短編小説 僕と母の日記帳
子供は布団に入りながら、
期待顔で母を見つめます
「僕生まれ変わったらなめくじになりたいな」
「あなたがなめくじに生まれ変わったら、
その場であなたを踏みつぶしてあげるわ」
そう言って二人で笑いあったものでした
「あなたがなぜ文句を言うのか分からないわ」
母親は子供を鞭打ちながら怒鳴ります
「全てはあなたのことを思ってなのよ」
半分のできそこない青年は、
自らの1つしかない片腕を見つめつつ呟きます
「ああ、もし僕が1人の青年だったのなら
翼を広げてそのまま地平のかなたへ飛び去って行くのだけれどな」