MAPA紫凰ゆすらさんを観ながら思い出す、ジェロニモのこと
これはニュアンスが伝わるかどうかわからないですけど、紫凰ゆすらさんはどこまでも「人間」なんですよね。
ステージでパフォーマンスしている時も、特典会でやり取りしている時も。
TOKYO PINKには大森靖子さんを筆頭に、表現者として圧倒的なオーラを発しているメンバーがたくさんいるわけですが、その人達とはちょっと違って。
80年代から今でも続く人気漫画「キン肉マン」には、超人の中で一人で闘う「人間」ジェロニモが出てきますが、例えるならばそんな感じの。
でもジェロニモは、作品において決して弱い存在としてのみ描かれているわけではありません。
圧倒的に巨大な悪魔超人・サンシャインとの試合では、恐らく当時の読者も「これは負けるよ」と思っていた中で、不屈の闘志で食らいつき、そして最後には奇跡の勝利。
勝負を決したのは打撃でも投げ技でもなく、
「大音量で叫んでその場の空気や物体を揺らして強力な衝撃波を生み出し、相手を攻撃する」
というジェロニモにしかできない必殺技・「アパッチのおたけび」でした。
そしてゆすらさんが観客の心を震わせるのもまた、テクニックを超えた叫びなのです。
先日のライブ「MAPA vs META MUSE」で披露されたMAPAの新曲「怪獣GIGA」はそんな叫びが鍵となる作品になっていますし、大森さんもその力を認めていることが伝わってきます。
振り返ればミスiDで初めて世の中に表れた時のゆすらさんは、自己紹介PR文にいきなり長文を投下し、今でも見られるカメラテスト動画では「JKがカップ焼きそばを作る」というパフォーマンスを展開し、その後にブログで文語と口語が行き交う唯一無二の散文を書き続けていました。
僕はその時に興味を抱いて今でも追い続けているわけですが、それらは実はゆすらさんが、「本当の自分」を隠すためのバリアだったのかもしれません。
そのことにいち早く気付いていたのが、当時の審査員コメントに「誤魔化す必要なんかない」と書いていた大森さんなのだと思いますし、自己紹介ソングである「MAPA応援歌」でブログのことを「めっちゃ長文…おもしろい」とネタ化したのも、その皮を剥ぐ作業だったのかもしれません。
そして今、ゆすらさんは「人間である自分」を隠さず向き合いアイドルを続け、着実に成長しています。
ちなみにジェロニモはその後に「神の試練」を乗り越え、人間から本物の超人へと生まれ変わります。
ゆすらさんにもその日が来るのが楽しみです。