2022.5.7
東京に戻る新幹線で、学生時代の友人を見つけた。
社会人になっても、しばらく付き合いを続けていた友人だ。
行動力があって、人懐っこい彼女。私とは真逆の性格だったけれど、それなりに仲が良かった。
特に何か理由があったわけじゃないが、いつの間にか連絡を取らなくなってまもなく3年になる。
前から不定期で付き合っていたから、3年という月日はそんなに大きくない。
ましてや、こんな世の中で3年のブランクなどよくある話だろう。
だから、声をかけることは難しくなかったはずだ。
あ、彼女だ。
少し大人っぽくなったけど、間違いなくそう。
なのに私は、顔を伏せて、伊達眼鏡を掛け直す。
お願い、見つからないで。
彼女は明るい性格だから、私だと分かれば声をかけてくるだろう。
久しぶり、この3年どうしてた?
きっとそういう話になる。
変化のない人生を送る私は、誰かに羨まれるような生活を送っていない私は、その会話がとてつもなく嫌だった。
彼女に「何も変わらない」と言われるのが嫌で、
私は声をかけなかったのだ。
それに彼女とまた話したいとは不思議と思わなかった。
私と彼女が友達に戻ることはきっとないのだろう、と。
なんとなくそんな気がした。