交渉とは、相手を屈服させず、相手の自尊心を傷つけない術(交渉技術とは何か) 弁護士交渉術

1)負けない交渉が一番良い交渉である

正直、マウントしたりや勝利など述べている人は幸せだなと思う。控えめに言って、勝利はサステイナブルではなく、クライアントの利益こそがサステイナブルなものだ。その物差しで考えると、交渉とは、相手を屈服させず、相手の自尊心を傷つけない方が良い。万が一、交渉でこちらが一方的に勝利し、負けてしまった感覚を相手方に持たせてしまった場合、相手方は和解その他の合意を遵守しない可能性がある。さらなる紛争が始まる可能性がある。その意味で、クライアントが事業に集中するうえで、阻害要因になりうる。

一体負けない交渉とはどのような交渉か以下の通り述べたい。これらの交渉技術がたとえ漏れたとして私は構わない。なぜなら常にアップデートしていくつもりだからだ。そしてクライアントが私のやり方を理解することは、説明コストを減らすうえで、やりやすくなる。

2)大体8つの要素を分析すれば交渉前の分析は済む

分類したのは、以下の8つの要素である。

①自分の欲望の分析、②自分の立場の分析、③自分のテクニックの分析、④自分の仲間の分析、⑤相手の欲望の分析、⑥相手の立場の分析、⑦相手のテクニックの分析、⓼相手の仲間、家族の分析である。

①自分の欲望の分析

1)最悪から考える

交渉で慌ててしまうのは、自分が何を失うかを忘れてしまうからである。とすれば、何を最悪失うかを突き詰めて考えていくと、交渉の席に立たなくても勝てる方法が見つかる。交渉前に勝つは、一番大切な手法であり、交渉の場で小手先で対応するのは負けと思ってよい。

2)不可欠なもの以外バッサリそぎ落とす

最悪死なない、倒産しなければ、再生可能であり、大した事象とは言えない。最悪を切り抜けることができれば、追い詰められることはない。不可欠なもの以外は諦めても良いのである。

3)望ましいものは何かを考える

そのうえで、ぜい肉である望ましいものを認識しておく。それができれば、何を捨てて、何をとるかを明確化できる。

4)何が優先順位かを考える

ぜい肉部分は、どこまでそぎ落とす必要があるかは、相手次第だ。相手が望ましいと思った線がどこかが分かってくれば、合意できるか否かは内心ではわかってくる。優先順位も決めないで交渉に臨むことは、あってはならないことだ。

5)自分の仲間との関連性を考えておく

自分の仲間がどの程度関係するか、どのような評価するのかなどは認識して、どのような交渉の材料として使えるかなども認識しておいた方が良い。

6)相手に対してどの点で関心を持つかを考える

相手に関心もなく、交渉するというのはあり得ない。礼儀として、相手に対する調査と関心は持っておくべきである。

②自分の立場の分析

1)コントロールできる範囲の明確化

自分がどの程度コントロールできるのか、範囲はどの程度かは明確化しておく必要がある。コントロールできないことを議論に載せるのはそもそも交渉とは言えない。

2)没交渉になった場合の自分の立場の確認

没交渉になった場合の自分の立場を確認しつつ、その場合どのような打つ手があるかを確認する。最悪を踏まえて、改善策を事前に対応しておく。

3)交渉以前に処理をしてしまうのが本流

交渉前に最善を尽くして、交渉自体が無効化できる程度にしておくことが大事である。

③自分のテクニックの分析

自分の手持ちのカードは何かを考える。

テクニックよりも、誠実性が大事であると認識すべきである。テクニックに溺れると、大きな損失を被る可能性がある。

相手について知ることが大事であり、それが関係性を築くうえで必要と認識する。相手がディールブレイクを望んだら、そのままブレイクさせてしまう。時間の無駄に付き合うつもりはない。

相手の怒りや嫌がらせはこちらにとっては得にしかならない。

④自分の仲間の分析

他のメンバーが何を思うかは一応は理解しておく。

最悪の結果は伝えておく。

評判など気にする必要性はない。

自分の利益よりも、自分の仲間の利益を優先した方が、良い場合がある。

⑤相手の欲望の分析

相手のことは理解できるはずがないと自分の限界は認識しておく必要がある。そのうえで可能な限り、相手が何を望んでいるのかを想像する。相手を喜ばせることになる事象を考える。相手とどうしたら仲良くやれるかを考えてる。そして仲良くできない場合でもなんらの支障がないことを認識する。

相手の人間性を知る。相手の弱みを知る。相手と問題関連性を知っておく。

⑥相手の立場の分析

相手の境遇を知る。相手が何ができるのかを確認する。相手の感情の動きを知る。相手の生活のよりどころを知る。相手が大事にするのは、権威、仲間、お金、プライド、礼儀などのどれなのかなどを知る優先順位を知る。

相手の最悪の場面を理解する。相手の趣味その他の情報を知る。

⑦相手のテクニックの分析

相手の手札を理解する。相手の人格を理解する。相手の傾向を知る。可能な範囲で相手を尊重する。

⓼相手の仲間、家族の分析

相手の仲間はどのように思うかを知る。相手は自分の仲間をどのように思うかを知る。相手と共通の友人その他を知る。相手が大事にしているものを知る。

3)相手に対する配慮

以上の状況を事前に理解し、瞬時に判断ができるまでになることが、交渉において必要である。そして、勝つ、負けるなどを相手にわからせることは無意味なことである。

紛争後、如何に集中して利益を生み出すか、それが本来の意味での勝利と理解すべきである。

ちなみにクレイマーと言われている人については、裁判などで十分で時間の無駄と理解している。クレイマーの類は、もはや交渉など不要である。



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