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地域の新しい伝えかた学校特別講座『文章=体験。読む人の納得・共感をつくる編集的文章講座』に参加して学んだこと

昨年の夏、「地域の新しい伝えかた学校」が開催の特別講座、「文章=体験。読む人の納得・共感をつくる編集的文章術」に参加しました。講師は、編集家の松永光弘さん。


『ささるアイディア。:なぜ彼らは「新しい答え」を思いつけるのか』
松永さんが、クリエイターの方々に聞いたアイディアの話。好評発売中です〜

いつの話のことを書くねん、って感じですが、今、その学びを残しておかないととふと思い、書くことにしました。

参加した理由

地域の新しい伝えかた学校発起人の片岡小百合さんから、「こんな講座やるよ〜」とご案内をいただいたことがきっかけでした。

ご案内いただいた講座の案内文には、このように書かれていました。

「情報をしっかり盛り込んだのにわかってもらえない」「ロジカルに書いたのに納得してもらえない」……。

仕事のなかで文章を書いている人からよく、こんな悩みが寄せられます。自分なりに書きかたを工夫してはいる。でも、うまく相手の気持ちに届かない──多くの場合、その理由は「文章を体験と捉えていない」ことにあります。

読む人にとって文章は、文字を通じた体験です。つまり「文章を書く」とは、読む人のために体験をつくってあげること。そこで伝えたいことを伝えて、納得して共感してもらうには、“そういう体験”になるように、情報を編集し、文章を構築していく必要があります。

この講座では、企画書や告知などで書く「説明・案内文」を題材に、そんな「体験としての文章」について、編集的視点から基本的な考えかたや作法を解説します。そのうえで、文章課題の提出および講師による個別の添削、講評を通じて、読む人に納得してもらい、共感してもらえる文章の書きかたを具体的に学んでいただきます。

プロジェクトの企画書を書いたり、地域イベントの告知文を書いたりと、だれかになにかを納得してもらうための文章を書く機会がある人におすすめの講座です。


私は特に仕事のなかで、企画書を書いたり、地域イベントの告知文を書いたり、だれかに納得してもらうための文章を書く機会は特になかったのですが(笑)当時、自分の思いを「伝える」ということに、ある意味行き詰まってしまっていた思いがありました。

自分の中に生まれてしまう、どうしても伝えたい思いをどうしたら伝えたい人に伝えられるんだろう?まっすぐ思いをストレートにいくら一生懸命伝えてみても、相手の心に本当に染み入ってるからわからなくて、いや、相手に届いていない気がしていて。でも伝え方がわからない。悩んでいました。

「情報をしっかり盛り込んだのにわかってもらえない」「ロジカルに書いたのに納得してもらえない」……。

仕事のなかで文章を書いている人からよく、こんな悩みが寄せられます。自分なりに書きかたを工夫してはいる。でも、うまく相手の気持ちに届かない

うん。そういうことありそう。

──多くの場合、その理由は「文章を体験と捉えていない」ことにあります。
読む人にとって文章は、文字を通じた体験です。つまり「文章を書く」とは、読む人のために体験をつくってあげること。

へえ。何を言ってるかよくわからないけど、そうなんだ。

この講座では、企画書や告知などで書く「説明・案内文」を題材に、そんな「体験としての文章」について、編集的視点から基本的な考えかたや作法を解説します。そのうえで、文章課題の提出および講師による個別の添削、講評を通じて、読む人に納得してもらい、共感してもらえる文章の書きかたを具体的に学んでいただきます。

この講座に参加すれば、たぶん、文章=体験の意味がわかるかもしれない。参加したい!

...この時は全く気付いていなかったけれど、そう、まさしく、自分はこの時「文章=体験」をしていたのでした(笑)

講座の内容

講座は全3回(120分×3)の講義。

第1回 
文章は体験の装置である。

2021年8月11日(水)20:00~22:00

第2回 
納得をつくれる文章の「型」とは(+課題出題)

2021年8月18日(水)20:00~22:00

第3回 
もっと伝わる文章を書くための心得(+課題総評)

2021年9月8日(水)20:00~22:00

 たぶん総数500枚以上?のスライドとともに、松永さんより講義をいただきます。(松永さんの熱というか本気というか愛というか、ひしひしと感じる濃厚な時間を過ごします)第2回と第3回の間には実際に課題提出があり、松永さんの添削をいただけました。

第一回目と第二回目の講義で、文章とは体験の装置であり、文章=体験とするための、文章の「型」があることを学びました。

この講座は、「あなたも明日から簡単に伝わる文章が書けちゃう!ハウツー教えちゃいます⭐︎」では決してありません。(もちろん自分もそのような講座を求めているわけではありませんでした)ただ、内容が難しいということでもありません。本当の意味で「伝わる文章とは何か」を自分の中に腹落ちし、理解できる状態になる、というか、そもそも共感はあるとしても、相手に100%納得できる文章なんてないんだ、そんなスタート地点にまず立ったのかな、と思います。

