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マーケットプレイス・ビジネス (インターネットビジネス論 第12回)

今日は私が担当する工業大学の授業日。2024年最後の講義でした。
後期の科目は「インターネットビジネス論」。どんなシラバスにしようか年度の初めに悩んだものの、後期に入る前に内容を一新しました。

結果的に採用したのは、ビジネスモデルの図解やビジネスモデルキャンバスの使い方をまず教え、それを用いて既存のビジネスを分析しながら学ぶというスタイルで講義をしています。

そして今日、12回目の講義テーマは「マーケットプレイス・ビジネス」。


マーケットプレイス・ビジネスとは

ECとは、企業が自社でプラットフォームを構築し、顧客を集めて直接販売する、いわばネット上の直販店のような仕組みです。

ではマーケットプレイスとは?

マーケットプレイスとは「ネット上の市場」。
売り手が自由に商品やサービスを出品し、買い手がそれを選んで購入します。

これは従来のEC(電子商取引)とは異なり、プラットフォーマーが取引の場を提供する仕組みです。

具体例として Airbnbクラウドワークスアプリストアを取り上げ、生徒たちにビジネスモデルを整理してもらいました。

Air BnB

クラウドワークス

アプリストア

マーケットプレイス・ビジネスの特徴

非対面でも取引が自動で成立

スキルの提供など一部のケースでは完全に非対面が難しい場合もありますが、大半の場合、商品を出品するだけで購買が自動的に成立します。

モノじゃなくても売れる

家や駐車場の空きスペース、空き時間、スキルなど、多様なリソースを必要とする人々との間で受発注が成立していきます。

信頼が重要

取引が自動化されている分、信頼が成功の鍵となります。商品の安全性や品質に注力することはもちろん、取引相手同士が評価し合う仕組みや、商品・サービスの説明が実際と一致するような工夫が求められます。

ネットワーク外部性

ネットの特性であるネットワーク外部性が強く作用します。利用者や商品が増えれば増えるほど、さらに多くの人が集まり、購買活動が活発になるという好循環が生まれやすくなります。

音楽のマーケットプレイスを実現しようとした私の起業経験

マーケットプレイスビジネスの最大の特徴は、そのスケールのしやすさにあります。

プラットフォームを構築し、信頼を獲得し、ネットワーク外部性が働き始めると、収益性の高いビジネスが自動的に成立していきます。
このプラットフォーマー型ビジネスは、成長性の高いスタートアップが多く採用しています。

さらに、このビジネスモデルでは資金のレバレッジが効きやすく、資金調達もしやすくなります。また、KPI(重要業績指標)の設定が明確であるため、適切な資金投入と持続可能性を確保できれば、一気に成長する可能性があります。

私が1996年に最初に起業した音楽配信ビジネスも、このマーケットプレイス型モデルを目指していました。
1999年には日本で初の音楽配信を実現し、時代の先端を行っていたものの、当時は市場の成熟が追いつかず、さらに私自身のスキル不足やITバブル崩壊の影響もあり、最終的には会社をアメリカのスタートアップの日本子会社に売却することとなりました。
バリュエーションのついた売却自体はある意味で成功と評価されましたが、ビジネスとしては満足のいく結果には至らなかったので悔しいですね。

実際に音楽配信プラットフォームビジネスが成功した例はそこからかなり先で、いろいろな音楽配信サービスに提供するサービスが登場し、アマチュアでも音楽が配信できるようになりました。


マーケットプレイスビジネスを理解することことは、スケール可能な成長ビジネスを構築することでもあります。
マーケットプレイスというプラットフォームビジネスは、、多くのユーザーと取引を通じて、短期間で大きな成長を実現できます。

スタートアップなどでスケールするビジネスを目指す人は、ぜひマーケットプレイスビジネスの仕組みや成功事例が参考になると思います。