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面接官が「本当は聞かれたくない」3つの質問
採用アドベントカレンダーの10日目の記事です。
こんにちは。HRBrainでVPoEを担当している川田です。
去年もCASTER BIZ recruitingさんのアドベントカレンダーに参加させていただいており、今回2回目です。
前回は非エンジニアの採用担当者に向けた記事を書いたので、今回は方向性を変えて、エンジニアの採用担当者や、エンジニアの転職希望者に向けた記事を書くことにしました。
面談・面接の質問についてです。
私はカジュアル面談や初回の面接をよく担当しています。
面談・面接では会社の紹介、相手の状況のヒアリングなどはもちろん、お互いに質問をする場合がほとんどです。
この質問というのがなかなかにやっかいで、どういう質問をするか、質問にどう答えるかによって大事にしている価値観やスタンスの輪郭がはっきりします。
転職者側の価値観やスタンスを見極めるという方向の記事はまあまあ見かけるので、今回の記事では逆に会社側の立場で書いてみることにしました。
面談・面接は会社が見極められる恐ろしい時間
面談・面接の主な目的は会社とお相手のマッチングを確かめることです。入社後に高いパフォーマンスを発揮する方かどうかを判断したり、相手から会社を見極められもします。
自分が主に採用のターゲットとしているソフトウェアエンジニアは現在かなり需要が多いため内定となっても入社せずに他社を選択されることも多く、会社がどう見極められたかが入社に至るかどうかを大きく左右します。
そのため面談・面接は相手の見極めに加えて、会社が見極められる場としての役割が大きくなってきていると感じています。
もし嘘をついてより良く見せたとしても、他の面接官が矛盾することを発言したり、いずれ入社することになったらすぐにバレます。なので嘘をつくことはできません。
対人コミュニケーションでは第一印象が大事と言いますが、面談・面接でも同じく初手どのような印象を持たれたかが会社の見極めにおいても大事で、面談・面接者は嘘がない範囲でどれだけ魅力的に思ってもらえるかに尽力する必要があります。
そう考えると、会社の人にとっては面談・面接は一回一回を真剣に挑む必要があり、事前に準備をすることができない相手からの質問は非常に恐ろしいものになります。もし会社側の立場の人が「素敵な出会いがあったら良いですね」くらいのカジュアルな気持ちで参加すると大怪我する可能性もあります。
世にも恐ろしい質問
本題です。
こんな質問をされたら一瞬言葉が詰まり、チャンスがあれば「ちょっとネットの調子…悪くな…し…」とかなんとか言って面談を中止したくなるような質問を考えました。
3位
今1人強力な助っ人が現れて、プロダクトに関連する問題をなんでも一つだけ解決してくれるとしたら、どういう人に何をしてもらいますか
この質問に回答するためには、会社が提供しているプロダクトについて、全体を俯瞰して的確に課題を捉えている必要があります。
もし「技術的負債が〜」なんて言おうもんなら、「そんなありきたりな回答しかできない人がVPoEなの?全然問題見えてないじゃんダメだこの会社」って思われるかもしれません。
また、更にその解決方法まである程度見据えていないと答えることができません。とはいえ解決方法が分かっていてそれが実現できる内容であれば既に行動しているはずで、もしただ行動できていないだけだとしたらそれもネガティブポイントと捉えられます。
事業ドメインやプロダクトを俯瞰した課題であること
解決までのストーリーが理解、納得できること
面談・面接の相手が、自分にこそ解決できる問題であると思えること
理想的な回答をするには、上記のような観点を踏まえる必要があり、瞬発的に考えるにはとても難易度が高いです。
2位
これまでの採用や組織作りを振り返ってみて、理想が100点だとしたら現在何点ですか?その理由と改善方法も教えてください。
方向性としては3位と同じです。違うのは、弊社では採用や組織作りはVPoEである私が全て決めてきたことだという部分です。
現時点が理想の通りだということはほとんどの場合ありえないので、回答として100点になることはありません。
また点数のギャップの理由をどう表現するのかがとても難しいです。
100点に近い点数を提示した場合
既に理想に近いのであれば自分の力は必要無いと思われれてしまう低い点数を提示した場合
低く評価されている人ばかりの組織に行きたいとは思わない採用の失敗と表現した場合
人を見る目が無い組織に選ばれたくないし入りたくもない組織作りの失敗と表現した場合
自分が面倒を見ないといけない人が多い印象を与えてしまう
などなど、簡単に思いつく理由を並べても全然魅力的に映りません。しかも、当然嘘はつけません。
この質問に対しては、組織の理想を定め、現実とのギャップを認識し、その解決方法に納得ができ、相手にとって自分が解決しないとしても期待が持てる内容になっている必要があります。
1位
事業の成長や維持のためにあなたにとっては望ましくない道を選ぶことが最適だと判断できる場合、どのような行動を取りますか?
望ましくないこと、というのは例えば
自分や自分が採用した人が会社からいなくなること
開発は全て社外に委託して、社内メンバーは管理等に専念すること
社内メンバー全員に、刺し身タンポポ作業だけをひたすら求めること
などです。
そんなことある?という内容もありますが、現実にはこうありたいという理想のイメージと、そのときの情報で下した合理的な判断とは食い違うことがそれなりにあります。
吉田松陰は「夢なき者に理想なし、理想なき者に計画なし、計画なき者に実行なし、実行なき者に成功なし。故に、夢なき者に成功なし。」と言っていますが、夢や成功は概ね近かったとしても、そこに至るまでのプロセスは人ごとに必ず少しずつずれます。
そのずれをどう捉えてどう振る舞うのかは、最終的に各々に委ねられます。
この問に対する答えは、私はまだ持っていません。望ましくないことの内容によっては受け入れることもあると思いますが、どこで線を引くかが決められていません。
みなさんならどういう回答をしますか?
おわりに
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
今回書いた質問内容は実際にされたものではなく、自分が投資家だったら投資検討先にこういうことを聞くだろうなという観点で考えたものです。
基本的には備えあれば憂いなしの気持ちでたくさん質疑内容を妄想しているのですが、その中でも常に回答が変わったり答えが出ていないものを3つ持ってきました。
これから転職活動をはじめようと思っている方はぜひこれらの質問を投げかけてみてください。
面接官の方は、ぜひこれらの質問がきたらどう答えるかを考えてみてください。
そしてあわよくば私までこっそり教えてください。みなさんどういうことを考えているのかとても興味があります。
それでは、みなさま良いお年を!