだった。
　ま、食事も車のある場合は地元のドライブインで、だったのだが足といえばすでに自分の足しかないため駅そばにある地元のスーパーで惣菜を買ってホテルで食べるのが私の基本となっていた。
　この北海道旅行も惣菜を買ってホテルで食べたのだがこの時買った赤飯には閉口してしまった。甘いのだ。なんだこりゃ？と思った瞬間思い出した。北海道の赤飯は甘納豆を使い食紅で赤くしていることを。
　北海道民の皆さん、すいません食べられませんでした。しかし他の惣菜は美味しかったです。
　旅行は、いい思い出もあるが、心に残るのは失敗した方みたいだ。
　あ、飛行機は好みではないから人生で2度しか乗ったことがない。故にまだ行ったことのない都道府県は、沖縄だけだ。
　なおわたしには昔から写真を撮る習慣がないため旅の思い出は頭の中にしかない。

　もうこんな旅行は出来なくなった。今の体を抱えて行き当たりばったりのこんな旅行をする気は流石にない。

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