タニタの件

タニタの件は、賛否両論ありますね。

それもそのはずです。労働法の規制を避けるために、請負をする例は十分あります。

以下の問題を如何にクリアするか

・請負だが、偽装請負

・請負だが、偽装請負ではない

通常、労働者であった人間が、請負に変わるとすれば、そのまま見る限り、労働法を潜脱する意図があるのではないかと疑念に思うわけです。とすれば、タニタはクロからスタートしなければならなかったはずです。

ここで、解雇の代わりに請負にさせていたなら、いずれはという形になります。

又は、バリバリと働いている方が、タニタに通いながら、請負であれば、時間外勤務など残業対策かと疑うわけです。

企業は、いままで様々な形で雇用関係について工夫してきました。例えば、パートタイム、契約社員、転籍、派遣社員など。フリーランスの場合、その延長戦に見えてしまいます。雇用の調整弁的な観点からすると、がんじがらめにされる労働法はいつも目の敵にされていたことでしょう。

経営者としては、社員には経営者の視点で働いて欲しいと思っているはずです。それを実現する方法はなかなかみつかっていません。リクルートかサイバーエージェント、インテリジェンスか。若くして独立しない限り一人前ではない雰囲気を作り出すというのは、コンサルタントでもない普通のメーカーの社員には考えられない発想のはずです。

タニタの社長は、その点を鑑み、請負による独立によりメリットが出る形を強調しています。この点は非常に肝で、タニタはおそらく社外に出したくないエース級の人材に対してフリーランス化しようとしているように見えます。

この点は、グレーであった状況から、少なくても体裁の良いリストラという流れではないと分かります。さらに、副業を禁止しないことで、社会のことを知るとすれば、常に学び向上をするようになるでしょう。自立し、機会を自ら作り上げることができるのであれば、皆同じという悪しき平等主義よりも納得感はあることでしょう。急に会社を作らなければならない急激感もない。

この流れにより、タニタは異物感を抱えることになるでしょう。独立型の人間と、それ以外の人間で多様性を持つことができます。そして、副業をすることで、独立の厳しさをすることになるでしょう。

請負と労働契約の違いは、特に大事なのは指揮監督関係があるかです。そして、特に労働組合法の適用あたりは重要な事項になります。不当労働行為になるかという争いができなくなります。確かに継続性の点で信頼関係破壊の論理などは、今後争いになる場合はあるでしょう。

2030年には、日本はアメリカを追ってギグエコノミーになることは避けられません。よって、社長の判断は、正しく、かつ、社員には副業ができる生き方を提案することで、スキルアップにも繋がるはずですので、先見の明があると言えるでしょう。タニタだってどうなるかわからないという危機感を感じることは非常に良いことです。みんな一緒では、スキルアップした人間が足を引っ張られます。それを防ぐためには多様な人材がタニタに存在をしなければなりません。

とはいえ、目的が悪質であれば、偽装請負として直ちに炎上することでしょう。この点、タニタの社長の偉いところは、広報活動をしっかりやり、かつ、請負にする際に面倒見を良くして、独立した社員を応援していることです。明るいイメージをきっちり出してます。こうした明るさは戦略法務としては大事なところです。しかも、実質を維持しなければなりません。もし、実質を維持することができなければ、タニタは批判をされて、炎上することになります。

我々は運用の難しさに嫌気をさして単純化することがあります。偽装請負になる可能性があるから、雇用契約を締結しようという、ナチュラルな発想になります。そして、古くて新しい考え方を軽蔑します。

もし、独立性が維持され、かつ、副業もちゃんと認めているなら、様子をみる温かさは必要です。 問題が発生する前に批判をしても世の中は変わりません。

スキ、その他の行為は、元気玉として有効利用させていただきます。皆様のお力を少しでも世の中の改善に使わせていただきます。