松永さんの講義は、本質からご説明されるので、最初まるで理解に及ばない(笑)そもそも文章=体験なんて考えたことがなく、文章は文章でしょ、としか考えていなかった人間にとっては、「やばい、ついていけないかも(汗)」が最初に起こりました。

しかし、松永さんの説明をひとつひとつ頭の中で組み立てながら聞いていくと、「あれ、言ってること、たしかにわかるかも」に変わってくるのです。

「今までそうは考えていなかったけど、たしかにそうかもしれないぞ?」

2回の講座を終えて自分の中に残った気持ちは、上記のとおりでした。

いよいよ今度は自分が文章を書いてみる番。

頭でわかったけど、本当に書けるのかよ〜と不安になりつつも、課題の文章に向き合いました。

文章を書くにあたり、どのような体験を生み出す装置とするか型に沿って設計をするところ、すなわち、その文章によりどのような体験が生まれるのかをじっくり考えること、文字がならぶその隙間にあるメッセージをどう伝えるか(これを文脈というのか?)、そして想像することが必要なのですが、私はその体験をじっくり考えることをしながらすごす日々がとても彩り豊かで楽しかったです。

自分ではなく、思いを伝えたい人たちは誰かを思い浮かべながら、自分とその人たちとの接点を考えてみたり、関係性を考えてみたり、その人たちにとっての魅力はなんなのか、その文章をうけとるとどのような感情が起こるだろうか、視点や観点や切り口を切り替えながらそういうことをたくさん考えながら過ごしていました。

その時、自分の中に起こったおもしろい変化があります。街中のあらゆる「ことば」「文章」がとてつもなく気になるようになってしまったということです。キャッチコピー、CM、歌詞、世に出ている広告が気になったり、誰かが話すスピーチが気になったり、読んでいる小説の一節が気になったり、祖母が普段やっている川柳も気になったり。だれかに何かを伝えるというアンテナが自分の中に立っていると、「これは誰がどんなコトをつたえたいメッセージなのだろう?」とワクワクが止まらなくなってしまう。また、そのメッセージが伝える魅力に共感すると、自分の感情との共鳴が起こり、胸が高鳴る。いいかえると、感性が豊かな自分になっていた、ということなのかな?と思います。よくわからないけど、しあわせな時間をすごしました。

そして、いざ文章を書いてみると。

めっちゃすんなり書けました(笑)
うそだろ、ってくらい。

推敲はそのあと何度もしたけれど、その時与えられたテーマに沿って400字くらいの文章をすっと書けてしまいました。松永さんマジックかもしれないし、でもこれはマジックというより、「そうかも!」「ほんまや!」に変わったことということだと思います。(今、「ほんまや」を言ってるさんまさんが頭の中に思い浮かんでいます)

学んだこと

松永さんの添削をいただき、あれだけ考えたのに、私はそもそものテーマ設定入り口を思いっきり間違えていた、という大ミスを犯していたということは判明したのですが(笑)

講義で教えてもらったポイントをおさえ、意識しながら、実際にアタマと手を動かして、考えたことを文章に落とし込んでいく経験は今ふりかえっても自分の血肉になっています。また、常に深めていくことで、もっと伝えることが上手になっていく自分になれるのではないかなと思っています。

また、課題の文章を提出した際に、自分的にどうしても納得のいかないというか、いくら考えても、相手にどう映るか不安な一文がありました。結局、「こっちだ」と決めて、提出はしたのですが、その不安の乗り越え方について、松永さんからコメントをいただいたことが、今も胸に残っています。

引用しちゃうけど、怒られるかもしれない(笑)
その際は、すっとすぐ消します(笑)

門馬さんは「読む人に起こっていること」を想像できる人だと思います。そのぶん、悩んだり、心配になったりすることも多いかもしれません。もしそうなら(ちがったら読み飛ばしてください(笑))、あえてきびしいことをいうと、書いた文章にしっくりこないところがあったり、違和感があったりした場合は、それが解消するまで徹底的に向きあっていくことをおすすめします。語順を入れかえたり、能動・受動を入れかえたり、あれこれ試行錯誤しつつ……。時間もかかりますし、手間もかかりますが、そうするうちにいろんなことがつかめてきます。がんばってみてください。


このコメントをいただいたとき、わたしは「そっか、あきらめなくていいんだ」とすっと心に入ってきました。徹底的に向き合うこと。常に自分に向き合っていきたいな、と。自然に素直にそう思えたのです。

相手に届いたときにどういう映像が見えるかの解像度。ピンホールカメラを通して映る映像の解像度はまだまだ低く、ぼやっとしていると思います。これから文章を書く経験をもっと増やして、少しでも高めることができたらいいなと思っています。

自分の思いや伝えたいメッセージがあるのに、どう伝えればいいんだろう、よりよい伝え方は何なんだろう、相手の気持ちがわからないという悩み。

この講座を通して、「どう伝える」というよりは「どう伝わるか」その感覚・視点を持てたのが一番の学びになりました。

来年も企画されるのかな?笑
その際は、とても素敵な講座なので、ぜひご興味あれば、みなさん参加してみてください!

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