伸縮性のある物差しを携えて
術後20日目
今日はリハビリの日。リハビリは週に2回のペース。松葉杖での歩行ペースだと、乗り換え検索で表示される時間に間に合わない。日頃、歩くのが速くて、むしろ乗り換えは一本先のに乗れることが多かった俺としては感覚が狂う。そして自宅からバス停まで、10分かけて歩いたところで暑さに大分やられてしまった。もう少し遠かったら倒れていたように思う。
電車に乗ると空調が強くて、それまでかいていた汗が冷やされていく。慌ててタオルで汗を拭くも寒い。それ故にお腹が冷えてくる。ただでさえバスから電車の乗り換えが間に合わずに一本遅い電車に乗っていたので、途中下車をすることは憚れたが、これ以上の我慢は危険だと本能的に察知して、途中下車をする。トイレを探すと反対側のホームという表示。走ることはもちろん出来ない。焦りを感じつつも、大人としての尊厳を守るために必死に堪えて向かう。小学生の頃だったら無理だった。大人になっている。
リハビリの時間を、幸いにも10分勘違いしていたのでギリギリ到着には間に合った。のか?こういう時、余裕を持って到着しておきたい自分としてはギリギリはほぼアウトの感覚だ。
リハビリは前回同様のメニューを行う。曲げる時は相変わらず膝あたりが張る。この感覚を文章化出来ないことが悔しい。伝えたいのに伝える術を持てていない時のもどかしさ。感覚を言葉にできる、できない、は人生の経験値の差が左右するのかもしれないが、受け手側も同じ経験をしていないと伝わるものも伝わらないのだろう。そう思うと、普段伝わり合えている事は、もしかしたら凄い所業なのかもしれない。
リハビリ自体は「順調ですよ」という言葉に救われる。
問題は歩行訓練だ。体重の1/2荷重はOKなのだが感覚を掴みきれずにビビってしまう。実際に体重計を置いて確かめると普段の感覚では1/3程しか荷重をしていない。少し超える気持ちでと言われた。チキンレースで随分手前に止まってしまうような気持ちだ。超えても良いと思うと越え過ぎてしまう性格でもあるから気を付けて進めねば。
あとは、どちらかというと足を曲げるよりも伸ばすリハビリを進めていく方が良いらしい。たしかに曲げた状態で過ごしていることが多いので伸ばしづらくもなっている。
次は火曜日。家でちゃんと反復練習をしていこう。
他人との距離感について
さて、先日のインスタでのアンケートで『他人との距離感について』との回答があった。時間は持て余していることだし、思いを走らせてみる。
ちなみに、これを提示してきた人の提示理由がわかるが、それは今関係無いので触れずにおく。
距離感とは言うものの、視覚的に見えるわけでも無く、共通した物差しがあるわけでもない。人それぞれに居心地の良い距離感があるし、なんなら相手によってちょうど良い距離感は変わる。
俺はよく、距離感が近いという認識を持たれやすが、誰に対してでもそうではなくて、相手によって当然違う。スキンシップを多く取る時もあれば、一定の距離を保とうと素っ気ない態度をとる時もある。
そんな俺が、昔から大好きな漫画の台詞がある。
まさにそうだ。別に自分が親しくしたいと思ってもいない相手から、必要以上に距離感を詰められると、嫌悪感しか湧いてこない。油を触った後にいつまでも、指先にヌルヌルとした感触が残る時のように、相手からの好意を早く洗い流したい気持ちになる。
そしてこの言葉は非常に鋭利なブーメランとして自分にも返ってくる。わかっている、わかっているのだ。自分が他者を拒むように、自分も拒まれることがあるということは。自分が万人受けするとは到底思えない。
だからこそ、自分を受け入れてくれている相手のことを、器の大きい相手だと尊敬することがある。決して自己肯定感が低いわけではないのだが、こんな自分を受け入れてもらえる喜びは大きい。
『自己肯定感』についても回答があったので、こことはまた別の機会に書きたいと思っている。
距離感は双方の丁度良い所を見つけ出さねばならない上に、その時に応じて変動が大きいからこそ難しい。常に同じ距離感ではなく、変化が生じる。親交を深めたからこそ、反対に何かしらの違和感が生じたからこそ、今までとは違っていく。以前書いた記事『思い出の箱』と類似した内容なのでこれ以上は掘り下げないでおくが。
ちなみに、こんな俺でも人見知りではあるのだ。おそらく、親しくしてくれている人たちとの初対面時は今と雰囲気が違うと思う。(他者とのやりとりを知っていて、大まかなイメージを持っていたとしても。)
当たり障りのない、表面上のやりとりを重ねて徐々に距離を詰めていったように思う。それなりに色々と考えているのだ、俺も。
あんな、
年甲斐もなく
しょうもなく
みっともなく
情けなく
鬱陶しく
ワガママな姿、一定の親しい距離感になった人の前でしか出せやしない。
それ以上は、ごく一部の人にしか見せない。そんな距離感。