ソクラテスの妻、闘士Xanthippe

２．ペロポネソス戦争と弟デメトリオスの誕生

デメトリオスは紀元前432年、ペロポネソス戦争の幕開けと同時にアテナイの名家にXanthippeの弟として生まれました。彼の誕生は、家族にとって喜びの瞬間でしたが、その裏でアテナイはスパルタとの熾烈な対立に向かっていました。

彼の幼少期は、アテナイとスパルタとの間での血で血を洗う戦いによって影が差しました。彼は、兄アレクサンドロスと父ラムプロクレスから戦争の話を聞き、アテナイの苦闘を目の当たりにしました。

アテナイは民主主義に基づく都市国家であり、市民が政治参加をしていました。対照的に、スパルタは厳格な軍事主義とオリガルヒー（少数精鋭による支配）に基づく体制を持っていました。

アテナイは商業と海洋貿易で栄え、芸術や哲学が発展しました。スパルタは農業経済に依存しており、文化や芸術よりも軍事と規律を重視していました。

アテナイの強みは強力な海軍にあり、海戦において優位に立っていました。一方、スパルタは陸戦と重装歩兵のファランクスで知られ、厳格な軍事訓練と規律で高い評価を受けていました。

その結果、スパルタには戦争により商業がだめになるという視点はなく、焦土作戦その他市民が苦しむ方策を柔軟にとることができました。長期にわたる戦争はアテナイの経済を疲弊させました。スパルタはアテナイの補給路を遮断し、アテナイの資源を消耗させる戦略を採用しました。さらに、スパルタはペロポネソス同盟を組織し、多くの都市国家の支持を得ました。これにより、アテナイに対する包囲網を強化しました。
その結果、デメトリオスは、かつての繁栄とは異なる、戦争の影に覆われた都市の姿を目の当たりにしました。同人は、スパルタと対等な立場になるには、スパルタと同じように貴族が優秀で男性優位な社会を作らなければならないと考えるにいたったのです。
無論、姉の才気あふれ、かつ、あらゆる学問を簡単に習得する姿に憧れがありました。その憧れがさらに、デメトリオスの暗い闇を作っていきました。

デメトリオス: 「姉さん、アテナイはどうしてスパルタに負けてしまったんだろう？私たちはもっと強くならなければ…」

Xanthippe: 「デメトリオス、戦争は単に強さだけの問題ではないわ。戦略、経済、そして市民の結束も重要よ。」

デメトリオス: 「でも、スパルタのように貴族が強くて男性が優位な社会を作らないと…。アテナイもそうすれば良いんじゃないかな？」

Xanthippe: 「デメトリオス、本当にそう思う？スパルタの社会は、ある意味で制限が多いの。自由な思考や文化的な発展には欠けているわ。私たちアテナイは、それらを大切にしてきたじゃない。」

デメトリオス: 「うん、でも…。僕も強くなりたい。姉さんみたいに何でもできるわけじゃないし、どうしたら良いかわからないよ。」

Xanthippe: 「デメトリオス、強さとは何かを考えることが大切よ。それは、肉体的な力だけではない。知識、思慮深さ、そして心の強さも含まれるの。あなたはあなた自身の強さを持っているわ。」

デメトリオス: 「本当に？でも、僕はまだ…」

Xanthippe: 「あなたはまだ若いの。成長には時間が必要よ。そして、自分自身を信じること。私たちアテナイは、多様性と自由を尊重する。それが私たちの真の強さよ。」

デメトリオス: 「姉さん、ありがとう。でも、僕はまだ強くなりたい。」

Xanthippe: 「それは素晴らしい目標よ。でも、本当の強さは、他人と比べることではなく、自分自身の中に見つけるものよ。」