散髪
美容院に行くたびに
切り落とされていく髪の毛を目で追う
さっきまで自分の一部だったものが
床に乱雑に散らばっていく
軽快なリズムと心地よい音で
自分の一部が次々と自分で無くなっていく
その光景がなんとも不気味である
一箇所にまとめられていく
髪の毛はいつしか形を成して
動き始めるのではないか、などと
陳腐な妄想に駆られる
自分から自分を切り捨てている
感情が断ち切られることを望むかのように
切り落とされた髪の毛が
自分の醜悪な部分を語りかけてくる気がした
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