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台南旅日記 〜平成初期女児2人旅〜終点編

共に平成初期に生まれた肉村ハム蔵🐹🌻🍖さんとのノスタルジック&キュートな台湾・台南を大冒険した旅日記、上、中編に続き、終点編です。

↑合流〜保安路で意麵〜林百貨〜蝸牛巷〜マンゴーかき氷

↑水仙宮市場〜台南市第二美術館〜担仔麺〜大天后宮

街中にある大きな廟で神様たちにお祈りし、廟をあとにした。暑い。ちょうど、正午を回って少し経ったところ。生命の危険を感じる暑さとはまさにこのことで、廟の神聖なパワー?ホーリーなパワー?をめちゃくちゃ浴びたことも相まって、どっと身体に疲労感が襲ってきた。
ホテルとは反対方向にあるティースタンドに行こうと一旦歩を進めたのだけど、「いや、これ死ぬど」と思い、ハム蔵さんにホテルの方向にあるフルーツジュース屋さんに行きましょう!と提案する。

ガイドブックで見た、阿田水果店という、果物屋さんに行く。ここで、フルーツジュースを買って、飲みながらホテルに帰り、一休みしましょう。

果物屋さんは通りの角地にあった。小さなカウンターと、通りに椅子とテーブルが並べられており、すでに何組かの若いお客さんがおいしそうにジュースを飲んでいた。カウンターの中には、細身で短髪、シャキッとした、サングラスをかけたミステリアスなおばあさんが一人で切り盛りされており、なんかめっちゃかっこよかった。NANAに出てきそうだった。私はミックスジュースを注文する。
オーダーが続きお忙しそうだったが、「キビキビ」というわけではなく、「ゆっくり、落ち着いて」。カウンターの中に整然と並んだパパイヤやバナナたちは、どれもとても新鮮そうで、おばあさんに手をかけられるのを心待ちにしてるみたいにも感じた。

ちょっとしたテーブルがかわいい。ストローをぶっさして、ズゴーと飲んだ。生命の綱!って味がした
ジュース飲んで、好きな色合いの小径をゆく。幸せだ。生き返る。
と、おじいさんが、「ブロロー」と駆け抜けていった。小径ゆくバイク、静かだったなあ。

ホテルにたどり着き、滝汗べっとりの体をどうにかせんとし、シャワー爆浴びしてベッドにダイブする。カーッ!気持ちいい。夏の旅行は、下着を多めに持っていかないといけないな。自分の服から、かいだことのないような汗の香りがしていた。軽く水洗いをして、干す。

しばし休憩しながら、次の行程について協議する。ホテルから南に行ってみようか。スーパーに行ってお土産を買い、台湾のお茶屋さんに行ってティータイムをし、チャイナシューズ屋さんも見てみようか。よし、そうしよう。20分ほど昼寝をしたあと、起き上がり、胃に違和感を感じる。

お、おなかいたい…かも…(定期)

心当たりしかない。慣れない暑い中を歩き、水分を爆飲みし、シャワーを浴びて冷房で急激に身体を冷やした。ハム蔵さんにはしばし自由にお過ごしくだされ…とお願いし、ちょっと寝ることに。ハム蔵さんは、白湯を作ってくれて、薬もくれた。女神。。。お腹痛い人に白湯を作れる、そういう人になりたい。白湯沁みたぁー!
昔から旅先で、食べ過ぎ、というほど量は食べてないと思うのだけど、胃を驚かせてしまうナ。名古屋の味噌カツ、チェンマイのスタバでフラペチーノ、輪島温泉の夕食バイキング後のマッサージ、ソウルのバナナ牛乳とヨーグルト…苦々しい思い出が頭を駆け巡る。胃を鍛えるってどうしたらいいのだろうか。

ハム蔵さんがお散歩から帰ってくるまで、実にぐっすりと眠っていた。多分、延べ2時間ぐらい眠っていた。旅先で勿体ないけど、休みをとりながら参らないと、駆け抜けられないからな、旅程。
眠っている間に雨雲が忍び寄っていたようで、どしゃーっとスコールが降ってきた。稲光がビカビカ。明日の朝、台南を発つ。明日の今頃は台北にいて、最後の夕食を食べてる頃かあ。なんかセンチメンタルになる。ハム蔵さんと次に会えるのはいつだろうか。
お腹が白湯などのおかげでだいぶ回復してきたので、再度街を出て私が行きたかった台湾のお茶屋さんを訪れることとする。

