ジェラート屋を開業したけれど半年で潰れそうになった話
本当にジェラート屋で食べていけるのか?
今、ジェラート屋をやっている人はどのような生活をしているのか?
ジェラート屋でイキイキと働く夢はあるけれど、開業準備を進めれば進めるほど怖くなってくる
このような不安はありませんか?
きっとこれから事業を立ち上げる人はみんな同じ不安を抱えていると思います。
私たちも子どもがいるなかで、会社という安定を捨てて、あえて夢を追いかける必要はあるのか?
ジェラート屋を開業して成功できるという根拠は何なのか?
これだけ借金を背負ってイバラの道を進むほど想いは強いのか?
自分自身に問いかける度に不安や恐怖で押し潰されそうになり、何度も心が折れそうになりました。
何より一番辛かったのは相談できる人が誰もいなかったことです。
ジェラート屋のイメージを夫婦で話し合っても、
他の飲食店の方から話を聞いても、
どうしても想像ができないことがたくさんありました。
なぜなら、現役のジェラート屋の経営者からじっくりと話を聞ける機会がなかったからです。
だから、最終的には「とりあえずやってみよう」ということで勢いでお店を立ち上げました。
その結果、、、
ジェラート屋を開業して半年で多額の借金を背負ったまま潰れそうになりました
あの時の恐怖は味わった人にしか理解できないと思うので多くは語りません。
ただ一言ポロっと口にしてしまった言葉があります。
それは「生活保護になるしか無いかな・・」
それほどまで追い込まれていました。
私たちがなぜ潰れそうになったのか?
そして、どのように立て直すことができたのか?
それらを全てこの記事にまとめました。
もちろん、全員が当てはまる内容では無いかもしれません。
しかし、かなりの割合で飲食店経営者が見落としているポイントでもあります。
私たちは、そのポイントを知り、ひたすら学んだ結果、経営を改善することができました。
飲食店は3年で70%近くが廃業してしまう業態です。
しかし、私たちはありがたいことに無事4年目を迎えることがでました。
さらに、家族の時間を優先するために週の中で一番の売上が大きかった日曜日を休んでも、普通の生活はできるくらいに安定しています。
その結果、週4日の営業でライフ ワーク バランスが整った日々を過ごすことができるようになりました。
もし、あなたがこの先、
◆開業に向けて少しでも不安を減らしたい
◆成功できる根拠を1つでも増やしたい
◆ジェラート屋を経営して理想の生活を手に入れたい
このように考えているのであればぜひ最後までこの記事をご覧ください。
ジェラート屋は日本の農家さんをはじめ、美味しい食材を守ることができる素敵な職業だと思っています。
なぜなら様々な飲食店がある中で、これほどまでに食材の味をダイレクトに活かせるスイーツは無いからです。
そして、SNSを使えば、あなたのお店だけではなく農家さんや生産者さんの支えにも繋がります。
だから、これからジェラート屋を夢見ている方を少しでも応援していきたいと考えております。
勢いでジェラート屋を開業した2021年7月
ジェラート屋としては最高の季節にOPENすることができました。
OPEN初日から連日たくさんのお客様に来店いただき
「ジェラート屋最高!!」と思いながら毎日を過ごしていました。
このまま順風満帆に行けるのかと思っていた矢先、
暑い季節の7〜8月が過ぎると徐々に来客数が減っていき、10月頃には大きな焦りを感じたのを今でも強く覚えています。
それでも季節の話題になりそうな果物や、野菜を使ってアピールをし続けました。
が、、、その効果は現状を変えられるほどのものではありませんでした。
私たちのお店の欠点
徐々に窮地に追い込まれていった私たち
実は、私たちのお店には大きな弱点が2つありました。
1つ目はお店がとても分かりづらい場所にあるということです。
観光地でもなければ、人通りが多い場所でもありません。
マンションとマンションの間に挟まれて、気をつけて探さなければ気づかない場所にあります。
とあるお客様から聞いた話ですが、最初は場所が分からず諦めた
という方もいたほどの立地が最悪です。
2つ目は駐車場からお店まで100mほど歩くということです。
高齢者はもちろん子連れの家族は来店しづらく、雨の日はかなりお客様に負担をかけてしまいます。
お客様にはこの2つのハードルを超えて来店してもらわなければなりません。
恥ずかしい話、開業当時はそんなことすらも問題ないと楽観的に考えていました。
結論、気軽かつ手軽に食べるジェラートのイメージとはかけ離れたテナントに入ってしまっていたのです。
一方で、他のスイーツ店はいつも繁盛しているように見えてしまい、
自分たちの飲食店経営に対する考え方の甘さを痛感しました。
私たちに足りなかったモノ
開業資金でお金を使ってしまい、
移転することも、新たな機材を購入することもできずどうしたらいいのかをひたすら考えました。
考え抜いた結果、たどり着いたのが『マーケティングを学ぶ』ということでした。
なぜならば、私たちにはマーケティングの知識が全くに近いほどなかったからです。
さらに、資金的に考えても、収入を増やすことができる方法は自分たち自身を成長させることしか方法はありませんでした。
だからマーケティングをひたすら学び、経営の知識をつけていきました。
結果的にそれが大成功でした。
マーケティングはいろいろな考え方があり、手段も方法もたくさんあります。
その中で何よりも大切で、私に一番影響を与えた2つのことをご紹介します。
それは
①『誰に(ターゲット)』
②『何を(提供価値)』
を届けるのか?
