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カルチャーフィットは幻想か、それともこれからのスタンダードか。DXその6 カルチャー>戦略論

1.カルチャーフィットとは何か?そのそも文化ってなんだ?

この関係の記事をご覧になった人は多いのではないだろうか。本にするとNETFLIXの最強人事戦略 自由と責任の文化を築くという本だ。

カルチャーフィットという言葉は、大事になっており、How Google Works(ハウ・グーグル・ワークス) 私たちの働き方とマネジメントは、文化として自分たちのスローガンを信じるとしている。迅速かつオープンな環境づくりをしようとしている。ワーク・ルールズ! ―君の生き方とリーダーシップを変えるにおいては、「文化が戦略を食う」と記載があり、社員に自由を与えれば、驚くようなことをしてくれるとする。ちなみに、幣事務所ailawのミッションは、世界を変えようとする挑戦者をサポートする踏み台になるというものになっている。その結果、チャレンジをせず、創意工夫をしない人間にとっては好ましくない環境づくり人している。

先日、デジタルトランスフォーメーションについて講演をしたところ、カルチャーフィットについて質問があった。

その答えは、経営者のミッションの設定とそれを実践する本気度に関係することだ。ミッションは実践されてこそ、意味をもつものでそれがない学ぶだけの雰囲気は空虚なものだ。カルチャーは、ミッションが与える幅と信頼によって成り立つ。タイトルの質問、「カルチャーフィットは幻想か、それともこれからのスタンダードか。」については、間違いなくスタンダードだ。

カルチャーは車で例えるとエンジン部分であり、運転手がいくら素晴らしい戦略(道筋)を持っていても、素晴らしいエンジンがない限り、動かない。

貴社の未来の存在価値は何かを考えなければ、ミッションは存在しえず、それを蔑ろに、カルチャーを論じても既得権の巣になるだけで有害だろう。例えば、トヨタの採用頁には『「モノづくりを通じて、豊かな社会づくりに貢献する。」トヨタは創業以来この理念を掲げ、企業活動に邁進してきました。モノづくりとは、単にクルマをつくるという意味ではありません。クルマを通じて世界中の人々の喜びをつくることこそ、トヨタが企業として果たすべき使命であると考えています。』と書いている通り、未来のユーザーとパートナーに対して自動車に固執しない姿が記載されている。

鍵は名詞から動詞への流れになり、車なら移動する経験を売るなど、レンタル、カーシェアリング、自動運転その他のモビリティサービスにシフトする経営者の覚悟が必要であり、かつ、メンバーの協力体制が必要となる。

経営者の協力者を見つける最重要なところは、採用になる。既述のハウグーグルワークスのところには、概要として以下のものがある(187頁)

①自分より優秀で博識な人物を採用せよ。

②プロダクトと企業文化に付加価値をもたらしそうな人物を採用せよ。

③仕事を成し遂げる人物を採用せよ。

④熱意があり、自発的で、情熱的な人物を採用せよ。

⑤周囲に刺激を与え、協力できる人物を採用せよ。

⑥チームや会社とともに成長しそうな人物を採用せよ。

⑦多才でユニークな趣味や才能を持っている人物を採用せよ。

⑧倫理観があり、率直に意思を伝える人物を採用せよ。

⑨最高の候補者を見つけた場合に採用せよ。

今の不確実性(以下のVUCA時代)の時代においては、好奇心、熱量、協力する気持ち、克己心、率直な気持ち、倫理観が必要になっており、その意味で最後の⑨が最重要なポイントになる。

Volatility – 変動性
Uncertainty – 不確実性
Complexity – 複雑性
Ambiguity – 曖昧性

いくら戦略的に優れた経営者がいようと、メンバーの箸の上げ下げまで指示することは不可能だ。ビジョン→戦略→作戦→戦術及び兵站を理解したメンバーが全体最適の目線で行動しない限り、難しい。

最近上場した会社識学は伸びる会社は「これ」をやらない!に、「部下に寄り添う」マネジメント手法とは一線を画し、企業内での「位置関係」を重視することで成果を上げるマネジメントノウハウを記載している。これはおそらく経営者が期待しすぎて、壊れないようにする心構えが記載されているのだろう。さらに地位を明確にすることで、個々のルールにあわせることで組織が機能しなくなるのを防いでいるのだろう。カルチャーフィットと識学は矛盾しているとは言えない。

文化は、ルールが規定されていないところで、基準として使われるものであり、かつルールを上書きしてしまうほど強いものである。幻想ではなく、あらゆる生存する会社には、カルチャーは存在し、強化されるものである。

