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町内会役員の成り手がいない 義務ではなく、民主主義実践の場と考えよう 

 町内会役員の成り手がいなくて、やむなく町内会自体を解散する地域が出ているとの秋魁新聞の社説記事。
 問題の本質を考えよう。そもそも町内会は必要なのかが根源的な問いである。マンション管理組合は法が定める必置機関だが、町内会はそうではない。設置すれば行政の補助があるが、法的な設置義務はない。
 したがって住民が必要を感じなければ廃止してかまわない。だからなぜ新聞が騒ぐのかということになるが、なくなったことで実は生活に支障が生じている。新聞はごみ集積所管理や回覧板が回らなくなったなどを挙げる。ほかにも地域の世話役がいなくなって困っていることは無数にあるはずだ。
 
 ここで道は二つに分かれる。
 その一つは地域のこまごまとしたこともすべて行政の責任でやるべきだとの考え。自分たちは住民税や固定資産税を払っているのだからというのがその根拠。きれいな言葉では「大きな政府」指向である。だが、これを貫徹すれば地域や集落にも自治体のお役人が駐在し、住民の行動を指導することになる。加えて税金がいくらに上がるか見当もつかないことになろう。
 他の道は自分たちで極力扶け合ってやっていこうという方向。町内会が求められるのは本来がそうしたことのはず。この場合、町内会は独自の意思をもって行動することになる。行政の下請け機関化することはない。現在の法制はそうなっているはずだが、行政はそれを認めず便利な下働きをさせている。それで役員の成り手がいなくなっている。
 
 したがって問題解決の道は難しくない。町内会の本来の自主性を取り戻せばよい。自主行動組織とすれば、その役員に活動実費支給は必要となろう。町内会予算に計上し、なり手が多くなれば投票で選出する。各自の町内会費を公益寄付として住民税からそっくり税額控除することになって会員みんなハッピーだ。これで機能する。
 ただしここで終わっては詰まらない。町内会役員は実費弁償で世話活動をするのに比べ、市町村議会の議員の報酬は高すぎないかとなるはずだ。議員報酬を時間給(最低賃金並みでよろしい)に改める。こうすることで真に地域政治を考える人だけが議員に立候補することになる。カネで買収されるような江東区議会議員や広島県内の議会議員のようなことはなくなる。
 すべてこれ民主主義の基本。秋田魁新聞の問題提起が生かされる。

秋田魁新聞社説:大館の2町内会解散 地域維持へ市も努力を 2024年3月24日

 大館市で、町内会の在り方を考える機運が高まっている。市内の二つの町内会が昨年5月と11月に、それぞれ役員のなり手がいないとして相次いで解散したことが契機となった。役員の負担が重くなりがちな町内会の現状の見直しにつながるかどうか、注視したい。
 昨年5月に解散した町内会(加入約100世帯)では、十数年にわたり会長を務めてきた現在70代の男性が数年かけて後任を探してきたが、引き受ける人が見つからなかったという。
 解散は住民の判断として尊重されるべきだろう。一方で、解散に伴う弊害も出ている。それまで班ごとに行ってきたごみ集積所の管理や、回覧板による広報物の配布などのルールがなくなったことだ。
 これに対しては、地域課題解決に向けて市が設置した官民の組織「市支え合い推進会議」が支援。事務局の市社会福祉協議会が設けた住民の意見交換会では「町内会がなくなり、ごみ当番をしなくてもいいと思っている班もある」などの声が出た。一方で「分担してみんなでやらなければと思った」との意見もあり、当面は意見交換会出席者が協力してごみ集積所を管理することにした。
 市社福協は、昨年11月に解散した町内会に対しても状況確認を進め、支援も行うとしている。二つの町内会の解散を市全体に波及しかねない課題と捉え、活動する姿勢を評価したい。
 2町内会が解散する前の昨年1月に、市支え合い推進会議が全341町内会を対象に行ったアンケートがある。「運営の悩み」(複数回答)で多かったのは▽役員のなり手がいない(227)▽役員の高齢化(197)▽特定の人しか参加しない(162)―などだった。
 町内会が市町村から依頼される行政協力業務は、ごみ集積所の管理や広報物配布以外にも多岐にわたる。総務省所管の有識者研究会によると、行政協力員など各種委員の推薦、防災対策、高齢者の見守りを求められる町内会は全国的に増加。その多くを町内会役員が担わなければならなくなっていることが、なり手不在の理由の一つだ。
 有識者研究会は、町内会の存続には、行政協力業務を減らすなど市町村側の取り組みも重要だと説く。大館市の町内会対象のアンケートでは「(市などからの)依頼が多過ぎる」という自由記述があった。市には「地域社会を支えるパートナー」と位置付けている町内会の負担を軽減し、支援することが求められる。
 総務省の調査では、県内の町内会は5400余り(2021年4月現在)とされる。少子高齢化、核家族化が進む中、災害時の共助や伝統行事の継承にも関わる地域コミュニティーを、いかに維持するかが問われている。県内の他市町村でも、町内会の在り方に関する議論が深まることを期待したい。

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