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子供が生まれて、自分が社会の中に入った
独身のころはもちろん、実際に子供が生まれるまで、子供の有無は自分たち個人の選択だと考えていました。
もちろん、それは別に間違いではありません。ただ、実際に子供が生まれると、自分がこんなにも社会の中にいたのかと実感させられます。まるで社会の隅で縮こまっていただけの人が、一気に社会の中心にやってきたかのように。
◆子供が生まれて増える接点
夫婦に子供が生まれると3人家族になります。これだけでもう小さな集団が生まれるわけで、社会とも言えるでしょう。
子供が生まれる時はいろいろな人にお世話になります。病院関係者はもちろん、両親にも頼りました。親族や知人・友人が子供の顔を見に来てくれたりもします。
子供が少し大きくなれば、住んでいる地域の担当者が新生児の様子を見に来る訪問イベントがあったり、病気になっていろいろな病院に世話になったりします。服や靴などのおさがりをもらえるケースもあり、これは本当に助かりますよね。
保育園や幼稚園に行くようになれば、子供に友達ができるかもしれません。これは両親にとっても重要なイベントです。ママ友という言葉があるように、親同士の交流も生まれざるを得ないですし、近所の公園に行けば顔見知りの子供やパパ・ママがいるのもふつうでしょう。
このように、子供が生まれると社会との交流がグッと増えるわけですが、私が「社会の中に入った」かのように感じた理由はこれだけではありません。その理由は、多くの人が子供に(そして一緒にいる私たちに)優しくしてくれるというものです。
◆自分が社会の一員だと改めて気づく
子供と一緒にいると、ほとんどの人が私たちに優しくしてくれます。電車で退屈した子供を変顔で笑わせてくれたおばちゃん、信号のない横断歩道で私たちに道を譲ってくれる運転手のみなさん、「はい、おまたせ」と買ったトミカを優しく子供に渡してくれる店員のおじさん。
子供が生まれる前まで私は、親兄弟から「やたらとゲームをやっているだけの奇妙な人物」とみなされていました。不思議なことに、子供が生まれただけでだいぶまともな人物とみなされるようになったと実感しています。
子供はかわいいから皆優しくしてくれるのでしょうか。では、なぜ子供をかわいく感じるのか。それは、子供たちが将来を担ってくれる可能性があるという、生物としての打算があるからではないでしょうか。
子供を生むか否かを決めるのは、確かに個人の選択ではあります。しかし子供の誕生は、社会の望んだことでもあるのでしょう。だからこそ社会と強く結びつきが生まれ、隅の方にいた自分が引き寄せられたように感じられるのではないか。
子供と過ごす日々はたいへんで楽しいです。一方、自分が急に社会の一員になったかのような(厳密にいえばもともとそうだったのを再認識した)驚きもあり、これが子供が生まれてからの喜ばしい点でもありました。
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