これを明確に定めるということです。
当時の私たちはそれらを決めることが大切だとわかっていても、まぁなんとかなるでしょと思って後回しにしていました。
しかし、今になってはっきりと断言できます。
「これら2つは開業前からしっかりと定めてください」
もし、開業後に変更しなければいけないのであれば、それはその時に考えればいいのです。
まずは、今の状態で考えられる『誰に』『何を』を定める必要があります。
この後、詳しく説明をしていきます。
『誰に』とは
『誰に』とは、いわゆるターゲットです。
いやいやターゲットなんてまだいいよと思っていませんか?
もし、そのように思っているのであれば、あなたは私たちと同じ道を歩むことになります。
なぜならターゲットが定まっていないと、八方美人のお店になってしまい
結果的に薄いファンしか集まらないお店になってしまうからです。
「薄いファン」とは、別の用事でたまたまあなたのお店の近くを通って、以前食べた時に美味しかったから来店してくれるような客様です。
一方で「濃いファン」とは、あなたのお店に行くために家を出て、あなたのお店を目指して来店してくれるお客様です。
お店の立地もよく、駐車場も整っているようなお店であれば「薄いファン」だけで経営していけるかもしれません。
でも、そのような場所は大手飲食店が入っていたり、
たまたまネットに載っていたとしても、
家賃が高額なので私たちのような経営者には難しい選択になります。
だらか「濃いファン」を増やす必要があるのです。
「濃いファン」が増えてくるとお店の立地の影響は少なくなります。
なぜなら「濃いファン」はあなたのお店を目指して家を出るからです。
その濃いファンを作るために『誰に』を明確にしなければいけません。
これで『誰に=ターゲット』を定めなければいけない理由をご理解いただけたでしょうか?
それではどのようにして『誰に』を定めるのか?
その方法を①〜④の段階に分けてお伝えします。
①あなたがお店の情報をリーチできる人は誰ですか?
まずは、あなたがお店の情報を常に届けられる人を考えてください。
なぜならば、新商品や、季節の商品を発売するときに
お客様にその情報を届けることができなければ独りよがりの宣伝になってしまうからです。
その結果、いろんなイベントを開催しても情報が伝わらないので誰も来ない状態になってしまいます。
だからあなたが発信する情報を常に見てくれる人でなければターゲットにはならないということです。
例えば私たちの場合は『インスタグラムでフォローしてくれている人』がリーチできる人になります。
もちろん、たまたまお店を見つけて来店される方や、他のお客様の口コミで来店される方もいます。
それはとてもありがたいことではありますが、ターゲットかそうでないかと考えたらターゲットではないということです。
理由は、情報を届けることができないからです。
ちなみに私たちのお店の周りにはたくさんのマンションが建っています。
その方々が近いからといって来店してくれるのかというとそんなことはありません。
なぜならば、Instagramで私たちのお店をフォローしていない人や、
そもそもインスタグラムを使っていない人もいるので情報を届けることができないからです。
なので、まずはあなたが情報を頻繁に届けられる人を最優先でターゲットにするようにしてください。
とはいえ、情報を届ける方法はビラ配りでしょうか?
お店の前で旗振りでしょうか?
そんな労力をかける時間もお金ももったいないです。
なので結論はSNSを使う必要が出てくるので、ほとんどの飲食店がインスタグラムを使っている人というのがターゲットの第一段階の絞り込みになると考えられます。
②どんな価値観を持っている人に届けるのか?
次にお客様の価値観を考えてみてください
これは専門用語でサイコグラフィックセグメンテーションと言います。
価値観とは
いいもの思考なのか?節約思考なのか?
都会的な雰囲気を好むのか?自然豊かな雰囲気を好むのか?
その他にも価値観を考える方法はありますが、この2つだけでも決めておくとお店の世界観や方向性が定まってきます。
逆にこの価値観がないと、どのような内装にするべきか
SNSでどのような雰囲気を発信するべきか
迷ってしまい進んでいく方向性があやふやになってしまいます。
③どのような年代、性別、所得、世帯規模、住所(エリア)、移動手段に届けるのか?
これは専門用語でデモグラフィックセグメンテーションと言います。
以下の例を参考にしてあなたのお店はどのような人をターゲットにするかを考えてみてください
例
年齢 35~45
性別 女性
世帯年収 1,000万
世帯規模 3〜4人
住所 〇〇市
移動手段 車
④そのターゲットは自分が考えている商圏にどのくらいいるのか?そして収益を得られるか?
