ジョブ型労働へのシフトの真の意味とそれに対する対策へ

1.ジョブ型と従来型(経営の本質から考える)

ジョブ型になることは、今までの総合職一般職という階級社会から、職務を分ける仕組みになるという意味と理解している。

職務を分けるということは、その中での能力の是非が問われることは間違いない。しかし、そうしたものにとらわれているようでは、浅い見方と思われる。経営とは、やらないことを増やすことで、利益を増やす活動をいう。人事だけを見ると、人を見すぎて、本来の経営の本質に繋がらなくなるので総合的に見た方が良い。

優秀、優秀じゃない、結果を出す、結果をださない以前に、人間にはコントロールが難しいことがある。それは何か。それは、市場をコントロールすることである。市場が上向きであれば、たとえそれほど優秀な人間でなくても、組み立てができる。つまり、利益を上げることができる。経営とは、故人の力の如何にかかわらず、利益を上げることであり、その人事的な生態系を作ることである(完全無欠の優秀な人材を集めることではない)。

完全無欠の優秀な人材を集めることはその市場性からすると、無駄なコストであり、起業家としては避けるべきである。オールスターを集めるのは一時的だから良いのであって、それを実際に野球やサッカーでやって疲弊しているのはたくさん見てきたことであろう。

実際の目的は、経営というものが確率論から成り立っていることからすると(ここは争いがあるが、経営者なら一定の理解を示すところであろう)、たちいくセグメントと立ちいかないセグメントがどうしても出る。その際に、立ちいくセグメントはそのままにして、立ちいかないセグメントを切っていく必要がある。ジョブ型にするならば、立ちいかないセグメントとリンクをさせつつ、パフォーマンスを定義することになるであろう。つまり、事業会社ごとに会社を設立しなおしつつ、かつ、ジョブ型にして成果を切り出せるくらい細分化する手法である。

そうすると、何が起こるかといえば、半年単位で成果を見つつ、契約の変更をするか否かまで考えることになる。あまりに柔軟にしすぎると、いままでのやり方と類似して奏功しない。あくまでのパフォーマンスから退職勧奨とリンクして対応することになる。市場が落ちれば、そのセグメントごとに落としてやめてもらうことも視野に入る。能力ではない。単に業績が落ちたことによるリストラが常にはいる。契約に記載されている事項であり、異動等は難しい。よって、退職をすることになるであろう。こうしたことで人材の流動化をはかるのが、本来の意味でのジョブ型と理解している。

2.ジョブ型はビジネスモデルの転換とセットである

おそらく、残念ながらその本質に気づいていない経営者も多くいるであろう。寧ろ、能力により切ってスーパースターやオールスターを作ろうとするであろう。そうすれば、疲弊しきって、体力を落とすことになるであろう。さらに、契約外のことをさせて、それを拒否したら評価を落とすなどをしてしまうケースもあるであろう。もし、そうしたものが常態化している場合、総合職や一般職という身分制と変わらないものになって、本来の目的すらできない場合もありそうだ。

ビジネスモデルの変容とジョブ型は一体化させる必要がある。ビジネスモデルは迅速に変化し、過去は多数の人間が関与して、軍隊のように動く必要があった。今は、少数の人間が関与して、ITを駆使して軍隊と同じパフォーマンスを得る時代になった(niji プロジェクトはまさにその仕組み)。

やめさせるための契約ではなくて、契約はルールにしか過ぎないと考えておくべきだ。寧ろ、パフォーマンスは、ゲームに過ぎないので、ゲーミフィケーションを如何に取り込んで、集中できる環境を作るかという経営者とメンバーとの協働関係による。

労働者はどうなるか。ビジネスモデルが変更され、ギグエコノミー化する現在において、個人のブランドは非常に大事なものだ。救い上げる、救われるの紐帯は、会社内だけではなく会社外でも必要だ。SNSはまさにその発端であった。緩やかな紐帯は、会社の連帯をも上回る時代に来ている。

3.基盤の良いガチガチ会社よりも市場性とリーダーを選ぶ時代

幾ら経営者がジョブ型の良いところを取り入れても、自らが変わらない限り、良い市場を手に入れることはできず、共に沈むだけであろう。共に沈む艦に乗り込むか否かそれが労働者側の判断である。

勿論、共に沈む艦にのらないというのは一つの手だが、それはそれでコモディティ化であろう。まさに大衆にまぎれたレッドオーシャンであり、オールスター的な疲弊感を呼び起こすかもしれない。強者はともに沈む艦でも、交渉によって自らと他のメンバーとの差別化した契約を締結し、母艦の横に自らで駆逐艦を作る。自らは駆逐艦を作り、崩れ去りそうな母艦を立て直すことで、駆逐艦としての名乗りを上げるのだろう。銀河英雄伝説のヤンウェンリーのように、人の心を打つ。

どのように生きるかは個人の自由である。隠れて個人のプライバシーを守る方向に進めるか、自らを守る方向に舵を切るか。

ジョブ型は、船を小さくするための手法であり、かつ、個人を強化する方向に進むであろう。それに逆行する企業も個人も、単に潰される可能性がある。寧ろ、波にのり、どう弱者を新たな方法で救いあげるかを考えた方が生産的であろう。

そのためには、開明的なリーダーと一緒に仕事をした方が、今盤石と思われるガチガチな会社よりも、遥かに得るものがあるであろう。

4.なぜジョブ型と解雇その他の退職勧奨がセットになるかの根拠

ジョブ型と業務委託というのは近似しているのです。とすれば、延長線として業務委託になる方向性は読み取れます。

アメリカはまさにフリーランスが5000万人をこえるように、ジョブ型にするとフリーランスの流れは直線でつながりやすいのです。



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角田進二 sumida shinji
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