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経営者にとって他人事ではない国際横領事件(リスクマネジメントを専門とする国際的な弁護士の意見)

かれこれ、弁護士の業務で国際横領を見続けてメンタル的にはウッとなるときもあるが、数十件程度になる頃なので、少しコメントをしておきたい。もう国際横領では、自分で言うのは何かと思いますが、スペシャリスト領域ではないかと。フランス語、英語の領域では少なくても。

①被害者は注意が足りなかったりするのか。

被害者は、「馬鹿だから」と考える人多いですよね。それ思考停止です。自分がやってみたら意外と横領事件って簡単に発生します。日本でも海外でも、そうしたことを普通にあることと認識しておくと、ビジネスはやりやすいです。

私も10年前は注意が足らなかったとか色々考えた時期もありますが、これは誰でも発生する死角だと思います。例えば、配偶者のことを24時間監視できなかったとしても注意不足など言わないですよね。その時は、信用していたらこうなってしまった、やむを得なかったという言葉が出てくるはずです。これは私も配偶者に対してはそうなると思います。

ここから気付いてほしいのは、被害にあっても自分を責める時間は無駄なので、事件が終わってひと段落するまでは少なくてもそうした時間は取るべきではありません。メンタル的に辛くなりますので。やるべきことはたくさんあります。

弊事務所では、横領等が発生した場合、メンタルのサポートから入ることが多いです。自分を責めているのに、さらに弁護士が追い込んだら意味ないですしね。

②やるべきことのタスクシート作成

横領等発生した場合、即刻解雇とか、即刻清算とか決断するのはなしです。一番やるべきことは思慮ある弁護士、経験ある弁護士に連絡することです。自分で解決しようとしてドツボにはまるパターンは多いです。同様に、即刻解雇、即刻清算とか主張する弁護士については、ノーコメントです。

解雇などについてXdayを決めて、何をやるべきか、漏れがないかを確認することになります。こうした時に法的なことばかり気にすると、実質的な証拠の保全、被害額の回収、貴重品の回収、その他重要な事項を忘れてしまう現象があります。これをカラーパス、気になったことしか目に行かない効果と考えております。バイアスを取り払って、如何に刈り取るかを考えるべきで、将棋のような碁盤をイメージすると容易です。

こうしたものは経験ない人だと漏れが出るので、経験ある人間と一緒にやってもらった方が良いです。特にオンライン時代では色々取り残しがあるので、本だけ読んでいるブックスマートでは解決できないかと。

Xdayから逆算して考え、かつ、Xday以降やるべきことと分けていくことが大事です。ワードで作成するよりも、エクセルで作った方が色々項目建てできるのでお勧めです。

③結構大事なのは、加害者の目よりも、他の従業員の目

トップというものは常に孤独です。そして、残念なことに孤独を理解して、横領等の加害者は寄ってきます。トップはそこに気付かないことの方が多いです。被害にあっても自分を責めるのは意味なく、システムで避ける手法をとった方が良いことに気付いてほしいです。「自分だけは絶対ない、人のことちゃんと疑っているし、信用していないから」など述べている人いますが、「ないない」「それが盲点で、その時点で容易に騙される」というのが私の長年の帰結です。自分に限ってないは、被害の蓋然性を高くすることになります。

あいつだったら横領されても良いと内心思って横領される程度の方が被害額も心理的な圧迫も減ります。ただ、それで犯罪者を生み出してしまったという問題はあるので、システムでそうした被害を減らすことを考える必要があります。弊事務所ではそうしたスキームを何個もありますが、それがすべての横領その他をなくすということは考えたことはありません。リスクゼロは、ビジネスとしての可能性もゼロです。

被害にあったら、一番に気を付けておくのは、自分の被害感情ではなく、社員の目です。社員が一番トップを見ています。どの程度の対応するのか見定めています。合理的な処断をして、正直者は損しないとして溜飲を下げてもらえることが、結果的に横領等がなくなり、安心できるカルチャーを作ることになります。なお、ある地域だと職場でものがなくなるのが横行して、労組代表者であったために、解雇不能になっていたり、困ったことになったりしました。そうした時にも毅然と指摘し、悪いことは悪いとして処罰を淡々とするしかありません。法律が悪いとかそうしたクレームをつけても何も変わりません。

