10歳に説明した憲法

https://youtu.be/UIjK30QMdN4

正確性と概念整理の問題で、専門家はつい正確性マウントを繰り返す愚行を犯します。しかし、法律というものは、常に多数派に使われてなんぼの部分があり、言葉と同様誤用が一般化してしまうことも多いと思います。

そこで、今回は正確性を犠牲した形で10歳に説明する憲法を記載してみます。

皆さんがイメージする憲法は、日本国憲法ですよね。日本国憲法は、終戦後1945年の1年後の1946年に公布され、1947年に施行されました。

憲法は最高法規(97条)とされており、日本国内のいかなる法規よりも強いものです。

なぜ、憲法が制定(改正)されたのか経緯を考えてみると、GHQからの指令があったというもので理解は間違っていないでしょう。大日本帝国憲法からの大幅な変更を見る限り、基本的人権の尊重、平和主義、国民主権などはアメリカの意向を鑑みて、入れられたと考えた方が分かりやすいです。

徳川幕府から明治維新によって、社会は大幅に変わり身分社会も異なるものになりました。その正当性を位置付けるために、天皇が主権をもつ仕組み、意思決定をする仕組みにする必要がありました。そこで、大日本帝国憲法は、「大日本帝国ハ万世一系ノ天皇之ヲ統治ス」として日本は天皇によって統治される旨記載されております。

イギリスがマグナカルタ大憲章により1215年に王権の制御をしたのに対し、日本では西欧の顔を作るために西欧に類似の制度を大日本国憲法でつくりました。その当時に万が一日本国憲法のようなものができていたら、今の日本は存在せず、滅ぼされていた可能性があります。その当時においては、富国強兵として強い日本が要求されていたからです。憲法は、国の顔、つまり政治的な色彩が強いです。その中で対面を保ち且つ文明に突き進むには皇帝が強い権力をもつプロイセンの憲法を模倣する方が良かったのでしょう。

ところが、徐々に日本が強くなり中国、ロシアと対戦するにつれて、軍部の力も強くなり、天皇の強権に寄り掛かる形で太平洋戦争が起きました。軍部上層部の力が大きくなりすぎて、かつ、机上の空論により、国民は勝てるはずのない戦争に巻き込まれるようになりました。

そうした反省を踏まえて、国家の中心であった天皇から象徴の立場だけを残し、国民主権とし、平和主義、基本的人権の尊重などを憲法に明記しました。

国民主権は、天皇の主権と比較したときに分かるものであり、天皇ではなくて国民が決めていくことで、自分の権利を守るものなのです。直接民主制ではなくて、間接民主制(代議制)にした理由は自分たちの代表者が決めてくれれば悪いようにしないだろうという期待から決めたものです。

国民の基本的人権の尊重など、憲法に記載されていたとしても国家権力がすべてを決めてしまえば、絵の描いた餅に過ぎません。そこで皆さんはどのようにすれば自分の権利が守れると思いますか?

それは権力を分割してしまうことです。実際には、国会(立法権)、内閣(行政権)、裁判所(司法権)という形で分割しています。国会は代表が法律を決めていきます。国会は会議体ですので、執行はできません。そこで、執行をさせるために、内閣→官庁が執行に従事していくわけです。執行が正しく判断し行動しているか確認しないと、どんどん逸脱する可能性があります。そこで、司法権が行政の行為について判断をしていく。行政の行為を無効にしたり、或いは法律そのものを無効にすることで司法権は力を行使しています。そうした喧嘩が発生する状況のことを三権分立という言葉で言い表します。

喧嘩させるのは、国会内でも同様です。衆議院は4年の任期、参議院は6年の任期で、両方を対抗させるのです。

さらに、国家と地方でも喧嘩させています。地方は国家と異なる制度を有していて、知事は直接選挙する仕組みになっています。国家は地方自治の本旨に基づいて法律を決めることになっており、すべての権利を奪うことはできない形になっています。

以上のように喧嘩をさせつつ、裁判所は「最高裁判所は、一切の法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する終審裁判所である。」として、違憲かまで判断することができます。これによって、憲法の基本的人権の実現が可能になるのです。

以上の制度上の保障がない限り、基本的な人権というものは余りに抽象的で絵にかいたものにすぎません。

権利は、まず国家によって保障される必要があり、公共の福祉に反しない限り尊重をされるものです。国民がその権利を保障されるためには、大きな権力との抗争によって確保されていった憲法の歴史から鑑みると、単に主張するだけではだめです。権利、権利制限、義務などに配慮しながら、国会、内閣、裁判所などに適切に働き掛けないとならないと理解すべきでしょう。それが憲法を学ぶ意義です。

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角田進二 sumida shinji
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