FTC(公正取引委員会)を含むアメリカなどのGAFAに対する包囲網 儲ける法務その21 DXその56
⓪スターティングポイント
カーン氏以前のムーブメントと、GAFA包囲網について少し検討する。
①FACEBOOK
「反競争的な買収
Facebookは,潜在的に競争上の脅威となる企業を買収の対象としていた。Instagramは,急速に成長していたスタートアップ企業でありSNSの転換期に登場した。その時期は,SNSユーザーがパソコンからスマートフォンに移行し,徐々に画像シェアを受け入れつつあった。Mark Zackerberg CEOを含むFacebookの幹部は,Instagramが力強く革新的なSNSであり,Facebookの独占力を脅かす存在であると即座に認識した。
Facebookは,まず自分たちのサービス(offerings)を改善することによりInstagramとの競争を行おうとしたが,最終的には競争よりも買収を選択した。2012年4月のFacebookによるInstagramの買収によって,Instagramの脅威を無効なものにし,かつ,他の競争事業者が「規模」を獲得することを困難にした。
同時に,Facebookは,オーバー・ザ・トップ(訳注:他社が提供する通信インフラを使ってサービスを提供する事業者のこと)の携帯メッセージアプリもまた,Facebookにとって深刻な脅威になると認識していた。Facebookの幹部は,特に,成功している携帯メッセージアプリが,新たな特徴を備えること又はスタンドアローン型SNSアプリを分割することにより,SNS市場に参入することを恐れていた。
2012年までに,WhatsAppが,携帯メッセージのグローバル市場におけるカテゴリーリーダーとして現れた。Facebookは競争よりも買収を再び選択し,2014年2月に,WhatsAppを買収することを発表した。FacebookによるWhatsAppの買収は,WhatsAppがFacebookのSNSの独占の脅威となることを防ぎ,かつ,将来の脅威となる競争事業者が携帯メッセージにおける規模を獲得することを一層困難にした。
反競争的なプラットフォームによる行為
Facebookは,長期間に渡り,第三者のソフトウェア開発業者のアプリをFacebookと接続するためのアプリケーション・プログラミング・インターフェイス(以下「API」という。)のような,Facebookのプラットフォームとの相互接続(interconnections)へのアクセスに関して,同開発業者に対して反競争的な条件を押し付けていた。特に,Facebookは,同開発業者がFacebookと競合する機能の開発をしないこと及び他のSNSと接続せず,かつ,宣伝しないという条件で,主要なAPIと接続できるようにしていた。
Facebookは,競合関係にあるSNS,携帯メッセージアプリその他ソーシャル機能を有するアプリから競争上の脅威を鈍化させるため,APIへのアクセスを遮断することにより上記の方針を実施していた。」
去年の公取委員会は、以上の提訴をしていた。結論的には、以下の通り却下されたようだ。ただし、委員会が訴訟変更した場合、継続が認められる可能性がある。
以上は判断
ここで、facebookが勝利したと考えるのは、時期尚早である。むしろ、そんな事態ではない。市場の策定については、公取委員会の主張通り、個人のSNS市場として記載されている。問題は、60%の支配率があるかという立証のあたりの話である。
プライバシー制限などの非財産の制限は、なかなか裁判所を理解させるものではないが、それと財産的な関係が見えてくれば立証可能な感じがする。
民意が公取を動かし、その叡智が裁判所を説得している構図が思い浮かぶ。精緻な理論をかなぐり捨てて、新しい論理を公取は組み立てつつある。
②apple包囲網
「欧州委員会の懸念は,Appleがアプリ開発事業者との契約において課している次の2つのルールの組み合わせ(combination)に関するものである。
① 有料デジタルコンテンツの配信における,Appleのアプリ内購入システム(in-app purchase system(IAP))の利用の強制。
Appleは,強制的なIAPを通じて購入されるあらゆる定期契約に関して,アプリ開発事業者に対し30%の手数料を課している。欧州委員会の調査によれば,多くの音楽ストリーミングサービス提供事業者は価格を引き上げることでこの手数料をエンドユーザーに転嫁している。
