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法務「部」という集団をやめよう(新しい法務の在り方)

1.はじめに

集団が個を阻害し始めるとき。
日本において、沢山の法務部(管理部、総務部)ができ、コンプライアンス意識が高まってきた時期に、あえて逆説的なことを言います。新しい法務を作るためには、法務部という集団をやめるしかないという現実です。
そもそも、会社は何で成り立っているかといえば、お客さんがいて、利益が出てきて、その分配という形で会社が成り立っています。
最初は、法務はそもそもないかあまり重視されない時代もありました。しかし、今の時代法によってまさに潰れるか、復活するかという強いインパクトを持つようになりました。とすると、法務部いるじゃんという流れになりますよね。
しかし、逆説的に法務部だけではなく、様々な知恵と力を借りなければならない時代に来た、つまり、クロスファンクショナルな法務の在り方が必要になり、それとともに「集団としての法務」は不要になってきたと思うのです。
集団は、形式性や統一性、マニュアルを要求します。チーム一体としてやるのですから当然です。完璧な仕事をする必要があるので、それに従ってやるべきです。それが部というものです。
しかし、部を守るために、他の部を阻害させてしまえば、それは終わります。彼らと協調し、プロジェクトをうまくやりきらなければならないというのが、法務です。
つまり、どのような尽力したのか、他の部門の意図を知らなければいけません。そして、考え着いたときに、法務部によって葬られるのではやる気はおきません。黒の場合速やかに対応し、グレーの場合どのように活かせばビジネスとして成立するかを考えていく時代です。
様々なリーダーが法務を考え、社会調整をしながら進めていく必要性があります。その時に「部」にいては分からないことが多すぎます。一緒に血と汗を流すしかありません。法務以外のことは分からないとしてしり込みせず、一番のビジネスポイントについて言及することも大事です。
会社は、何のためにあるかといえば、前述の通り、社会にベネフィットを供給し、利益を上げて、会社での利益分配によって成立する集団であり、部を守るために存在するのでもありません。利益をどのように上げるかが大事であり、そのために、回収不可能な相手とは取引しない、リスクの解像度をあげて回収しやすい形にもっていくのがビジネスです。同じ目線で、リスクを管理し、ソフトランディングし、余計なリソースを発生しないような仕組みづくりを作るのが法務です。
何が言いたいかといえば、クロスファンクショナルに他部署に働きかけ、バックアップとして主力を支え、時として自分が矢面に立って整理する役割が法務です。知っていることを単に伝えて、それで終わりというサイロ型ではもはやビジネスとして成立しないです。
実は、歳をとると社会にキャッチアップしにくくなる現象もあるのです。特に上に行けば行くほど、遠く離れてしまい感度を失うこともある。法律が多岐に分かれてしまい、複雑化していくことにその複雑性ゆえに本当の使命である利益を上げるという部分を忘れてしまいがちです。アップデートしながら新しい手法を考えていくこと、そのためには常に現場にいなければなりません。単に、大手の法律事務所に行って免罪符を貰って帰ってくるだけでは足りません。それではメッセンジャーボーイになってしまいます。そうではなく、リスクはある、それを一緒に乗り越えようではないか、富士山、ヒマラヤを乗り込もうではないかとするのが、今風です。勿論、ベンチャーの場合、リスクをとりすぎて、消えていった会社は腐るほどあります。法をしらず、法改正のコストを考えず、社会の受け手の気持ちを考えず(説明コストを考えず)、自分の考えを押し付けるようにプッシュし、結果的に大きな損を抱えることもあります。とはいえ、リスクなきビジネスは存在しないわけですから、投資に見合ったリスクをテイクし、大きなリターンを得なければなりません。それを可視化し、勝てる形にするのが法務であり、参謀です。実は法務は、沢山の障壁を作ったり、様々な勝ち筋を見つけることができます(但し、これは人による)。法務部というものだと、古き前例にとらわれ、様々な勝ち筋をディスカッションする前に潰れてしまいます。これが、先ほどのべた法務部の弊害であり、「書を捨てよ、町にでよう」という趣旨です。

