《書評》佐藤正午における特殊な「謎」│「ジャンプ」佐藤正午
本書は、佐藤正午氏によるミステリー小説。朝食の林檎を買いに出かけたまま、ガールフレンドの南雲は失踪した。彼女はなぜ東京の自宅に帰ってこないのか?行方と失踪の謎を、不本意ながら失踪された三谷純之輔が追うというもの。
本作は、ミステリー作品であり、当然、解決すべき謎がある。その謎とは、「彼女は何故失踪したのか?」である。本書評においては、この本を通して、「鳩の撃退法」(佐藤正午による長編小説,2014年出版)にも見られる、佐藤正午作品における謎の性質について論じようと思う。