例えば、私たちは開業当時、近くに高校や専門学校があったので学生がたくさんきてくれると思っていました。
開業して間もない頃は来店してくれましたが、残念ながら何度も来てくれるほど濃いファンになる方はいませんでした。
それはなぜか?
それは学生が頻繁に高額なジェラートを買うほどのお金を持っていないからです。
スイーツは若い人が来てくれると思いがちですが、残念ながら若くてお金を持っている方は限られています(地域差もあるかもしれません)。
なので、ターゲットとした人の生活やお財布事情をしっかりと想像することが大切です。
また、商圏を考えるとは各市町村の人口統計データなどをみてターゲットとなる年齢層や平均収入、年齢と収入の分布、
さらに、年齢ごとのインスタグラムユーザー割合などを見てどのくらいの人数がターゲットになり得るのか?
そしてそのターゲットで収益が得られるのかを考えてください。
ここで客観的に立ち止まって本当に大丈夫なのかどうか検証をすることが、
とてもとても大切です。
もし、収益が得られないと判断した場合は迷わず再検討しなけえればいけません。
『何を=提供価値』とは
続いて『何を=提供価値』について説明します。
注意が必要なのは『何を』の部分を「ジェラートです」と言ってしまいがちですが、
実はそれは違います。
ここはジェラートや店舗、あなたの接客や世界観を通してどのような「価値」を提供していくのかということです。
その価値こそが『何を』に入るキーワードです。
例えば、ディズニーで考えてみます。
ディズニーの提供している「価値」は実際に公にされていませんし、されることは絶対にありません。
しかし、あらゆる判断をするときにその「価値」が基準になっています。
仮にディズニーの価値を「幸福感」にしたとします。
そうなると幸福感を感じてもらうために
ミッキーがいて
シンデレラ城があって
ショーがあって
アトラクションがあって
そして素敵な接客があります
これら全てを含めてディズニーは「幸福感」を私たちに提供しているのことになるのです。
それをジェラート店に置き換えてみます。
届けたい価値を同じく「幸福感」とした場合、
それを感じてもらうために
ジェラートがあって
店舗があって
磨かれたショーケースがあって
ジェラートを盛り付ける瞬間があって
あなたの接客があるのです。
言い換えれば、ジェラートも、接客も全て「幸福感」を伝えるための1つの道具ということです。
私たちの場合インスタグラムでさえもその「ある価値」を届けるための1つの道具です。
そして、私たちも「ある価値」を届ける想いでお店を経営しています。
ここは私たちの中心になる部分なので名言は控えさせていただきます。
それではここから「ある価値」はどのように作り上げればいいのか?
それをお伝えします。
『何を=提供価値』の作り方
①ターゲットを定める
②あなたの資産を知る
(資産とは人、スキル、お金、場所、情報、機材などジェラート屋に使えるもの全てのことをいいます)
③その資産で伝えられる「価値」は何かを考える
しかし、この中で注意が必要なところがあります。
それは人のスキルです。
これは、どこまでも伸ばすことができます。
さらに、夫婦や仲間で経営する場合、お互いに持っているスキルを組み合わせたら特別なことができる可能性もあるのでその辺りも含めて考えてみてください。
そして、考えて考え抜くことがとても大切です。
ちなみに、私たちは「ある価値」の部分に大きな変更はないものの経営を続けていく中で微調整することがありました。
まとめると『何を』とは「ターゲットが欲しくてたまらなくなるほどの価値」ということです。
ディズニーも何度も行きたくてたまらなくなるほどの「ある価値」があるから人々は魅了されているのです。
自分たちが持っている資産と想いとそして、ターゲット目線でじっくり考えていけば
これだ!!というあなたのお店だからできる『価値』が見つかると思います。
これと掛け合わせたら成功した
実はもう1つ私たちが学んだものがあります。
それはインスタグラムです。
インスタグラムも「ある価値」を届けるための1つの道具ですが、
私たちにとってはお店の情報を発信できる唯一の手段でもあります。
なので、
どのようにしたら多くの方に気づいてもらえるのか?
どのようにしたら来店していただけるのか?
どのようにしたら「ある価値」を届けられるのか?
それをひたすら研究し、学んできました。
それは
◆写真の撮り方
◆動画の撮り方や編集
◆伝えるためのライティングスキル
◆フィード、リール、ストーリーの役割
などなど
文章では書ききれません。
インスタグラムを使って広告をしていくと決めているのであれば、今の自分のアカウントでいろいろ試してください。
インスタグラムの機能を全く知らない状態から
いきなりお店アカウントを作っても「????」が並んでしまいます。
ぜひ色々と挑戦をしてみてください。
そして、くれぐれもインスタグラムを使うのであれば、ジェラートを紹介するのではなく、「ある価値」を伝えてください。
皆様の参考になれば幸いです。
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