2.新しい法務の在り方

え、とすると法務部を解散するのという勘違いをする方もいるでしょう。いえ、旗がなければ存在を忘れるのが人間であり、概念としては残しておくべきでしょう。
概念と言ったって、難しいことを言うなというお考えもあるでしょう。しかし、そもそもプロジェクトごとに利益を得ていくのだから、その現場にいなければ意味がないでしょうというのが私の意見です。沢山のプロジェクトに入り込み、時として法務という立場を忘れて、ビジネスマンとして手伝いつつ、余計なエネルギーが発散しない方に勘所を押さえていく。汗と血を流していくことで、チームとして信頼を勝ち上げていく。そこには法務部を守るというよりも、会社を守り、チームを守るという概念になります。
今はオンラインがあるので、現場に行けるわけです。見解を法務として統一していくこともできるはずです。ただ、大事なのは、現場の人を忘れた法務部としての統一は会社にとって不要な存在になるだけです。リスクないビジネスはなく、どうしたら今の会社のマシな手法になるのかを考え尽くすのが大事なのです。
クロスファンクショナルになりつつあり、部署という形は単に統一性と会社を守るためという緩いものになります。勿論、教育システムやオンボーディングシステムは必要でしょう。何もなく徒手空拳に法務部員に学べと言っても困惑するはずです。先輩たちがいなければ学べないというケースもあるでしょう。高度な法務の承継問題も出てくるはずです。結果的に大打撃を受けて会社を沈没させるケースもあります。
誰も、そんなケースは望んでおらず、やはり法務部という形としてのそして物理的な場所として必要ではないかと思うはずです。
しかし、面白い案件があればそのプロジェクトに入り、一緒に協働し、学ぶ。ビデオなどで学ぶなど、多くの手法があります。現場にいた方が多くの学びがあり、それをフィードバックし、皆の学習の機会を作るのが法務部の場と考えます。国外にいようが、僻地にいようが、それを関係なく学習の場に持っていける工夫をすべき時代に来たと思います。

3.外部法律事務所はどうなるの?

このように記載すると外部法律事務所はどうなるのという話になります。実は、今の時代、内、外も関係なく、プロジェクトとして利益が出てくる仕組みが作れるかが課題のはずです。「弁護士の依頼の仕方」というパワーポイントを作成したので、ご覧になっていただければ幸いです。

キーワードは戦友です。プライス、権威だけを見て弁護士に依頼すると、社会の反応とか関係なく、淡々と仕事をするだけで、弁護士として十全な仕事などできないはずです。
実は、弁護士も、変化してきています。過去は、街弁、企業法務など言葉がありましたが、今や多様化して、選択するのも難しい時代になりました。勿論、4大法律事務所に頼めばよいという思考の人もいます。今はそれ時代遅れだと思うのです。勿論サービスは良いときもあり、かつ、権威性も高いので、よさそうですが、思考停止です。各々のプロジェクトでフィットする人は異なるはずです。
PR視点のない弁護士に依頼して危機管理で暴走することもあるし、財務視点ない弁護士に見せて費用対効果を間違えたり、新規事業の観点のない弁護士に依頼してリスクの取り方を間違えたり、万能薬は一つもありません。
事業を自分事として考えてもらい、どのようにマーケティングをしていくかも考え、ビジネス的な落としどころも一緒に考えていける弁護士が望ましいと思います。
このようにいう小職もひょっとしたら企画部からくる案件とか結構多いかも。。。とにかく、コミュニケーションをとりやすい弁護士で、見落としが防げる方が有難い。フィーと偉さで決めていくと、いつかは取り返しのつかないことになります。4大には沢山優秀な弁護士さんいますが、ロールは様々であり、魚を切るときに牛刀を使うべきではないし、ケーキを切る際になたを使うべきでもない。それぞれのプロジェクトによって相性があります。
共通して大事なのは、初動の適切さで、これだけは何度言っても色あせないですが。とにかく最初が良ければ鎮火は相当早いです。

4.結局何をすればよいの?


外部、内部と区分けする意味ないとか書いているけど手っ取り早く結論だけ教えてよということもあると思います。
結論ということは、単に法務部をでて現場でサポートという点でしかないのですが、その短所を述べたところです。教育システム、オンボーディング、高度法務の継承、統一性などなど。
これって、オンラインで対応できることが多いです。
また、リアルに会うのを週1や月1でも良いと思うのです。その際、部長は偉い人ではなくて、サーバントリーダーになるしかないと思います。サーバントリーダーというのは皆が困っていることをどんどん解決し、仕事の邪魔をせず、スムーズに仕事できる環境を作ること、場を作る人です。

①オンラインをスタンダードとして、録画せよ


オンボーディングする際、様々な前例がある方が良いのです。いちいち先輩に聞くよりも、まずビデオを見てもらい、それから質問をしてもらう方が良い。

②勉強会は不可欠(高度法務を含む)


