TECH.C.札幌 ライトノベル&シナリオライターコースのマガジンです。学生作品やコンテスト情報、地元札幌のイベント情報などを発信していきます!【毎週月曜日更新】
振り返る過去は瞬く間に 僕たちは半年ぶりに顔を合わせたが、そこには久し振りという言葉も、距離感の測り直しもなかった。二十年来の友人だ。半年や一年会っていなくとも関係性に変化がないのは当然と言えよう。 居酒屋の隅で酌を交わし、スーパーで飲みきれない量の酒を買って僕の家で思い出話を肴する。 どちらかが言い出すでもなく、どちらかが気絶するように眠るまで今日の飲み会は終わらない、という事が決まった。 「俺たちの学生時代ってしょーもなかったな」 酔いと入れ替わりにやって
4年ぶりに会った大学生の衣子はずいぶんと変化していた。 堂々とした佇まいで車を降りて僕の前に立つ彼女を僕はたっぷり10秒間、呆然と見つめてしまう。 白を基調とした服装は流行を取り入れつつもその他大勢に埋もれない個性があり、8月の暑さに負けない清涼感を纏っていた。 僕たちが付き合っていた頃……中学生の時は衣子という名前がイモくさくて嫌い、と言ってそれに見合った格好をしていた。三つ編みおさげで猫背、校則をきちんと守ったスカート丈の地味で話しづらい、そんな感じだ。 周りの