甲子園茶行中正店さん。一階はお持ち帰りできるティースタンドで、二階は本格的な台湾のお茶がいただける喫茶店になっている。台湾に来たら一度、おいしいお茶をゆっくりと友達と飲んでみたかったんだぁ。叶えられて嬉しい。18時を過ぎたお店の中は他に一組しかおらず落ち着いた雰囲気で、ハム蔵さんと向かい合ってゆっくり話した。「そういえば、会ってから初めて向かい合ってじっくり話しますね!」と気づいた。仕事の昼休み中にスタバで初めて会ったときも、京都でご飯に行った時も、カウンターで横並びだった気がする。なんか今更照れる〜

お店の店員さんが、お茶のメニュー表を持ってきてくれる。「こっちは花の香り、こっちはお茶が強い、これは炭の香り」など、日本語で一つ一つ丁寧に説明してくれた。やさしい。すごい。ハム蔵さんと同じお茶を注文しようとしたところ、「同じお茶でいいの?別のを頼んでシェアもOKですよ」というようなことを案内してくれて、優しー!と感動した。

写真に写ってないけど、右に大きいお湯が入ってるポットがある。お湯を急須に入れて、20秒計の砂時計をひっくり返す。20秒経ったら、透明の器にお茶を移す。手前の小さな湯呑みでお茶をいただく。
こんな雰囲気のお店。おちついておる
お茶についてくるお菓子は選べる。ちょっと量が多いが、素朴な味でうまい。暖かいお茶で胃が回復し、ハム蔵さんの分までもらって食べた←

暖かいお茶を五臓六腑に染み渡らせながら、おしゃべりに花を咲かせる。また仕事のこととか(ハム蔵さんも私も、旅先でよく仕事の話してたけど、私たちなんやかんや働くのとか社会について考えるのが好きなフレンズなんだろうなあ)、お茶屋さんを出たあと、どこに行くか?とか。ハム蔵さんとおしゃべりするのに慣れすぎて(?)、なんかずっと前から知り合いだったんじゃないかというぐらい、ふぬけた、脊髄反射みたいな返しもいっぱいしたと思う。

旅日記を書いている今から見て、この「台湾茶を飲んでる話」は2週間前のこと。帰って来てから2週間、またいつものように働いて、家事をして、ご飯を作って、古くからの友達と会って、義理の両親たちと旅行に行って、やや目まぐるしい日々が一瞬で駆け抜けた。言葉の壁とかで「わからーん!」と困るようなことも、暑くて胃がやられることもなく、なんか台南でハム蔵さんとゆったりした時間を過ごしたことも、「夏の幻」だったんじゃないかと思うほどに、遠いことのように感じる。上編、中編を書いているときよりもきっと忘れていることも多くて、思い出したくて、悔しくて、脳みその思い出をかきあつめながら書いています。一番現実味があるのは、スマホに残った写真よりも、クレカの請求額かも、と思ってしまうくらい、です。

ただ、楽しかったなあ。目に映る全てが新鮮なのにちょっと懐かしくて、暑くて、おいしくて、いっぱいおしゃべりして、歩いて、こういう日のために私は生きてもろもろと戦ってるんだなあと思った。

お茶屋さんを去り、せっかく台湾に来たので!と、夜市にいくことに。まだ雨も少し降っていたので、タクシーで…と、ハム蔵さんが率先して配車アプリで挑戦してくださったが、うまく捕まらない。むずい。Googleマップを駆使して、なんとか路線バスで行くルートを見つける。
バスに乗る。韓国の路線バスと似ているかも。走ってくるバスに「乗ります!!!🖐🏻」と手を挙げてアピールしないと止まってくれないし、運転も割とワイルド。降りるときは機敏に降りないと多分降り遅れる。

雨上がり、路面に車や街のライトがキラキラしてて、綺麗
ファニーな給水機。まじめにお仕事中です。
慢。街中から少し離れた住宅街。
佛 佛 佛

小北観光夜市、というところを目指す。小規模な屋内夜市があるらしい。しかし、行ってみると本当に想像以上に小規模で、嬉しい発見だった。

業務用っぽいスーパーと地元の人でにぎわう飲食店、「絶対ににせものやろ」というブランドのロゴが描かれた服屋や、アジアのマーケットでよく見る、妙な色合いの肌着が大量に売られている店。チープな音色を奏でる、無骨に置かれたUFOキャッチャー。地元のショッピングセンターの、25年前ぐらいの姿を思い出すような雰囲気だった。ただ、なんか懐かしいなと思うだけで、お財布を開くことは一度もなかった。

