DXと買収及び合併の話 DX その36 規模の拡大と効率化の話
1.大企業の効率性(一般性)
私の方で、スタートアップ、スタートアップと何度も説明することがあるため、大規模の会社が悪い、重要視していないように見える人もいるかもしれません。そうではないという話を少しさせていただきます。
日本企業の勝算―人材確保×生産性×企業成長 デービッド・アトキンソン https://www.amazon.co.jp/dp/B085PPTYG7/ref=cm_sw_r_tw_dp_T55.Fb7SNMEFX を読まれた方はいらっしゃるでしょうか。
これは、大企業の方が中小企業よりも効率的に働けるということを記載しております。そして、日本の中小企業保護はイノベーションを阻害する要因としてとらえているようです。
考えてみると、余裕のない会社が人を雇い、低賃金で働かせる限り、DXは成立しません。工夫せず雇えばよいわけですからね。例えばインドやバンクラディッシュのレストランでドローンで自動化して配膳システムを作ろうとする人はいないはずです。寧ろ、人を5人くらい雇いますよね。一人はアルコール消毒、一人はフォーク、ナイフなどを配る役割、配膳をする人など。人間マルチタスクはできないかもしれませんが、大体の人間はロボットよりも優秀だったりします。これがイノベーション阻害要因です。
余裕がない人は、DXよりも目の前のことに集中し、結果的に将来の芽を摘んでしまうことがあります。場合によっては死に物狂いで果実をとる場合もありますが、以下を見る限り稀でしょう。
大体の場合はゆでガエルの様に仕上がってしまいます。よって、DXは一般的に余裕のある大企業の方が効率的であり、導入しやすいでしょう。
2.大企業での変革は可能か
しかし、大企業においてもDXはご存知の通り至難の業です。抵抗勢力が沢山おり、前に進みません。DXは独裁でないと中々進まないのです。痛み(変化)がある以上、民主主義では適切な判断はできません。ベソス氏ができたのは英明な彼のリーダーシップによるものでしょう。
3.大企業側の変革はコンサルタント
大企業がその時に雇うのは、コンサルタントです。内部から変革できないのであれば(もし変革をしようとしたら内部から恨みを買って追い出されてしまします)、外圧をかけるしかありません。
そこで、戦略コンサルタントなどを雇い、外のスペシャリストが言っているからやろうという流れにします。もし、内部の人が絵を描いているとバレた場合その人が恨みを買うわけですからなるべくそうしたことは表に出さないことになります。
そうすると、できるだけ有名なコンサルタントを雇う必要になり、疑義が発生しないようにする必要があります。アクセンチュアその他の名だたるコンサルタントが大企業にDXを迫る構造はわかりやすいものです。
しかし、その裏で依頼している人間たちが絵を描くのが下手で内部事情をあまり把握しておらず、コンサルタントに外注した場合、目も当てられない状況になります。こんなはずじゃなかった。もっとうまいやり方をできたはずだと。
それはなぜかといえば、頭で考えたアイデアであり、組織に浸透させる実践の絵がうまく描けていないからです。組織に浸透させる絵がない、複雑な構想は浸透するはずもありません。寧ろ現場に混乱と紛糾を起こします。
アップルがジョブス前に失敗したのは、沢山の良いものを作ろうとしたからです。作れば作るほどコストがかかり、かつ強みがぼやけてしまいます。仕事を作る発想は、顧客のニーズに沿うというものと全く異なるものになります。オペレーションはできるだけシンプルにする必要があり、組織のカルチャーにあわせなければなりません。シンプルにかつ組織のカルチャーにあわせることがどれだけ難しいか。これは現場を練り歩き、色々話した人間以外わからないことです。コンサルタントがいくら話したところで、心を開くことはないでしょう。内部の人間がこの声を拾う必要があります。
もしその声を拾わない場合、組織は崩壊します。頭でっかちな案を出して、それに振り回され、組織は不信感の塊になり、求心力をうしない転職者が多く出てきます。不安は増大し、不安によって現場は集中できない環境になります。
それを変革せよと号令かけても、下の者たちは変革して成功したら上司にその手柄をとられ、失敗したら失敗を押し付けられる割の合わなさをしっているため、動くことはありません。不信のカルチャーが、外部のコンサルタントの絵に描いた餅により増幅することになります。
現場を理解している人間が裏に立たない限り、コンサルタントに依頼しても無意味で、現場をちゃんと理解しているものが本来的に力を持っている場合コンサルタントも不要ということも実はあります。
実力を持つ人間が、適切な権原を持つか否かというのが実のところ大事であり、コンサルタントから意見書その他をもらったときにまずその適材適所をどう作り上げるの方が大事だったりします。いくら有名どころであっても、社内のサポートがちゃんとなされない限り、大枚をはたいても無駄に終わる可能性が高いです。
4.小規模事業者は英明な経営者
小規模事業者は、やはり経営者がしっかりしている会社が、さっさとDXをすすめていくことです。こつこつとハーベストループ(一つの行為で複数の利益が出る仕組み)を作り上げることができます。
英明な経営者って難しいですよね。恥ずかしながら私(英明ではないですが)も、大変でした。アフリカ法務をしようという話をしたときに、他のメンバーから「俺アフリカ嫌い」とか、ベンチャー法務をしようという話をしたときに、「俺ベンチャー嫌い」とか、孤立していくのです。孤立していくと、外とより繋がり、内部を変革しようとしてしまいます。そうすると、今までのカルチャーと異なるものという壁で組織が崩壊していく状況になります。なお、英明という言葉をちゃんと考えると、色々試して、効率的なものを選ぶことができる人という意味が正しいと思います。
一旦組織が崩壊すると立て直すのは相当大変です。大体の場合どんどん人がいなくなるのです。
まさにこんな状況になります。経営者で英明というと、従業員からすると単なるサイコパスだったりします。英名であろうとすればするほど、組織は崩壊するわけです。
寧ろ、豆腐で1丁2丁といいつつ、メンバーに寄り添い、かつ、あわない人間をバスに載せないということを繰り返し、仲間をまとめ上げていくしかありません。
経営者というのはそういう意味で孤独で割にあわないものです。柳井社長のように、組織を変えるために一旦古参のメンバーを辞めてもらい、新たに作り上げるしかないこともあり、覚悟を決めるしかありません。
勢いがでてきたら買収を繰り返し、時間を購入し、組織を入れ替えるしかありません。DXをしているメンバーとそうでないメンバーで異なり、あわない人間がいる場合やめてもらうしかないというのが現実です。
5.買収、合併の結論?
アトキンスさんの小企業が国をダメにするという結論ですが、ダメにしているのは下手な妥協をしている経営者なのでしょう。それから大企業なのでしょう。
そうした中で如何にDXのノウハウを蓄積し、優秀な人材を確保し、買収をしたうえで筋肉体質の企業に変えていくかを考えていくかが鍵になります。
アトキンスさんの考えていることはわかりますが(中小企業を楽にさせすぎではないかという点)、英明な経営者が変革を起こすために必要な余白を用意し、買収等をさせていくためには、必要な過程かもしれません。大企業がDXをうまくできない場合の保険としては、両輪の政策を持っていた方が良いと思います。
経営者が孤独に耐えられるか、そしてメンバーはその経営者の孤独を理解しつつ一緒に寄り添うことができるか、それにより経営の効率かを図り、買収攻勢まで対応できるかというのが今の日本で必要な観点と思うわけです。
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