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"Future's gonna be okay"と"7"のタトゥーをお守りに 扉の向こう、その先へ

SUGA | Agust D TOUR 'D-DAY'
ファイナル公演が終演した。

以前書いたように、このツアーは、Agust DそしてSUGAとともにミン・ユンギを解放する旅だった。

ファイナル公演での違いは、3日間それぞれにBTSのメンバーが1人ずつゲスト出演したこと。
1日目はジョングクさんが出て「Burn It」をデュエット、ソロで「SEVEN」を披露。

2日目はジミンさんと、待ち侘びた「Tony Montana」、ソロで「Like Crazy」。

3日目はナムさんと「Strange」。ナムさんは「"Indigo"の次のプロジェクト」として制作中の楽曲の中から、まだ名前もついていないけどお気に入りだという曲を披露した。

ソロ活動中のメンバーが、今後兵役までに大きなステージでこれだけのアミに会う機会があるかわからないこともあり(ナムさんは入隊前最後と言っていた)、その機会を作るユンギさんの器の大きさに惚れ惚れする。
そもそもユンギさんがソロツアーをやろうと思った理由の一つが、今後ソロでコンサートをするであろうメンバーに自分の経験を伝えるためだった。
まさに自分の舞台の一部の時間を使ってメンバーに経験させることになった。
そしてアミも、大きなステージでソロ活動中のメンバーのパフォーマンスを観ることができた。お互いにメリットしかない。
全てを見越したユンギさんの采配に感嘆する。

そしてもう一つ、ファイナル公演では「Life Goes On」の後に、昨年くらいからのBTSのさまざまなシーンを集めた映像が、BTSの「Life Goes On」に乗ってスクリーンに流れ、ユンギさんのソロコンサートでも7人の空気を感じさせた。

最後に、これまでの「Polar Night」に代わり、「Dear my friend」が歌われた。
この曲は、ユンギさんが過去に仲を違えてしまった友人への後悔が綴られている。
ユンギさんはこの曲を、泣きながら歌った。
最終日にはその前の「Snooze」から歌えないほど顔を涙で濡らして、肩を揺らすほど顔をぐしゃぐしゃにして泣いていたユンギさん。本編最後の「AMYGDALA」までずっと泣いていた。
終演後のWeverseライブで「メンバーや先輩たちも来ていて、昔は先輩たちを夢見ていたけど、今は自分が誰かの先輩になっていて、10年間はあっという間だと思ったら涙が出た」と語っていたけど、この曲を歌うときのユンギさんの顔を見て、もしかしたら過去にその友人と語り合っていた未来のことを思い出しているのかもしれないとか、「俺はいまこのステージに立っている。お前はどうだ?」と、もしかしたら一緒に思い描いていた未来に一人でいる自分、でも隣には家族のようなメンバーがいる自分——これまでの苦しかった年月と、それによって積み重ねた新たな絆を想っていたのではないかなとも思ったりした。
真意はわからないけど。

ただ、あんなに人前で大きく感情を見せる姿が珍しくて、だからこそその泣きじゃくる姿にこちらも胸が締め付けられた。
"ああ、彼は感情は普段あまり見せないけど、やっぱり内に秘めた炎は青い人なんだ"と改めて思った。
そして、コロナ禍でコンサートが全てキャンセルになりアミの前で歌えないことが辛くて両親の間で泣きながら寝たという話を思い出して、"この人からアミの前で歌うことを奪わないで"と心底願った。
子供のように泣く姿を見せてくれるほど、アミを家族のように思ってくれている。
「一人で泣かなければいい」と言っていた人が、たくさんのアミに囲まれて泣いた。
そんなアミの前にしばらく立てなくなる。
その事実がとても辛かった。