2.経営者が最初に文化を強める際、始めるべきはどこか。

採用と契約終了時点しかないと思われる。リテンションで強くすることは、多数決的に難しい。そして、契約終了時点つまり、解雇や退職勧奨でかかる文化を強化するために実行することはなるべく避けることだ。その理由は、メンバーを恐怖に陥らせるものであり、自由闊達な文化を壊し、思考をしない人間が増える、責任を取らない人間が増えるだけだからだ。

とすれば、採用をする段取りを整える必要がありそうだ。採用は、外部から採用する手法と生え抜きを抜擢する手法がある。

グーグルは以下の通り、質問をしているようだ。前述の⑨までの基準に合致する質問内容と思われる。

①なぜ我々のチームで働きたいのか。そこで動機やゴールまで導く筋をみることができる。そうした動機が何故大事なのかなど深さを聞く必要もある。

②過去の会社のカルチャーはどんなものであったか。候補者の観察を通じて、同人の好き嫌いを見極めることが可能。どのように自分自身が過去の会社を楽しむようにしたかも聞いておくとよい。また、健全なワーキングプレースの定義なども聞いてみると良い。

③過去の仕事での問題解決アプローチについて聞く。同問題を見つけ、どうアプローチしたか。他に望ましい方法はなかったのか。もっと方法が制限された場合同人がどうしたかなども深堀出来る。

④チームワークにおいてどんな役割をしたか、その結果などを聞いてみる。これにより、ポジティブな思考をもっているかなど労働に対する姿勢が分かる。もしさらに良くするにはどうすればよいのかなど深堀する。

⑤どのように管理されたいかを聞く。メタ認知を聞く。過去の管理者の良くない点なども聞く。どうすべきだったのかなど深堀する。

⑥何が一番の仕事環境かを聞くことで、優先順位を理解する。自己認識と職業への練度などが分かる形で聞く。何にワクワクするかなど聞いて、動機を把握する。

⑦カスタマーサクセスにおいてどんなことが大事でその事例をあげてもらう。過去の事例としてその交流でどんな喜びを得たかなど聞いて、顧客の喜びについてのコミットメントの程度を推し量る。

⑧他のチームメイトとどのような関係になりたいか聞く。協調性部分が大事。チームメイトと問題になった事例をあげてどのように解決したのかを聞く。

⑨ワークライフバランスをどのように考えているかを聞く。労働時間以外でも、緊急事態が発生したらどうするかなど聞いてみる。

⑩仕事以外でどんなことに興味を持っているか。過去にどんな本を読んだか、何か最近学んだことは何かなど聞いてみる。

飾った人間か、そうでないかは非常に重要だ。万が一、飾った人間の場合、以上の問題については理想的に回答するだろう。そして持ち前のスペックを光らすだろう。しかし、そういう人物を排除することを考えておかないと、文化はすぐ傷つけられてしまうだろう。この点に妥協しないようにすることが、「バスに同乗させるとき誰を選ぶか」の観点で大切だろう。

但し、グーグルの試験は甘いと思う。流石最高の職場だと思うが、通常の職場であれば、企業の労働環境について期待値を下げてミスマッチが発生しないようにしておくべきだろう。

3.リテンション段階

カルチャーフィットした人物を採用抜擢したら、カルチャーフィットしない人物に殺されないように気を付ける必要がある。

人は、自由度がない指示を受けていると次第に考えなくなり、作業のみをし、適切に指示を与えないとその上司を責めることになる。なお、私は、20vs80の原則(人類の20%以下の人間は自由とは何らの枠もなく何でもできると認識し0→1で事業を立ち上げるのに対し、それ以外の人間は枠があるのが楽であり(識学的な立場)決めたいのはいつやるかいつ終わらせるかのみ。)があり、それらの状況にあわせて、なるべく細かく指示を与えなくても参考資料さえあれば自分の責任で解決できるようにしておくべきと考えている。そのミスマッチが労働事件になっていると考えている。

よくあることは、メンバーが経営について理解をしないがゆえに、ビジョン→戦略→作戦→戦術及び兵站のどの段階の話かついてこれないことだ。完全な撤退の話(戦略)なのか、中断(戦術)の話なのかは異なる。

この辺については、常にビジョン、戦略について、経営者が説き、作戦、戦術などについてはなるべくボトムアップ式にしてコミュニケーションをとるのが望ましい。戦略が分からないまま戦術を考えるのは、地図がない旅行のようなもの(今風に言えば携帯電話がないまま旅行に出かける)だ。

4.結語

カルチャーは深堀すると長い。300ページ以上の本が出てもおかしくない。今回は、グーグルの工夫を参考までに記載した。






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