8/n 手元を下げるか水平か ダウンアングル チェンソー、ソーチェーン(チェンソー用チェーン)、目立ての正しい理解
ソーチェーンサービスジャパン(略: SSJ)です。
SSJは当事業体の宣伝も兼ねて、タイトルの記事をシリーズ化してnote上に公開することにしました(2024年2月プレスタートです)。本記事の内容はXアカウントのhttps://twitter.com/SSJP2023 固定ツイートで先行公開していますが、noteで公開する内容は、Xアカウントで公開中の資料 「4D Sawchain Study」の「 V.1.25」以降の内容となります。
「水平視点角」…手元を下げるのか下げないのか、ダウンアングル、バーに対して水平に?
目立ての説明の際には「ソーチェーンの種類によって決まっている」とされることが多いですが、製造時公開情報では確かに種類、というよりオレゴンとそのOEMモデルにのみ設定されていますが、目立ての際は決まっていることはありません。どちらが良い悪いではなく、研げばそれぞれ手元を下げた時のカッター、水平に研いだ時のカッターになります。やりたい人はやれば良いということです。その正体について解説します。
効果と仕組
”丸ヤスリで水平視点角を付ける”(=手元を下げる)と、付けなかった場合に比べて、上刃仕上角、横刃仕上角共に鈍角化します。カッター単体の切れ味では低下します(ワーキングコーナーの負荷が増える為)が、その分ソーチェーンが横ブレしにくくなり=低振動化、まっすぐ切れやすくなるようになります。その為、(切れ味とはまた別で)目立ての仕上がり差異の許容度も上がります。加えて、フルチゼル以外のワーキングコーナーの金属量は減るものの、頂点を支える金属量(マウントボリューム)が増えるので、切れ味の持続性が良くなります。頂点の消耗が針葉樹に比べて激しい広葉樹では、この効果を特に実感しやすいと思います。スチールも新品時はトップエンドの切削角が明らかに鋭角ですし、90年代(←記憶が定かであれば)までは製造時に設定されていましたし、目立ての際の推奨角度にもしていました。スチールチェンソー本体の振動対策が進み、切れ味特化と分かりやすさに角度を振ったのだと思います(「硬さ」の話はまた別です)。
「上刃切削角」は水平視点角無の場合より、頂点とトップエンドの間で強い捻じれが生まれます(無しの場合でも、トッププレートのチルトと垂直視点角の選択である程度の捻じれが発生します)、上横仕上角で増えた負荷の分を相殺する仕組になっています。反面、水平視点角有、そのまま上刃切削角を維持しながら、無と同じ上刃仕上角にしたとすると、フルチゼル+ダブルベベルやスリーコナー=スクエアファイルほどではありませんが同じ効果が得られ、切れ味が向上しますが刃持ちは悪くなります。目立ての許容度も下がります。話の基準は水平視点角無の上刃仕上角なので注意してください。
よくあるエラー
研ぎ切れていない
2/nで紹介した「よくあるエラー」に同じく、新品時はメーカーごとにカッターの角度が異なるのと、新品時の直線形状を打ち消すまで「円」のヤスリで削り切らないと進みが遅く、振動でガスガスとした使用感になってしまいます。
水平視点角の起点
10度を超えて下げ過ぎ、上げ過ぎという話ではなく、0度の起点をバーにしてしまうのは要注意です。カッターのカーフ、ワーキングコーナーの幅、消耗度でカッティングポイント(CP)=頂点の座標は変化します。大事な頂点の尖り具合を崩してしまうことになるのです。狙って変える時以外は、0度の起点は常にCPにしましょう。余談: エラーとも起点とも話は変わりますが、消耗するとカーフ=CPとトップエンドの間の点間距離も変わり、カッター全体の負荷も軽くなるので「10度」という数値に固執する必要もありません。
続・フルチゼル(角刃): 旧型と新型
スクエアやヘキサチェーンの話ではなく、普通に丸ヤスリで目立てをするフルチゼルの話です。新型のフルチゼル(スチールRSシリーズ&ピコスーパー、オレゴンEXLシリーズ)には、パッと見た目で認識できるCPの外側に更にもう1つ、極小のCPが存在します。私以外「そんな細かいことはどうでも良い」だと思いますが、この形状を仮に「チゼルオンチゼル」とします。画像や見た目では認識し辛いですが、LPXやLGX、コピーメーカーのフルチゼルと並べてカッターの外側を指でなぞればすぐに分かります。
頂点が更に尖るのと、チゼルオンチゼルが消耗した後に更に普通のCPが出てきますので、切れ味と持続性が向上します(ナイロンコードにも同じ原理の形状が採用されているモデルがあります)。
これが水平視点角にどう影響するのかというと、「いつもの調子」で研いでしまうと単純にチゼルオンチゼルを潰したり、逆にチゼルオンチゼルにヤスリが当たっていないということが発生します。新品時に比べて切れ味が戻らない、いつもどおりにやっているのに…という、お馴染みの疑心暗鬼と試行錯誤のスタートです。最後に、この情報に辿り着ける方が多くなるように検索ワードを羅列して終わりとします。
スチール オレゴン 角刃 目立て 違い 手元 下げ 上げ 切れ味 戻らない 新品 丸ヤスリ 角度