【読書】『続・藪岩魂』打田鍈一著
山好きの方で「山と高原地図 西上州」を使用したことがある人は多いことだろう。この山域は標高こそ1000m前後と低いがアルプスに負けない険しい危険岩稜揃いのピークが多い。著者の打田鍈一はこの西上州の調査執筆を30年間に渡り執筆してきたこの山域のエキスパート=藪岩の神様である。
前著『藪岩魂』から約7年ぶりとなる続編で、打田氏も御年74歳ということもあり、登山路のないヤブこぎ多めの藪岩魂というよりも「寂名山」をコンセプトとした山の内容となっている。
打田氏の自宅のある埼玉県飯能の低山を始めとする初心者でも登れる初級・中級編から、登攀用具が必要な上級者向けの上級編の紹介、群馬・新潟の雪山11座の紹介+佐渡島の参考記録が並ぶ。
前回味のあった手書き地図が本著にないのが残念ではあるが、2020年8月の国土地理院の地図上でのルートを提示しているので実用度が高い。(地図製作アトリエ・プラン)例えば、これは上級編ではあるが南牧村鷹巣岩の北稜という通常の登山地図ではルートが明記されていないピークへのルートも記載されている。
また、甚大な被害をもたらした2019年の台風後の山行記録もあるのは貴重だと思う。果たして、自分が70代になったときに打田氏のように台風後の西上州山域を登る勇気はあるだろうかと考えると難しいなと。打田氏の藪岩魂は輝きを失っていないのだと心を打たれる。
本著を読んで登ってみたいなと登行欲が出る山はたくさんあったので来年あたり登ってみようと思う。まずは、鍾乳洞のある立処山、下仁田馬居沢集落にある秋葉山・ゴシュウ山あたりかな。
季刊誌「ワンダーフォーゲル」でNMB48のアイドル白間美瑠(みるるん)のガイドで登った妙義の秘峰「星穴」の記事も面白かったので、興味ある方は是非読んでみて欲しい。