デジタルトランスフォーメーション(DX)の過程 DXその2 ビジョン→戦略→作戦→戦術の段階で分けた。
1.ビジョンの転換
大切なのは、なんのためにDXをするかを決めないと、以下のつらいプロセスに対応できなくなる。なお、富士フィルムは2度のリストラを経験し、Jカーブをたどってきた。優秀な経営者でも成功するにはいろいろな大変な思いをする。
その時に、貴社の存続価値がなければメンバーも、顧客もついてこれない。なによりも、自分がついてこれない。何のための会社かを再認識しなければDXは形だけで終わってしまう。
Why what howの順に考えていかないと、人間の心はついていくのが困難だ。何をしたいのか根源的に詰めていく必要がある。
例えば、netflixは、インターネットエンターテイメントという言葉を使い、tvと対置する言葉を使っている。
https://www.netflixinvestor.com/ir-overview/long-term-view/default.aspx
トヨタはものづくりによって豊かな社会づくりに貢献するとする。
https://toyota-saiyo.com/company/
DXはその後のシリーズで後述するように、雇用を守るためのスキームでも、今のビジネスモデルを維持するためのスキームでもない。寧ろ、新たなビジネスモデルを作り、主力であるビジネスモデルを壊し、フィットしない人間とフィットする人間とを区別するものである。
その時に、もし以上のビジョンが人を支えるものでなかったら、その会社の存続は許されるものではない。
経営者は、自らのカルチャーがなんなのか、そして将来どうなりたいのか、若い人材と一緒に話さない限り、この企業の本質的な価値に気づくことはないであろう。
2.戦略
ビジョンがあっても、戦略がなければ対応はできない。戦略とは外部的な状況を認識し、自らの組織を変容させることで生き残りを図ることである(避けることができる戦を避けて戦いに勝つこと)。なお、実行がなければ無意味に等しく、常に作戦(いつするのかのタイミング)、戦術(どのように実践をするのか)、そして兵站(どのように資金繰りをするのか)を管理し、実行に落とし込む必要がある。
不確実性の時代においては、直ぐに人のニーズに気づくはずもなく、リーンで試して確度の高いエリアに投資する多方面でのチェックが必要になる。リーンを選ばないと、間違った時に複利でマイナスを抱えることになり、かつ、間違った時にサンクコストを見捨てることができず引き返すことができなくなる。
略は、確実な戦いを探して、データをあつめ、3割くらい価値が見えてきたら、全てをベットすることで、生き残りを加速するプランニングを立てることである。なお、なぜ、3割という言葉を使ったかといえば、すべてを理解するというのは不可能であり、予測できる範囲としては大体5年後にはこのようになるという未来予測ができる程度にしか対応ができない。後は不確実性について、難問を因数分解して立ち向かう以外勝つ手法はない。
決を下す場合、決して多数決をしてはらない。今回は小さい事項なので、取締役会は不要である。しかし、後述するが、多数決ではなく、審議において時間を決めた上でこれ以上ない議論をした上で、決定者が独裁者として判断を下すしかない。その時に、フレームワークとして、もし取締役10人のうち7人が賛成しているものであればその決議は無駄である。その理由は7人にあきらかになっている以上ありきたりで外部との差別化ができないと容易に予測ができるからである。3人が賛成しているものを選定すべきである。その他の7人の取締役は、議論に参加した以上、たとえ反対したとしても決定事項については従うべきである。
なお、ガバナンス上3人しか賛成していない事項をとりいれ、7人の意見を無視するべきというのは、多数決をとっている現場ではおかしいという意見があろう。しかし、ガバナンスは、会社に利益をもたらすべきものとしての制度であり、もし利益にならない多数決であった場合にも杓子定規に適用すべきとすると、会社は生存競争で勝つことができないことになる。ガバナンスは、社会の公器として透明性、不祥事防止などコントロールすべき事項にとどめるべきであろう。
例えば、weworkの事例においては、ガバナンスを効かせるべきであろう。これに対してsoftbankのvodafone買収については先見の明を信じるしかなく、反対派は議論の中ではリスクの提示とそのリスクヘッジを検討するために反対意見を提示すべきであり、決を取る際については最終的に孫氏の経営判断に委ねるべきであろう。
実際には、何度も言うが、リーンからスタートすべきであり、その頃はできるだけ既存の権力グループの邪魔をされないレベルにしておく必要がある。つまり、取締役会レベルの事項から始めるべきではない。とはいえ、成功事例をすみやかに作らない限り、DXは容易に頓挫しかねないので、早く成功事例が作れる対象を探すことから始めるべきである。紙からデジタル化は容易な分野なのでそのエリアを探して、DX化することでKPIのリアルタイム化をしていくことで、経営判断が容易になるように仕向けるのが望ましい。
3.作戦
いつやるかの話だが、今すぐにやるしかなく、小さくやり、成功事例を作ってから大掛かりなチャレンジをすべきことになるだろう。
組織は成功事例を見ない限り、反対派の声は大きい。反対派の声を小さくするには、成功事例をつくり、様子見をさせる時間を稼ぐことしかない。
4.戦術
戦術としては、若い人を中心に組立をしつつ、役員レベルがバックアップして頓挫しないようにサポートをするしかない。法務からリスクを言われたとしても、100万程度の投資であれば見えないリスクがあってもたかが知れている。小さく、バスを乗せる人を探し出す。
既存のSaaSを中心に組み立てて、少人数でも回る仕組みを作る。
少人数で成功体験ができるまでチャレンジを繰り返すしかなくしかもデータが残るようにしておく必要がある。
チームは、今後のDXのコアになり、カルチャーフィットの検討の際に大事な鍵になる人物なので先見の明がある人物を選び、取締役は癖のある人物であろうとサポートをするしかない状況を覚悟すべきである。叱咤激励をするよりも、200の壁打ちを六ヶ月で行うなど、数字を決めてやり切る方が、確度が高くなる。
5結語
以上、ざっくりだが最初の流れについて記載をしておいた。
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