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Vol.003 「適正な明るさ」ってなに?〜露出の話〜
当たり前ですが、カメラは光がないと何も映りません。「あれ、おかしいな?」と思ったら、レンズキャップがついたままなんて事もあります。(笑)
カメラの中に光が取り込まれて、初めて何かしらの像が映るのが写真というメディアです。
「取り込まれる光の量の多い少ない」が、そのまま
「画像の明るい暗い」となります。すなわち
明るすぎるなら、光の量を減らして暗くする。
暗すぎるなら、光の量を増やして明るくする。
ということになります。
光をカメラの中に取り込むことを
露出
そして、ちょうどよい明るさのことを
適正露出
といいます。また、
露出が明るすぎることを 露出オーバー
露出が暗すぎることを 露出アンダー
と表現します。
でも、適正って何でしょうか?
ちゃんとした基準はあるのでしょうか?
カメラなどに、なにか目安はあるのでしょうか?
製品の切り抜き写真など、色や形を正確に見せなければいけない時は、適正な明るさというのは比較的求められやすいと思います。(追求していくと、そうでもないのですが....。)
では、風景写真やイメージ写真などはどうでしょうか?適正露出の判断方法として
ヒストグラムを使って判断する。
(photoshopなど)ソフト上でRGB情報を見て判断する。
カメラの露出インジゲーターの指標で判断する。
個人が適正だと思う明るさを信じる。
このような方法があります。それぞれ説明していきます。
1.ヒストグラムでの判断
写真におけるヒストグラムとは、
写真を構成する一個一個の点(ピクセル)が、どのくらいの明るさでどのくらいあるのかを、ひと目で分かるようにしてグラフです。グラフを見ただけで、写真が暗いのか明るいのかを判断できます。
ヒストグラムの縦方向はピクセルの数、横方向はピクセルの明るさを示しています。
左は真っ暗、右は真っ白と覚えるとわかりやすいです。
山のピークがどちらに偏っているのかどうかで、おおよその適正露出の目安となります。
LENSの1Fを撮影した写真ですが
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こんなふうに、なんとなく適正な明るさだと思う画像は、ヒストグラムを確認すると、左右に偏りのないきれいな山の形をしています。(真ん中は中間の明るさです。この写真はグレーの壁が多いので、ピクセルの分布として、中間の明るさが多いことがわかります。)
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
あ、暗いかも?と思う写真はヒストグラムを見ても、左側に偏っています。左端をさらに超えてしまうと黒く潰れてしまい、ベタ黒としか表現できません。
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明るすぎ!と思う写真のヒストグラムは、反対の右側に偏っています。右端をさらに超えてしまうと白飛びをしてしまい、真っ白の状態になってしまいます。

もちろん、写すものの反射率や黒いもの、白いものがどれくらいの割合で写っているか?によって、この山のピークは左右に移動します。
この山がきちっと収まっていないと不正解ということはありませんが、大まかな判断として、迷ったらヒストグラムを見る癖をつけておくといいでしょう。
2.ソフト上でRGB情報を見て判断する。
例えば、上のような白、グレー、黒で構成されているような市販のチャート、単純に白い紙でもいいですが撮影をして
photoshop などの現像ソフトで開いてみます。
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情報パネルでRGBの数値を見てみます。
この数値ですが、各チャンネルごとに0から255の256段階で表示されていまして、ざっくり言うと
0は真っ暗に潰れる。
255は真っ白に飛ぶ。
その間の数字の上下で、それぞれの明るさを表しています。
適正露出を、こういったチャートで求める場合
グレーは115から128の間くらい。
白は250以上にならないように。
黒は20を下回ると潰れる危険がある。
みたいなことを、カメラマンは経験則として持っています。
(もちろん、その数値には個人の相違があります。)
スタジオなどで、商品撮影をする時など、こういう客観的に判断できるやり方で適正露出を追い込みます。
ただ、普通の撮影でこういうチャートを持ち歩くのも億劫ですよね。その場合、撮影をする環境でなにか白い紙を撮ってみるといいでしょう。そのときに、その白が白く飛びすぎないくらいの明るさが、おおよその適正露出といって差し支えないと思います。
3.カメラの露出インジケーターの指標で判断する
大体のカメラには、露出を目視できるようなインジケーターが表示されているはずです。
僕の所有するGFX100というカメラにも、もちろんそのインジケーターは表示されます。下記のパネルの下の部分
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これです。他のカメラもだいたいこんなデザインかなと思います。
真ん中がゼロ。右にいくとプラス1.2..、左にいくとマイナス1.2…と変化します。
これは、カメラ自身が考えてくれた適正露出と、現状の設定との差を表してくれるもので
0なら一致。
プラスはその数字分明るいですよ。
マイナスなら、その数字分暗いですよ。
と教えてくれます。
なので、この目盛りが0になる設定に調整することで
おおよその適正露出を求めることができます。
(マニュアルで露出を決めるときに役立ちます。カメラオートで撮る時は、こういうことをカメラがしてくれます。)
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この目盛りの1.2..の数値は
〜段
もしくは
〜EV
という単位で表現します。同じ意味で使います。この単語は、これから絞りやシャッタースピード、ISO感度、クリップオンストロボを学ぶ回でも頻繁に出てきます。
(〜段という言い方を、カメラマンはよく使います。)
露出というものを更に深く知るために、この単位を覚えておきましょう。
4.個人が適正だと思う明るさを信じる。
例えばイメージ写真などでは、見た目より明暗の偏りがあっても、その表現にマッチしていればそれがそのシーンの適正露出である!と思います。

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訴求したい表現に合致しているなら、ヒストグラムやインジケーターから離れていてもOKです。実際、インジゲーターを見ながら意図的に明るくしたり暗くしたりすることは多いです。(露出補正と言います。)ある程度の主観は入りますので、第三者などの意見を参考にしながら決定するといいでしょう。
このように判断をする方法を学びました。では、実際にどうやって適正な露出になるようにすればよいのでしょうか?
それには
カメラの設定を調整する
カメラ以外の要素(光の強弱)を調整する
大まかに分けて、2つのポイントがあります。
カメラ以外の要素(光の強弱)なら、例えば
外の光が強すぎるなら、少し日光が陰るのを待ってみる。
室内撮影なら、ストロボなどの光を調節して丁度いい明るさにする。
といったことを考慮、調整します。
さて、もうひとつのカメラ側の調整として出てくるのが
絞り
SS(シャッタースピード)
ISO感度
この3つの設定です。特に、絞りとシャッタースピードは、単に露出の調整だけではなく、写真表現の肝となる別の要素を担っている重要な機構です。
これらの役割と、関係性をマスターしてしまえば怖いものはありません。
でも、それぞれ深いお話になるのでまた次回に!