あした、母が60歳になる
2 月22日はネコの日であり、母の誕生日だ。
そして2019年平成最後の誕生日に、母は還暦を迎える。
母と私は全然似ていなくて、
母は4人兄妹の末っ子で
背が小さくて、運動が嫌いで、
ぶりっ子で、賢くて、大体の人とうまくやる。
神経質で、気弱で、保守的で、
酒が好きで、田舎が嫌いで、
すぐ結婚して、25で私を産んだ。
私は一人娘のそこそこ恵まれた環境で、
大学まで出してもらって、
18歳ごろまでは母の叶えられなかったものを
私が叶えてあげられていた気がする。
それなのに、
地元の中小企業に就職して深夜まで働き、
途上国のボランティアになると言い出し、
東北の仮設住宅に暮らし、
フリーランスの道を選び、
34になっても結婚していない。
銀行員だった母は
途中から私のことが全然理解できなくなって
しまいには、たぶんそのせいで皮膚疾患を患ったりしていた。
でも、図書館で途上国の本を借りたり、
田舎へ遊びに来たり、
母は理解しようとすることをずっと辞めずにいてくれた。
それどころか、
生活が苦しくなったら、
そっとお金を借してくれたこともある。
就職しろだの、結婚しろだの、
たぶん本音はめちゃくちゃ思っているだろうけど
さほど言われたことはない。
自由に、好きなようにしなさい。ただ、最低限のお金は稼ぎなさいと。
「お母さん美人だね」
そう言われることは昔からよくあった。
ちょっと誇らしかった。
そんな母が、あした60歳になる。
電車通学をしていた中学生の頃、
友達と喋って遅くなった日、
駅まで迎えに来ていた母に「ずいぶん遅かった」と怒られて、
「迎えに来てなんて頼んだことない。もう2度と来なくていい」と逆ギレしたことがある。
海外に出ようと決めた時、
母のような生き方を「ぬくぬく生きて、つまらない人生だ」と言ったことがある。
記憶にある中で母を泣かせたのはその2回だ。
幸せな涙には、いまだにさせてあげられず申し訳ない。
こんな私だから、
還暦の日も実家には帰れそうにないけど、
真っ赤な花が宅配で届くようにしておいた。
いつも本当にありがとう。
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