友だちに前がん病変を伝えて_20240903

この前の婦人科検診で、前がん病変、つまりがんに進行する確率の高い状態だと言われた。精密検査を受けたときは「見た感じ綺麗そうだし大丈夫でしょう」なんて楽観的に話していた医師は、今回茶々を入れずに診断結果を伝えてきた。どちらも同じ現実だけど、前回と診察室の雰囲気が異なるのでなんだか焦った。

精密検査をするという話になったときから、問題なくなる確率とがんになる確率を調べていて頭で理解しようとしてはいた。だけど、結果を言い渡されると、理性が感情に圧倒される。まるで歯が立たなかった。

しかし、経過観察しかできないので目下生活は変わらない。人に言うべきか迷ったけど、もうその時々に任せることにした。

それで、たまたまLINEで「人生有限だよな」みたいな会話をしたときについ話してしまった。会う予定もあったから、対面の方が良いなんてタイミングを考えていたけど、思うより話せる時は少ないから打ち明けた。

言ってよかった。

友だちは「まじ?」以外の反応をほぼしていなかったけど、ものすごく心配してくれているのが伝わってきた。「たくさん遊ぼう」「いろんなところへいこう」「うまいもの食べよう」といつも一緒にやっていることをもう一度約束した。それが嬉しい。これまで楽しい時間を共有できているからなにも変わらない。

うっかり打ち明けたくなる気持ちを抑えて過ごしていたけど、友だちに話すと現実が目の前に鮮やかに現れた。私はこの感覚が好きだ。どんなに望んでいないことでも、より現実的なことを直視できた方が活力を感じる。

いま人生の有限性を僅かに感じたからといって、明日から劇的に生活を変えられるわけでも、周囲を大切に扱えるわけでもないけど、それでもよかった。

書き上げてから、なんで言いたくないか考えてみた。それは、現実を直視できた方が良いなんて言い切ったものの、それでも嫌だったからだ。できれば、その診断を受けていない世界線に住んでいたい。あの診断結果が書かれた紙を見なかったまま、そのあとの日々を過ごしていたら、という設定でいたい。

ではなんで打ち明けたくなるのか。その嫌な事実をみとめたうえで、一緒に時間を過ごしたい友だちが居てくれているからだなと思った。

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