夢を追い続けること
今年の4月から始まったドラマ、「コントが始まる」を毎週楽しみにしている。
脚本と俳優陣の演技に毎回心を打たれて、1時間のドラマのはずが、2時間ほどの映画を見たような疲れを感じる。その疲れは心が動いた分の疲れで、見終わった後もしばらく「コントが始まる」のことしか考えられなくなってしまう。
1日以上経った今もまさにその状態らしく、こうして感想をどこかに吐き出したくなる。
あの頃は大変だったけどなんだかんだ楽しかったよな、と笑いながら語れるのは夢を追い続けてそれを現実にした人たちだけなのかもしれない。自分の夢までの道のりを人に話せるのはきっと極わずかな成功者たちに過ぎなくて、夢を追うことをやめてしまったその他大勢はそんな機会すら与えられない。
スポットライトが当たらない彼らの努力は誰にも知られることなく終わって、いつか薄れて消えていく。どれだけ頑張ったとしても報われなければそのときの頑張りがなくなったように思えてしまう。
メタ視点で考えると、マクベスの3人の努力はこうして物語としてドラマの視聴者に伝えられてはいるけれど、「コントが始まる」の世界ではきっとほとんどの人がマクベスというコンビ名すら知らない。知られないうちに生まれて知られないうちに消えていく。それが私はすごく寂しい。
もっともっと残酷なのは、私たちが生きる現実世界ではそんなことが日常茶飯事に起きていること。スーパーアイドルになるだとか世界的な歌手になるだとか、普通にサラリーマンやOLになるより険しい道を選ぶ人はたぶん私が想像してるより多いのだと思う。テレビで見る成功者たちはごく一部だから、私が知らないだけで夢を追い続けて諦めていった人たちがたくさんいるはずだ。
難しいとはわかっていても諦めきれない夢があってそれに向かっていく人たちはキラキラしている。たしかに、キラキラしている。でもそれは努力を続ける長い時間の中の最初の一瞬なのかもしれない。
まだ夢が現実になりそうだと思えている期間は多少辛くても楽しくてまた明日も頑張ろうと思えるけれど、自分の夢はもしかしたら一生夢のまま終わるのではないかと思い始めるとこれまでとこれからの選択が一気に不安になる。
もしあのとき普通の道を選んでいたら、今こんなに苦しくないのかもしれない。その考えが常に付きまとって次の1歩の足取りを重くする。
それでも夢を追い続ける人はすごいんだ。たとえ叶わなかったとしても、どうかそれまでの自分を肯定して誇りに思ってほしい。
マクベスの物語は終わってしまったけれど、私はほんの一瞬でもあなたたちに出会えてよかったと思う。