2022.6.28
出しもしない手紙を、今日も書いた。
届けることもできるけれど、
まだ出す勇気のない手紙だ。
文字を書くのは好き。
とんだ悪筆だけど
ゆっくり一言ずつ言葉を紡ぐと
少しずつ気持ちが整理される。
宛名にはあなたの名前を書いた。
同じ空の下で繋がっているね、とは言っても
きっとこれからもずっと交わることのない人生を歩むあなたに、
まるで親しい友人のように、はたまた愛しい恋人のように手紙を書く。
拝啓あなた。
短い梅雨が終わって、人を殺しそうな暑い夏がやってきた。
私は今日もこの茹だるような厳しい暑さを、
大地が焦げるほど照り付ける日光を、
涼しい部屋の中から眺めています。
まるでニュースの中の凄惨な事件を見ているように、同情だけはしながらも、他人事の顔をして、今年も夏を過ごします。
あなたはこの本を読んだかしら。
この映画は見たかしら。
この音楽を聴いたかしら。
そう思いながら、今日も涼しい部屋で一人きり
夏を過ごしています。
あなたは体調を崩してはいませんか。
日々の生活に疲れて、泣きたい夜を過ごしてはいませんか。
どうか健康に、毎日を笑って過ごしていますように。
そこまで書いて、疲れてしまって、
私はまた一日を終える。
どうしようもないこの気怠さを、
シーツの上に放り出して。