飯田深雪のレシピ「たらのフランス風煮込み」(とは言うものの)
とは言うものの、実際は煮込みというより「タラとえびのトマトクリームソースがけ」です。資料や出版物には「たらのフランス風煮込み Lotte Héloise(ロッテ・エロイーズ)」と掲載されています。が、しかし・・・ というあたりの余談は文末に収め、料理自体は美味しそうですね。冬は魚の鍋も良いですが、たまには洋食アレンジもいかがでしょうか。
材料(4人分)
たら 正味400g
巻きえび または芝えび 16尾
魚の出し汁 4/5カップ
バター 大さじ4
ブランデー 大さじ1
小麦粉 大さじ2
生クリーム 1/2カップ
トマトピューレ 大さじ1/2
塩、こしょう 各少々
付け合せ 粉吹きいも、パセリのみじん切り
作り方
1)たらとえびの調理
えびは殻付きのまま背わたをとり、たらはぶつ切りに4切れにし、塩こしょうする。
2)炒め
厚手の平鍋にバター大さじ2を熱し、たらを入れて静かに炒め、えびを加え、えびが赤くなったらブランデーをふり、フランベをしてアルコールを飛ばす。
魚の出し汁を加え、蓋をして魚が柔らかくなるまで蒸煮する。
魚は一度取り出し、保温しておく。
えびは飾り用に4尾を殻付きのままにし、残りは殻をとる。
蒸し汁はとっておく。
3)ソース作り
厚手の鍋に残りのバターをとき、小麦粉を入れて色のつかないよう炒め、魚の蒸し汁を濾し入れ、よくかき混ぜてとろみが出たらやや煮つめ、生クリームとトマトピューレを入れて混ぜ、塩こしょうで調味する。
4)仕上げ
殻をむいたえびを(3)に加え、深めの皿に(2)の魚を並べ、ソースをかける。殻付きえび、付け合わせを添えて、パセリをふる。
ひとこと〜復刻出版されない訳
煮込み、とは言うものの、より分かりやすい料理名は、タラとえびのトマトクリームソースがけ、の方が正確なかな、と思います。
深雪レシピ本は生前多く出版されましたが、今は見事にすべて絶版になっています。いろんな事情があるかと思いますが、資料からnote公開する作業を始めて分かったことは、これはかなり修正が必要な代物だということ。
今回のレシピも「ロッテ・エロイーズ」として紹介されていますし(出自不明)、その他多くのタラ料理が「ロッテ〜」と書かれていましたが、そもそもフランス語で「ロッテ(lotte)」はタラではなく「アンコウ」です。
その他、出自が不明な料理も多く、それらを「フランスの〜」「スペインの〜」と言ってしまっているあたり、校正も調査も行わず、彼女の強い思い込みで事が進んでいたのではと感じられることがしばしばあります。
また、note掲載時は省略していますが、すべてのレシピに化学調味料を使う人でした。実際に大量の化学調味料を鍋に入れてる姿を目撃したとの逸話もあり、時代性とも言えるかもしれませんが、このあたりも含めて、復刻出版はされないだろうなと感じてしまいます。
飯田深雪という人にも当然ながら光と影があるわけで、スタジオを継承している身としては、そのすべてを受け入れ、受け止め、人間飯田深雪の味わいを深められればと思っています。
とはいえ、戦後の日本に多彩な文化を紹介し、日本の食卓の彩りを増やした立役者の一人であることは、間違いありませんし、料理自体は美味しそうです。