目的は、他のメンバーが真似をしない、風通しの良いカルチャーを作ることと設定するくらいが丁度よく、残りのメンバーで稼ぐことができればよいのです。

その目的を設定すると、清算するという選択肢は従業員の5割程度が犯罪等に手を染めていて、もはや手の施しようがない状況と認められるときに、選ぶことになります。よって、とにかく事実確認をする必要があります。

④何を目的にし、何を基準にするかをあらかじめ決める

以上のように判断基準を明確にするのはとにかく目的から考える思考が重要です。費用感で決めるという思想は、判断のばらつきが出るので好ましくなく、他の社員だったら、どのくらいのカルチャーを作れば居心地がよく、パフォーマンスがでるかをイメージしていきます。これを機に会社を変えていくくらいのポジティブな気持ちが大事です。

目的が決まると、合目的な手段(打ち手)を想定していきます。

横領をし始める思考フレームって簡単です。以下の事項がステップバイステップで行われます。

専門家を抱き込む
報告をしない
親会社にコンタクトさせない
自分の財産と混在させる(最初は意図的なものではない)
隠蔽と共犯者づくり(徐々に拡大)

これらを考えていけば、大体打ち手は考えられます。もし、打ち手を考えるのが難しい場合は、是非弊事務所にご連絡ください。お会いしたら、大体クリアな気持ちになり、すっきりするはずです。なぜか、まだ始まっていないのに、もはや解決したという趣で帰宅される方がいます。その時に当職は「これから身を引き締めていこう、責任重大だ。スタートに過ぎない」と思っています。その後にタスクシートを一緒に作ったりしています。

ここをクリックすれば、弊事務所の様子は分かります。

⑤事実調査フレーズ

事実調査は、様々な手法を使います。容疑者に直接聞くなどは最後です。まずやるべきことが沢山あります。証拠集めです。このあたりをすっ飛ばすと、問題続出なのでお気をつけてください。この辺は、裁判所(刑事・民事)で出す証拠をイメージして証拠収集するしかなく、煩雑かもしれませんが、やりきるしかありません。ほとんどの素人の方は、このあたりが苦手かもしれません。

カッとなって判断してしまうので、それやったら困るというケースも多くあります。早く、弁護士に連絡をして冷静になってください。

⑥事実整理及び対策決定

刑事民事両方とも対策を練らなければならず、費用対効果で決定することになります。その頃には証拠は多く集まってなければなりません。証拠もなく判断するなど、根拠薄弱としかいえず、ギャンブルです。それだけは回避してください。

⑦話し方その他

言い方によって印象が変わるというのは当たり前です。戦争をするときに、お前を倒してやるぞと準備なくやるのは、正直小学校の喧嘩であり、経営者としては失格です。喧嘩は70%80%勝てる準備をしてから始めるべきであり、段取りと話し方、書き方はあらゆるところで理屈がなければなりません。

一言一句に理屈があり、それを説明できるレベルでなければダメです。直感とかそういうレベルではなく、上で決めた目的と沿うものかが大事です。徒に怒らせたり、無駄に敵を作ったりするという手法は好まれません。こうしたことについてもシナリオから想定し、トークスクリプトも含めて準備をすることはあります。ここまで準備する弁護士は珍しいようです。たまに代打で、弁護士が話をリードし、経営者はずっと黙るというパターンもあります。口が滑りやすい経営者の場合はそうしてもらっています。

⑧すぐさま解決策を出す

風林火山。機が熟したらすぐに解決するは鉄則です。その準備をしておくことは基本中の基本です。とはいえ、それは中々難しく準備不足の方もいらっしゃいます。弁護士でもそういうことはあります。