さらにユンギさんは、ずっと隠してきたBTS7人の友情タトゥーを、最終日にやっと明かした。
いろんな憶測を呼んでいたし、ユンギさん本人もずっと茶化してきたけど、その場所は、左肩だった。
普段ノースリーブを着ないし上着を脱ぐことも少ないユンギさんらしい隠し方だと笑った。
見せ方も、暑くて上着をはだけたら見えちゃったみたいな感じで、アミが興奮していたら「何かありましたか?」とやっぱり茶化す。
そんなに大げさなことじゃないとユンギさんは言うんだろうけど、でもやっぱり、その位置に大きく重い意味を感じた。
ユンギさんの左肩といえば、昔の事故で痛めてずっと苦しんできた因縁だ。「AMYGDALA」のMVでは、それが原因でAgust Dが目覚めたように描かれている。
ずっと痛みを抱え活動してきて、数年前には手術を受け、LAコンのときはテーピングをしていた。それほどに苦しめられた左肩。
そこへ、BTS7人の絆の証である"7"のタトゥーを入れたユンギさん。
今回の『D-DAY』で、過去を乗り越えたことは十分に伝わったが、"過去"の象徴である左肩に、7人の絆="未来"の証である友情タトゥーを刻み、過去と未来を背負って前に進む強い決意が感じられた。
"もう一人で痛みを抱えなくていい。7人が共にいる——。"

本当に最後の曲「The Last」が終わり、新たなVCRが流れる。
そこには「AMYGDALA」のMVの、影の部屋に閉じ込められたAgust Dの姿。彼が、あの時出られなかった扉へ向かって歩いている。

Agust D 'AMYGDALA' Official MV
Agust D 'AMYGDALA' Official MV

その姿が、ステージのユンギさんの背中に切り替わり、重なった。
まさにAgust Dとユンギさんが一つになった瞬間だ。(ユンギさんがまた髪を伸ばしていたのはこのAgust Dの姿とシンクロさせるためだったのかもしれない)
しかし、その顔はあの時のAgust Dの絶望に満ちた表情ではなく、優しい笑顔だった。
そしてユンギさんは、SUGAとAgust Dを自身へ集結した姿で、その手で扉を開けて外へ出て行った。
これ以上ないような満ち足りた笑顔で……。

終演後に映し出された"Future's gonna be okay"の文字。
「D-DAY」の歌詞であり"未来は大丈夫"という意味だ。
ユンギさんが扉を開けたその先は、願う未来なのかもしれない。
影の中で傷を負ってきたAgust D、表の世界で傷を負ってきたSUGA。そして全てを一つに背負うと決めたミン・ユンギ。
まさに、全てから解放された"D-DAY"だ。
ツアーで世界をまわってたくさんのアミに会い、その歓声と愛に包まれ、全身で受けた愛を抱きしめて、一人で向かった扉はたくさんのアミに見送られ、自分の手で扉を開け、外の世界=未来へ、これ以上ないような幸福で満ち足りた笑顔で歩き出して行った。
だから、きっと"未来は大丈夫"。
彼の全てが扉の向こうで幸せになってほしいと強く願った。

そして、ファイナル公演が終わった次の日には、もう兵役履行の発表があった。入隊延期の取り消し申請をしたと。
きっと、ここまでが全て計画されていたんだろう。
ツアーを完遂したら行く、と。

ただ、その発表を受けて自分がそこまでショックじゃなかったのは(めちゃくちゃ泣いたけど)、今回のツアーが終わったら……というのは暗黙でわかっていたし、それが早いか遅いかだけで、心の準備はできていたこと。もしくは、準備をさせてくれていたこと。そしてここまでツアーをまわってきて、アミに会ってくれて、活動する姿を見せてくれて、ずっと心を満たしてくれていたからだと思った。
アルバムとツアーを通して、SUGA|Agust Dの物語を終結させ、ミン・ユンギはもう大丈夫だと示してくれたからだと思った。
だから、空虚感はないし、もしかしたらユンギさんも、アミからもらった愛で自分を満たして行きたいと思っていたのかもしれない。
悲しむ暇も与えない、ユンギさんらしい優しさに、さらに涙が出てくる。

"Future's gonna be okay"
"未来は大丈夫"
これは、アミにとってもユンギさんにとっても、お守りのような言葉になった。
ユンギさんは「2025年に会いましょう」と約束してくれた。
2年後の未来、そしてその先の未来も"大丈夫"だ。
ユンギさんが自分を信じ、BTSを信じ、アミを信じている。アミも信じているから、大丈夫。
扉の先で、待っている。

アミのためにたくさん準備して、たくさん苦労して、たくさん考えてくれてありがとう。
たくさん愛してくれてありがとう。
ユンギさんからもらった愛を温めて待っている。
2025年に会える日を楽しみに待っている。
ユンギさんの新たな物語が紡がれるのを、待っている。


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