DXをめぐる社会の動き DXその32 人材の流動性確保とコミュニティのルネッサンス
1.社会・会社のシステムとは
会社・社会とは、人間の欲望と供給をマッチさせるシステムであり、「不断」に最適化(個別最適・全体最適を含む)を進めるものである。個別最適の最悪のシナリオは戦争である。
この定義を前提に、DXがいかなる浸透をするか考える。
2.会社のシステム
社会は経済の生態系と読み解けるが、その構成員の一つが会社であり、株式会社の発明以来人類は大きく経済発展をしてきた。
DXは、会社の各部署に大きく影響を及ぼしている。
会社の機能は、簡素化すると、営業、マーケティング、PR、管理部(ファイナンスを含む)、製造・カスタマーサクセスなどがある。
人の接点になりやすい、営業、マーケティング、PRはData Drivenになりやすく、効率的に売り上げをあげる方法を模索することになる。付き合いだけの癒着だけでは持続性が難しいことになるだろう。リモートによる人間の肌感覚は減るからだ。より機械化される部分が増えていくだろう。しかし、後述の通り、それだけではない。
管理部のファイナンスはストーリテリングなどでクリエイティブが要求され、それ以外の部分は機械化されるだろう。
製造・カスタマーサクセスはオートメーションは当然のことながら、クリエイティブとインサイトが要求されるだろう。新たな主力になる可能性がある。
3.人工知能フロー
人工知能の融合化で、人というチップは、以下のように使われることになる。需給バランスは、より最適化に向かう。但し、全体最適化に必ずしも向かうわけではない。
①一般論:効率化 人→エンジニアリング→人の移転
人が入り、分業を進め、効率化が始まる。効率化が始まると、機械でも対応が可能になり、オートメーションは進む。結果的に人は新たに居場所を求める必要が出る。
人はある意味で、汎用型のチップのような役割を果たす。
②PR 判断の広範化(コミュニティへの拡散と連動)
③Data Driven→①の記載の通り人の負担を減らすことで、誰でもできる判断を可能にする(判断の簡素化)
④Creative→判断の深化
企業が力を持つのは、人と金である。
過去力を持っていたのは資金というよりも、人であったことが長い。アセットとしては、人間こそが本質であり、人間を分析するのが比較的に効率的と言える。
人間を分析するに、感情と知性に分かれ、過去は知性に重きが置かれていた。しかし、人工知能の流れにより、知性は科学という再現性の観点から、コモディティ化するようになった。そこで、知性の分岐として存在するデータ処理は機械化に向かい(①)、知性と感情が融合したランダムな働きのみが人間らしさとして再評価されつつある。②と④は、まさに、そのエリアになる。①の上にある、投資判断も同様に④に分類されるであろう。
4.経営とは投資判断
伸びている産業ドメインは、経営判断が失敗しない限り伸びやすい。よって、大事なのはマーケットの選択であり、そのマーケットを選択する要素は伸びの潜在性である。そして才覚としてはマーケットのインサイトが必要である。
会社とは人が集まった組織(生態系)であり、人レベルならば誰に何を任せるかになる。そして組織を超える場合、何を内製化し、何をアウトソーシングするかになる。それぞれが投資決定である。
5.全体最適を考える
企業が外部との最適化を求める際、以下の措置が考えられる。
①購入する、②場所を貸す、③販売の提携する、④POC(共同研究する)、⑤投資する、⑥合併等組織再編するなどの分類になる。
①から⑥に向かうごとに癒着が大きくなる。
DXにより最適化が始まり、企業再編まで進むのかというと、疑わしい。
その理由は、労働法により離脱の制限が障壁になるからだ。障壁を超える利益がある場合に限り、会社分割、合併などが採用される。それを超える利益とは、感情的な統一と知性的な統一である。そして、その統一のノウハウがあるところが非常に強く、それがない企業にとっては無駄遣いでしかない。
業務委託<-------->会社分割等
会社の事情(組織行為として節税効果もある)と労働法の障壁
DX化により、各部署はモジュール化し、切り出しが容易になることが予想される。
業務委託は分業という形で、場所とネットの融合があるが、財布は一致しない。これに対して、会社分割等に関しては財布の融合化と事情の最適化ができる。
伸びる産業においては、人材の流動化が一番大事であり、どのように流入させるかについて様々な手法がある。買う、提携する、投資する、組織再編するなどの適切な方法を選ぶことになる。
すなわち、人材紹介業とMAサポート会社は分類的に伸びやすい企業に流入をさせる機能を持つ。社会の生態系において、落ち葉(人材)をうまく再生させる機能を有する。
6.優秀な企業と果断に導くコミュニティルネッサンス
優秀な企業は以上の人材供給会社と組みながら、PR、お金を駆使し、さらにインナーブランディングをすることでさらに良質な人材を採用する。
日当(人材紹介+アルファ―がつく)よりも、継続性ある癒着を選び、効率化と精神的な統合を上手に行う。
しかし、そうした決断を勇気をもって行うには、一社のみでの裁量では難しい。
労働法その他の癒着が増えると既得権と老朽化が進み、劣化が進むので、バランスが取りにくい。極めて難しい判断を常にすることになる。
寧ろ、3.人工知能フローによりスキルが容易に劣化する時代においては、潤沢なコミュニティによって、それぞれの人材が流動性をコンフリクトレスに持つようにしていくことが望ましい。
優秀な企業を育てるのは豊かなコミュティであり、社会のインフラである。もし、個々が分断化され、エージェントを通してしか人材の流動化が図れないとすると、豊かさの格差が広がり、富の再分配は望めないだろう。
街を作るは良い企業を作ることに繋がる。良い企業を作ろうとしても良い街にしか生まれない現象を直視し、人の再生に対してフォーカスすべき時代に来たと認識している。
今、リモートワークにより会社とオフィスが離れた以上、場というものの再定義が必要になり、サイバーを中心に場が整えられてきた。その時にすぐ会えるという場の訴求力は再認識されつつある。インターネットで知り合い、会うというエンターテインメントが場を見直してきた。一緒に共有する場は、コロナだからこそ大事になっている。
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