そうした時に準備し、合意書を交わす、証拠をとっておくことは大事です。

⑨結局従業員は早期解決を望んでいる

経営者が感情的になり、判断しきれないということもあります。気持ち的にはわかります。しかし、従業員は、早く解決し、事業に集中したいと思っているんですよね。徒に民事訴訟で1年2年かけて証人尋問等で呼ばれて。。というのは弁護士しか望んでいないケースもあります。だから、⑧は意外と大事だったりします。

⑩何よりも大事なのは

再発防止。再発防止について意外と力を入れないケースがあります。上の記載は、実は再発防止の観点から、色々と他の従業員に見せているのです。毅然とした態度と合理性と風通しのよさ。

他の仕事をすっ飛ばしても、この再発防止は取り組むべきです。それが正直者が損をしないカルチャーを作る基礎です。だから、毅然とした態度を見せて、処罰をする証拠、処分を見せていくのです。とはいえ、時間の無駄をし過ぎないなど。←こうした事を一人で決めるなどほとんど不可能に近いです。

再発防止=ルール設定と考えている人多いですが、そうではありません。ルール設定は重要です。ルールがなければ罰則等も根拠ないですし、ルール設定の重要性は否定しません。しかし、ルールは形骸化し避けられるという現実も見ておいた方が良いです。重罰の場合、ゼロサムになりますし、中国の秦のように反乱がおきてうまくいかないです。それだけでは解決できません。

まずは、重要な職については監視役なども必要であり、かつ、風通しが良いようにする。権力が集中しないようにしておくなどが必要です。システムをどのように作るか、不正が起きたときに容易に自浄できる環境を作るべきです。お金がある場所に不正が起きるなど当たり前ですよね。

専門家を抱き込む
報告をしない
親会社にコンタクトさせない
自分の財産と混在させる(最初は意図的なものではない)
隠蔽と共犯者づくり(徐々に拡大)

これが不正が起きやすい状況であれば、①親会社が情報を常にアクセス可能な状況にする、財産と混在させないルールとアシスタントをつける。②レポートがない場合すぐに聞く、③監視役が愛人にならないように気を付けるなど当たり前のことを粛々とすることです。王道は当たり前のことをやることではあるのですが、その当たり前のことは経営者は死角で気づかないことが多いです。専門家と一緒にそのあたりまで配慮すべきです。

次に、ちゃんとしたチーム作りをし、正直者が馬鹿を見ないようにインセンティブ設計をすることです。かつ、後継者育成、人材育成に力を入れ、サステイナブルな組織づくりをすることです。こうしたことも専門家と協議してい決めていくほうが漏れはないです。

⑪以上で漏れていること

以上で死角なのは、外国に店がある場合、新経営者を送り込むことです。その際、一人は監視役、一人は実務者にしておくことです。監視役というと悪いですが、実務者からすると、レポートを本社にしてくれる有難い人材です。その実務者を如何に見つけて、送り込むかというのも大事なことであり、エグゼクティブサーチファームなどを利用する必要もあるかもしれません。漫然と選ぶのではなくちゃんとした基準で選ぶ必要があります。そうした選定作業についても小職はお手伝いすることはあります。

以上、軽いタッチで書いておきました。正直ベース容疑者と愛人との会話、証拠集め、大きな資産の処理など、重い話ばかりで開示できないことの方が多いです。大体共通することは沢山ありますが、聞きたい人は是非コンタクトしてください。無料という訳ではなく、ライトデューデリジェンスをし、不正チェック及び不正の恐れが高いかの確認などをする際に色々と説明をさせていただくこととします。ゴルフ場、豪邸。。。話せば長くなるので、ここでは述べませんし、酒の場などでもいうことはしません。すべての経験は、以下の通りで活用させていただきます。

①ライトデューデリジェンス、不正に対する確認と対応
②ルール作り
③内実づくり
④育成論

大企業に対しては①②の恐れは少ないこともあり、③④によって大きな汚職や横領などが発生しない仕組みと利益をもたらす仕組みを一緒に作ります。

中小企業については、①②について杜撰で不正取引の恐れが多いこともあり、そのお手伝いをさせていただきます。

お気軽にお声がけください。生々しいため、タッチを軽くしてみました。




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角田進二 sumida shinji
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