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1. エーレ海峡の光
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10/18 Malmö
海を渡る時にしか見えない光がある。"海峡"という言葉の手触りがとても好きだ。本来ざらざらとした記号であるはずのことばが、存在しない記憶と結び付いたそのとき、途端に目には見えない輝きを放つことがある。
海峡を越えたい、マルメに行こう。
昨日はよく眠れなかった。黎明を過ぎる頃には目が冴えていたので、列車の出発時刻まで、昨夜暗さによく見えなかったコペンハーゲンの街を歩くことにした。
夜ご飯を食べていなかったせいで、とてもお腹が空いている。コペンハーゲンはミュンヘンに比べて物価が異常に高いので、近くにスーパーを見つけると、足早に駆け込みピザパンを買った。
コペンハーゲン中央駅に到着し、マルメ行きの列車を待つ。ミュンヘン中央駅と比べて些かこじんまりとしているが、赤煉瓦の外壁とアーチ状の骨組みがアンバランスな温かみを生んでいて、この街にとても馴染んでいる。
海峡を、国境を越えるといっても所要時間は50分ほどで、ちょうど京阪沿線で京橋から出町柳までと同じくらいだな、と自分が持つスケールで測り直す。普段京阪を利用する時は、アルバイトの帰りに疲れて寝ている事しかないので、同じ50分の移動でも持つ意味合いが大きく変わってしまう新鮮さ、恐ろしさが楽しい。
黒いチューブ型の列車がやってきた。そして海峡を越える。
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午後に到着し、スウェーデンに留学中の友人と合流した。留学が始まってからもうすぐ1ヶ月が経つけど、いまだに外食をした事がなかったので、せっかくの再会にとピザを食べることにした。
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夕方にはコペンハーゲンに戻る予定だったので予定を何も立てていなかったが、近くにマルメ博物館があるのを知り、ピザの代金を支払ってすぐに向かった。近くに小学校があり、子どもの声が聞こえる。道行く人の話し声はこの土地の言葉として耳に入ってくるのに、子どもの声が束になるとどこの国でも同じように聞こえるのは何故だろう。
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博物館をでると、スウェーデンの暖かさに驚いた。風がないとまだ北欧も夏の名残りを感じる。
16:30 マルメ中央駅に向かう。再び海峡を越える。
コペンハーゲンに着いたのは午後5時を過ぎた丁度夕刻の辺りだった。明日のフリーマーケットは基本的に現金しか使えないらしく、中央駅でデンマーククローネを作った。
暗くなるまでまだ少し時間があったので、かねてより行きたかった本屋に行くことにした。Åboulevard通りを北上していると、5つ並ぶ湖のうち、真ん中にあるSortedams Soが見えた。湖面と歩道の高さにほとんど差が無く、南側の建造物がその全てを反射させている。日本ではみる事ができない景観に息をのむ。
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それから10分ほどして、アートブックの専門店『Bladr』に辿り着いた。
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閉店まで20分と時間制限がある中で、到底見切れるはずのない量のzineが並んでいる。この留学を帰国後zineにまとめるのが一つの目標なので、今日はほどほどに、また明日再訪してじっくり眺めることを誓い店を後にした。
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そのままの足で、わたしと友人はMikkellerの本店に向かった。
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コペンハーゲンには美味しいビールがたくさんあり、Mikkellerもそのうちの一つだ。渋谷にも店舗があって、そっちはまだ行った事がないので、次東京に行く時は必ず寄りたい:) その友人とは10年来の付き合いで、同じ地元からコペンハーゲンで再開できたことを喜んだ。
end
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