私たちが「懐かしいなー」と感じる平成の初期(あるいは昭和の後期からの延長線)の光景は、これから、どんどん少なくなっていくのかなあ。「残そう」と志すことがない限り、どんどん劣化して、どんどん破壊されて、気がついたらもっと下の世代の子たちの「懐かしい」に置き換わっていくのだろうか。それとも、誰かの目に止まることもなくそのままの形で朽ちていくのかなあ。ぽわぽわ…

花園夜市というかなり大規模な夜市にも歩いて行けそうな距離だったので、歩いてみることに。スコールが降り止んで、今日も湿ってるけど涼しい夜だ。

小北観光夜市の隣。スシローの上にジム!
小北観光夜市。ずらりと飲食店が並んでいるが、店の人気度に大きな差がありそうだった。
レトロなマネキン、ヌーディカラーなチークが可愛い
夜市から夜市へ。風が抜ける住宅街、街路樹の緑の香りが鼻腔を癒す。高級っぽいマンションの窓越しからはそれぞれの生活が垣間見えてずっと歩いていたい道だった。

歩いて10分ほどで、花園夜市に。

も、もしかして、台南の若者って全員夜市にいるんじゃ!?ってぐらい、若者がたくさんいた。人多い!昼間は全然見なかったのにな、若者。雨上がりなので、地面は結構ぐちゃぐちゃしている。サンダルを履いて来てしまったので、完全に間違いだなーと思ったけど、まあ気にしないことにする。

台湾の夜市に来たら、してみたいことがあった。射的とかの屋台ゲームと、エビ釣り、あと、勇気が出たら臭豆腐を食べてみたい。

まず、BB弾が入った銃で風船を破るゲームをすることに。100元払って、4ゲームできるらしい。ハム蔵さんと並んで、無心に風船を狙う。手元に確かな「撃つ」感触を得ながら、数メートル離れたところの風船を狙う。パン!と命中して当たれば嬉しいし、ぱしゅっ…と弾が空ぶってしまってもなんか嬉しい。「撃つ」とか「投げる」とか「壊す」とか、いつしかそういう感覚に飢えているのかもしれない。

夜市は、広い。広場に食べ物やゲームの屋台が整然と並んでいて、屋台と屋台の間の通りを縫うように歩く。ジュース屋、ステーキ屋、果物飴屋、たこ焼き屋など、日本の夏祭りと似ているけどちょっと違うラインナップ。歩を進め、臭豆腐屋が近づいてくると、自然と鼻呼吸を停止してしまっていた。アレを口に入れるのは、やっぱりまだ無理かも。鎮まりかけていた胃痛が、「ごめんだけど、臭豆腐は無理ですよ」と拒否しているのを感じた。

夜市の端っこで、エビ釣り屋さんを見つけた。ヨーヨー釣りみたいな金具が付いた糸でエビを釣り、釣れたら屋台の奥にあるコンロで網焼きにして塩焼きにして食べられる、というもの。一回30元。若者たちが、真剣にエビを釣っている。奥でエビを焼いている男女がいた。エビ、でけえ。

実家の近くのパチンコ屋さん、昔こんな塔が立ってたな(今はない)
次の日は月曜日なのに、みんな元気に夜遊びしてる
BB弾を銃に詰めて、風船を割るゲーム。快ッ感……破裂音っていいよね。版権…気にしない。
これは麻雀の牌でビンゴをするゲームらしい。
かねてからやってみたかった、エビ釣り!足にひっかかったけど、釣れなかった。エビは力強い

エビは、釣れなかった。金具がエビに引っかかって一瞬持ち上げたものの、あっけなくちぎれてしまった。釣れなくて、ホッとしていた自分がいた。この元気なエビを釣って、自分の手でしめて、その場で焼いて食べる行為をすることにならなくてよかったと思ってしまった。今度また機会があれば、再チャレンジしたい。そのときはぜひ釣って、台湾ビールを飲んで、プハーッとしてやるんだぜ。

ハム蔵さんは、フライドきのこが山盛り入ったやつを食べていた。私は、臭豆腐屋を通りかかるたびに密かに軽くえづいてた。ハム蔵さんは胃が元気だ。気持ちいいぐらい食べてらっしゃる。ハム蔵さんには引き続き、おいしいものをモリモリ食べて、素敵な記事をたくさん書いてほしい。私も、できるだけ負けないように、食べ歩き職人として追随したいぜ。