どんどん古くなるのが法務です。誰かが勉強してという話はもはや許されません。ならば、勉強会、セミナーをオンラインで開催し、何度でも見える状況を作っていきます。これも新人に来てもらったらすぐ見てもらえばよいわけですから、便利です。
③新しい法務部員をどんどん育成し、ビジネスサイドに送り込む
結局大事なのはOJTだったりするので、現場での対応でもめたりして力強くなります。勿論メンタル的なサポートは必要になるでしょう。
時として、弁護士にサポートしてもらい、自信を持って解決できる状況を作っていくべきです。

④サポート部隊を送り込む


単に一人法務だけをさせておくとメンタル的にも耐えられないケースもあります。その場合に耐えやすい環境づくりが大事です。

⑤法務を助けたい部署が沢山出来る仕組み作り


法務だけを理解して、他について興味を持たないということであるとどんどんサイロ化して、協力者を得ることができない環境になります。
沢山の観点を持っている方が、ソフトランディングしやすくなります。コミュニケーションのファシリテーションは基本中の基本であり、法律関係ないが便利だから使おうという場合でもホイホイのっていく必要があります。

⑥経営者のマインドを変えていく


単に契約書がわかるだけとか、法律のことをそこそこ分かる人という視点で法務を考えていくと、戦略的にはなりません。寧ろ、我々がすべきことは利益を生み出していくことです。なぜクロスファンクションを言い出したのかここで分かりますね。
KPIで必要なのは、①利益を生み出したかという視点が大事であり、間接部門、直接部門という区分けは不適切。寧ろ、紛争を生み出さず適切に利益が生み出せる仕組みづくりに貢献できたかというKPI、プロジェクトメンバーとしてのKPIが大事になります。契約書を沢山読み込むというのもKPIとしては良いですが、それだけならば今のリーガルテックで十分ではないでしょうか。なんなら、弁護士に依頼するというのも考えられます。そうではなく、同じプロジェクトメンバーとして活躍し、利益貢献できたかが大事な鍵になります。そして、リーダシップをとり紛争解決をしたか、仲間の評価が高くなったかということが大事です。

⑦新しい機械を使いこなす

ついつい古い機械を使ったりして、コストセーブということがあると思いますが、作業は大分変ってきます。ChatGPTであらゆる作業が5日かかったものが1日でできるようになった時代です。
GPTでは秘密情報やパーソナル情報を流さないなど気を付けること満載ですが、使わないわけにはいきません。将棋で言うAI将棋を使わないで、将棋に勝つのはもはや不可能になってきています。
そうした法務マインドがあれば新しい機械も使いこなせますし、他のメンバーにも適正に使えるように指示できますよね。この点も大事なKPIです。まさか、SNSを禁止し、使わせないという流れにしていないですよね。副業も禁止していないですよね。今はリスキリングの時代であり、人材流動化が活発化する時代で、その流れに逆らうことはできません。逆らって恨まれるよりも、やるべきことがあるはずです。
会社で利益を出すには、新しい技術をアップデートし、新しい人材を確保し、その人たちに適正な方法で稼ぎ出す仕組みをつくることです。その適正な方法を一緒に考えていくことも大事です。なんでも禁止という時代は過ぎ去りました。
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ここまで記載しておいて、無責任に終わりということはないよねというお叱りを受けるかもしれません。
勿論です。弁護士の依頼の仕方も、依頼者側の立場になり考えて作成してみました。今回も、依頼者側の立場になって考えたところ、以上の帰結になりました。
そして、今回これらを実現するために日々考えたことを、サポートに繋げていきますので、是非コンタクトしてください。社長がこれを見て「おおこれいいな」と思った際は是非同様にコンタクトしてください。なお、社長がこれ見ていいなと思って法務部員に知らせても、多分拒絶理由を考えて終わるケースもあります。理由は変わりたいと真摯に思っている人は、この世の中で100人いたら1人もいません。1000人に1人が変わりたいと願い、考えるのが1000人に1人。そして実行に移すのは同様に1000人に1人。よって、人任せせず、一緒に考え動いていくというのが今の社会の正解だと思いますが、如何でしょうか。
コンタクト先は以下のリンクです。

激しい内容かとタイトルを見ると思いますが、未来から考えると至極まともない意見になっていると思います。

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角田進二 sumida shinji
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