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ドイツの教育で悩むこと 言語と多様性と学費

ドイツ親子留学、海外移住

最近は親子留学や海外移住といったことが盛んに取り上げられ、社会福祉のしっかりしたドイツを選択肢に挙げている方も少なくないのではないでしょうか。日本でもドイツでも、各国の子供教育は良し悪しです。5年間ドイツで子育てをして喜怒哀楽を経験してきたからこそ自戒を込めて言えます。事前に十分に情報を収集しておいて家族で話し合っておくこと、そして進路を柔軟にグローバルに考えることが、親も子も納得のいく子育てにつながるのだと思います。

多様な教育の選択肢

日本は小学校低学年から塾や習い事に通い、いわゆる受験戦争に突入することは今では多くの家庭が経験していることと思います。人工知能が開発され様々な分野に導入されている中で、将来を担う子供たちに求められている能力とはなんなのでしょうか。そして日本国内だけでなく実際にドイツあるいは海外で子育てすることを考えた時、どのようなメリットを享受しえるのでしょうか。

- 留学生としての視点:異文化環境でのびの機会を重視し、現地の学校に子供を通わせることで言語や文化の理解を深める。
- 教育面での視点:教育水準が高い学校を選び、子供の将来を考えてバイリンガル教育を受けさせることで、国際的な競争力を備えた人材を育成する。
- 転校経験に関する視点:子供の適応力を重視し、転校の経験を積ませることで柔軟性や自立心を養い、さまざまな状況に対応できる力を身につけさせる。
- 経済的な視点:教育費の面で負担を軽減するため、現地の公立学校を選ぶことで経済的なメリットを享受する。
- 親子の絆を大切にする視点:子供の意見を尊重し、共に学校を選ぶ過程で親子のコミュニケーションを深めることで、家族の絆をより強くする。
 
もちろん海外に住むというのは、簡単ではありません。経済的・言語的・文化的に最初は困難であったり、親の仕事の資格が通用するしないなどのデメリットはあります。しかしそれを乗り越えた先の海外での子育ての傾向として、適応力・言語力・交渉力・国際的な視点・自己肯定感、を子供に身につけさせることができる点がメリットとして挙げられると実感しています。

ドイツの学校システム

ドイツの現地校のシステムは小学校(Grundschule)が4年生(10歳)まであり、その後専門学校(Real Schule)、共通学校(Gesamt Schule)、高等学校(Gymnasium)に振り分けられ、12年生まで進みます。その後大学進学のために最終的にはAbiturという共通試験を受け、その成績と普段からの*学習態度によって点数がつけられます。
*学習態度: どれだけ率先して自主的に勉強しているか、発言や意見を述べることをどれだけ積極的に行えているか、ということが重要視されます。

 なお、このAbiturを受けて大学教育に進むことができるのは基本的にはGymnasiumから続く進路であり、Gesamt SchuleやReal Schuleを卒業した後は基本的に専門職への道に進みます。したがってGymnasiumが日本の進学校のイメージに近いのですが、欧州であることを反映して語学が非常に多く、英語・ドイツ語・第二外国語・第三外国語が必修となっているところがほとんどです。Abiturの結果は世界的に書き換えが可能なところが多いため、ドイツ国内、EU内、アメリカ、カナダ、などの大学進学に選択肢が広がります。知り合いの日本人家族で、東大、明治大などの日本の大学へ進まれたお子さんもいます。

ドイツ在住5年、日本人家族の我が家の悩み

我が家は、現時点で7歳、9歳、13歳の子供がいて、これまでインターナショナルスクールに通っていました。ドイツのインターに関しては別項でまとめます。彼らの言語能力は英語はペラペラ、日本語は中級(土曜日の日本人補習校に通っています)、ドイツ語はA1-A2レベル。今実際に悩んでいる事を備忘録がてら吐き出してしまいます(笑)。

ドイツで大学進学までの教育を考えた場合、

-インターナショナルスクール: 学費が高い(年1〜2万Euro)ため、会社から学費補助がでる駐在や国連でないと家計に苦しい。その一方で豊富なスタッフに囲まれ、多様な文化とNationalityの中で英語を基本言語とした教育が行われ、国際的な人間を養うことができる。MathやScienceなど、各々の科目のレベルも現地校に比べ高い傾向にある。なお、学費に関しては学校に早めに相談しておくと、減額申請が可能な場合がある。

-Gymnasium: 教育環境は学校により様々。我々日本人にとって難関の一つが、学ぶ言語の多さである。また、日本語教育は家庭で行うか、あるいは、日本人補習校に通うか。ドイツ語が基本言語であり、ドイツ語レベルB2が最低条件として求められるため、それに達していない生徒(移民)は準備クラスで半年〜1年間ドイツ語を集中的に学び、その後試験にてどの学校に振り分けられるかを決められる。学費は無料で、通学以外にも使用できるバス電車の定期券が格安で購入できる。

-日本人学校: デュッセルドルフ、フランクフルト、ミュンヘン、ハンブルグなどの大都市では、日本人学校があり日本語による日本の教育が受けられる。月500€程度で、上記のインターナショナルスクールよりずっと格安である一方、日本の教育に準じた中学校教育までであり、15歳以降は日本に帰国するか、ドイツ現地校に進むか、インターナショナルスクールに進むか、が迫られる。帰国子女受験を狙って日本語能力を高める点では良いが、国際的教育という観点からは他に劣るかもしれない。

-Real Schule or Gesamt Schule: 職業訓練や専門学校的な要素が強くなってくるため、大学への進路を考えた場合には厳しくなってくる。また友達付き合いを考えた際に治安も心配。 

日本で大学進学までの教育を考えた場合:

日本人である我々は、このルートが最終的には結局一番安定感を感じます。というのも自分が通ってきた道であり、母国語であるため色々情報を集めやすいです。
その一方で都市部は特に、早期からの塾通いや受験戦争があり、そこにかかる費用や時間は馬鹿にならないと思いますし、塾や部活、それに加え親は仕事の休みが取りづらく、家族で大型の休みを取ったり長期旅行に行くことは非常に難しくなるかと思います。しかし多くの人がやっているルートに乗ることは、ドイツでマイノリティとして生きている日本人家族の我々にとって、心の奥底で渇望していることでもあります。



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ぼん_Atsushi
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