夜市の近くにあるスーパーで軽くお土産などを買い、タクシーで快適にホテルに戻る。この旅で初めてタクシーに乗ったが、安い。日本の二分の一ぐらいの値段かなあ。ホテルの前まで車をつけてくださって、ありがたい。
今日は朝の6時から精力的に動いたので、さすがに体に疲労感がある。命からがらシャワーを浴びて、明日の朝に備えて軽く荷物を整理して、「私ら、えらいな」などと称えながら寝た。普段の私なら、シャワーもそこそこに、髪を乾かさせずにベッドにダイブして、そのまま朝を迎えていると思う。

3日目🥩🚕🚄

6時に起床。ホテルから歩いてすぐのところにある、牛肉湯(にうろうたん)さんに行く。台南には牛肉の産地があり、とれたて新鮮の牛肉で作った素朴なスープ牛肉湯が、台南のイチオシグルメなのだ。

友愛牛肉湯さんは、朝の6時半からそこそこ賑わっていた。お店の前に並べられた椅子で食べる。朝早いから、屋外でもまだそんなに暑くない。優しい笑顔の店員さんが日本語メニューを持って来てくれる。牛肉湯は、普通の牛肉湯と「上等牛肉湯」があった。朝だし、昼からもいっぱい食べたいし、普通のでいいやあと思っていたが、おすすめは「上等」と促され、促されるままに高い方にした。ハム蔵さんはさらに「ラードご飯」なる、いかにも罪深いものも頼んでいた。ハム蔵さんは、いかなるときも「これはなんですか?」とか店員さんに疑問点を聞いてくれるし、カメラで記録に残すし、率先して場所や道を調べてくれるし、旅を楽しもう!という探究心がほんと気持ちのいい人だ。そして元気だ。見習いたい。ジャーナリズムに溢れている。いい記事書くわけだヨ!私もそうありたい。また一緒に旅行したいナァ。

スープは優しい味。お肉のぷりぷりコラーゲン?が、シャッキシャキの針生姜とマリアージュする
見てくれ、この優しい赤!いくらでも食べられる。ホイップクリームか?ってぐらい、甘い牛の味を感じた

やわらかな湯気とともに、牛肉湯とラードご飯が運ばれて来た。スープをすすると生姜と塩とお肉の味がふわっと口の中に広がり、超優しい。このスープ、水筒に入れて持って帰りたい。家の蛇口から出てきたらいいのに。月1ぐらいでいいから。赤みが残った新鮮なお肉もコリコリ?シャキシャキ?としていて、歯切れが良い。いくらでも食べられる。ハム蔵さんの分も食べた。ラードご飯も、文字通り、ごま油と卵と油の罪深い味がした。

ホテルのフロントでタクシーの配車をお願いし、名残惜しいけれど、ホテルを発つ準備をする。「Please call a taxi at AM7:30.」超簡単な英語だけど、すぐに通じて嬉しかった。私は、英語に限らず、多分たくさん言葉を持ってるし知っているのに、まだまだ他人に伝えようとする経験、他人から聞き取ろうとする経験と意思?が足りないのだなあとこの旅を振り返って思う。改めて、いいホテル、いい街だった。

ホテル外観。窓際の六階のお部屋でした🛋️
ロビーの椅子。昔友達がプレゼントしてくれた福井の漆の食器が売っていて、「帰ったら久々に使おうかな」と思ったのを今思い出した
ホテルの水回り。異なる模様のガラスがかわいかった。

ホテルが呼んでくれたタクシーで、びゅーんと高鉄台南駅まで。タクシーの中でも、流れていく街の景色を横目に、仕事の話とか自分の性格の話とかをしていた。今、このことを思い出していて、スピッツの「スピカ」の歌詞を思い出した。「幸せは途切れながらも 続くのです」。きっと、ハム蔵さんと台湾旅をしたことは、ふとしたときにそっと自分のことを慰めてくれる、励ましてくれる思い出になるんだろうなと思う。45分ぐらい乗っていたかしら、日本円で3,000円に満たないぐらいだった。安い。

ばいばい台南!

高鉄に乗って、台南とお別れし、日本の新幹線とそっくりな車両で台北に向かった。次に台南に来るときは、きっと私のモノを見る視点も、地面を歩く力も、モノを食べる胃の胆力も、暮らしも現状も少し今よりは変わっているのだろうと思う。いい風に、だと良いけれど、悪いように、かもしれない。
また台湾に来られるように、平和で、そして健康でいようと思うし、いてほしいと思うのだ。

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ささいな笹
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