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一人前になれない俺より

術後17日目。

 膝の曲げ伸ばしや足上げ、膝の皿を上に動かすように太もも内側に力を入れる、などのリハビリをしながら過ごす。
 歯医者と通院以外に(厳密に言うと歯医者も通院なのだが)家から出ていない事実に驚くし、家から出ない生活に慣れてきていることにも驚く。
 驚きと言えば、湯船に浸かれるようになったので浸かったところ、身体から沢山の垢が出てきて驚いた。いや、垢が溜まっていることはわかっていたので、驚いたというより視覚的に認識して実感したと言うべきか。衝撃的だった。
 基本的に湯船に浸かる生活をして過ごしている俺だが、シャワーを浴びるだけで済ましている人はどうなのだろう。同じように久しぶりに湯船に浸かると垢が出るのだろうか。

 ここ数日コーラが飲みたくて、先程コーラを買いに行った。ついでにポテチなども、と思ったのだが、両松葉杖でカゴを持つことの難しさ。ほんの僅かな距離だったが、帰宅した時の疲労感は大きなものだった。

 さて、家での生活には慣れてきたとは言え退屈を持て余してしまうことには変わりない。

 noteで何を話すでもないので、Instagramのアンケートで募集したところ、『未就学児との接し方について!』という回答が気になった。
 このことに関して返答をするわけでなく、この内容からの思考が巡っただけなので、わざわざ答えてくれた人に対して望ましい記事の内容にはならないことは申し訳ないということを初めに伝えておく。
 何故なら自分がわからない内容に対して、答えを導き出すことは出来ないからだ。

 『未就学児との接し方について!』という文章を見た時に、"未就学児"に焦点を当てていることが心に引っかかった。何故、未就学児なのだろうかと。おそらく、未就学児との接し方について悩む場面があったのだろうと推測されるが、では、"未就学児以外"との接し方はどうなのだろうか。
 俺は、人との接し方をよく悩み、良かったことを反芻したり後悔の念がつきまとったりする。正解が無いのだ。一人一人、接し方は違うし、相手の状況、心情に応じて同じ接し方が通用しないことも多々ある。(通用という言葉に引っかかるものがあるが)

 ただ、ここで話を終えてしまうのもつまらない。じゃあ俺が未就学児とどう接しているかという、個人的な意見を述べるとする。そして、未就学児という言葉でなく、子どもという言葉に置き換えて話をする。
 子どもと関わる時に、子どもを子どもとして狭い価値観で決めつけないようにしている。子どもだからこそ気づくこと、感じること、見えることがあるからだ。大人は知識が豊富ゆえに先の見通しを持ちすぎてしまうことがある。
 見通しを持つことは日常を過ごす中で、大きな力の一つではあるのだが、見通しを持ちすぎてしまうがゆえに、結果にとらわれて過程で得られる物を見落としてしまうことがある。
 子どもの姿を見て、この子は今までこういった経験が積み重ねられているから、こういった考えをするのだな、と思うと面白い。子どもの世界を見れる。思考のプロセスが感じられる。
 子どもの思考に思いを巡らせることなく、上の立場から相手を捉えてしまうと、相手を否定することで終えてしまい、盲目的な大人になる恐怖がある。子どもの尊厳、人格を認めていないことになってしまう。

 保育の中で、○歳児クラスの担任として過ごす。その際に、クラスの子ども達を○歳児として一括りにすると、一人一人を見ずに歳児に合わせた保育になりがちという落とし穴がある。
 発達段階は目安の一つだ。次のステップにつなげるために、今のステップは何かを知る指針なのだ。人はいきなり箸では食事をできない。箸での食事に繋げるためにはどういったステップを経ていくか、それが発達段階だ。
 自分達の年齢に適した振る舞いを言葉で説明できないくせに、子どもの歳児でのチェックリストのような思考は気分が悪い。

 話は次々に飛ぶが、以前「結婚して一人前」と言ってくる人がいた。その言葉を聞いた途端に、俺は相手に対して大きな嫌悪感を抱いた。自分の価値観を肯定するために世間論を盾にして投げかけてくるつまらない戯言だと。おそらく、この人の価値観は結婚していることが優位的立場で、家庭を持つ、子育てをする、そのことで得た経験は他で替えがきかず、それを経験していない俺はまだ、一人前になれないという概念があるのだろう。余計なお世話だ、としか思えない。相手の言葉を借りて、一人前になった人の思考がそれならば何とも陳腐だ。

 さて、話は最初に戻る。未就学児との接し方についてだったが、初めに伝えたように、このことに関して返答をするわけでなく、この内容から派生した俺の心情をただ書き記しただけなので、望ましい記事の内容ではなかっただろうし、ここまで読ませたことに申し訳なさもあるが…。

 それでもあえて言うのであれば、未就学児に限らず、相手に対して『自分の価値観を押し付ない』といったところかもしれない。

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