② アプリ開発事業者がユーザーに対してアプリ外での代替的購入手段を通知することを制限する顧客誘導禁止条項(anti-steering provisions)。
Appleはユーザーに対し他の手段で購入した音楽の定期契約の利用を許容しているが,本条項によりアプリ開発事業者は,一般的により安価であるそのような他の購入手段をユーザーに通知することができない。欧州委員会の懸念は,Apple端末のユーザーが音楽定期契約サービスに対して著しく高い価格を支払っている,又は一定の定期契約をアプリ内で直接購入することが妨げられているということである。」
「バトルロイヤルゲーム『フォートナイト』を開発・運営するEpic Gamesは米国時間2月17日、欧州連合(以下、EU)でAppleに対する独占禁止法違反を申し立てたことを発表した。」
徐々に、アメリカの行為は、とりあえずヨーロッパで独禁法で訴える流れはある。ヨーロッパの方が効果的な判断を迅速にとることができるからであろう。
さらに、修繕関係でもトラブルがある。この、安全性を低下させることを意図したかのような設計になると、もはや設計についても独占禁止法マターになってきたと評価せざるを得ない。前に、以下の訴えがキャノンに提訴されているが、技術による囲い込みはネットワーク効果の一つの戦法である。これを独占禁止法で禁止されると、キャノンは大損害を発生することになるであろう。アップルの方は、アップルジーニアス、アップルで補修のサービスを提供している。製造、販売、メインテナンス、修理などすべての統合をすることが独占禁止法に違反するか否かは顧客起点で考える必要がある。とすると、顧客起点でないと判断されるケースは公取、裁判所から厳しい目で見られることになりそうだ。
・マグナソンモス保証法に違反し、日常的に保証が無効になっている
・修理を妨げたり複雑にしている製品設計
・部品や修理に関する情報が入手できない
・第三者による修理は「安全性を低下させる」ことを意図したような設計
・消費者をメーカーの修理ネットワークに誘導するようなポリシー
・第三者の修理部品を誹謗中傷する行為
・ソフトウェアロックとファームウェアアップデート
・エンドユーザー向けライセンス契約
・(メーカー外による)独立した修理をシャットアウトするための手段として、特許権や商標権を行使する企業
これらは比較的分かりやすい形で、公取と戦いが繰り広げられるであろう。
③Google包囲網
米国司法省は,検索市場及び検索連動型広告市場の独占的地位を維持しているとしてGoogleを提訴
2020年10月20日 米国司法省 公表
Googleは,以下のとおり,検索市場及び検索連動型広告市場における独占を不当に維持している。
競合する検索サービスのプリインストールを禁止する排他的契約の締結
消費者の選好にかかわらず,携帯端末の主要な位置に自社の検索アプリケーションをプリインストールすることを強制し,削除できないようにする抱き合わせなどの取決めの締結
Appleとの間で,SafariブラウザなどのAppleの検索ツールにおいて,Googleの検索エンジンをデフォルトの検索エンジンとする旨の長期契約の締結
独占により得た利益を活用し,端末上の検索エンジン,Webブラウザ及びその他の検索アクセスポイント(訳注:ユーザーが入力したキーワードに応じて,検索エンジンが稼働する場所)において優遇されるようにすることによる,独占を維持し強化するサイクルの形成
これらの行為を含む様々な反競争的行為は,競争及び消費者に害を与えるとともに,新たな革新的な事業者が成長し,競争し,Googleの行為を正す能力を低下させている。
Google 自身の対抗措置
米37州当局がグーグル提訴、アプリ市場で独禁法違反
④Amazon包囲網
米首都ワシントンの司法長官、アマゾンを独禁法違反で提訴
「訴状は、アマゾンが自社サイトの第三者販売業者に対し、商品価格の最大40%の手数料を請求し、他のプラットフォームで商品をより安く販売することを阻止していると非難している。」
「アマゾンは消費者が最良の商品を最安値で入手できるようにするどころか、アマゾンのオンライン小売販売プラットフォームで販売される商品と、競合他社のオンライン小売販売プラットフォームで販売される商品の両方について、オンライン販売市場全体の価格を人為的につり上げている」