1人の企業法務が突拍子もなく「いつか、宇宙の法律をつくりたい」と言い出した理由
ご無沙汰しております。城居です。
今回は私が「宇宙の法律をつくる・更新する」という目標を設定したことについて、記事に残しておこうと思います。
理由①:終わりがない領域だと思ったから
「最終的には、宇宙の法律をつくりたい」と発言し始めたのは最近ですが、実は2020年頃から自分の中では「いずれ宇宙に関する仕事がしたい」と思っていました。
きっかけは、2社目の頃に受けたコーチングでした。(始めの頃の様子は下記noteに書いています)
上記のnoteでは「"攻略"という単語がしっくりきました!」程度のことしか書いていません。
ただ、その後も事あるごとに受講する中で、「自分自身が攻略し続けられる領域=終わりのない領域で勝負できたら、一生面白がりながら仕事できるのではないか?」と考えるようになり、たどり着いたのが宇宙でした。
ビッグバン理論によれば、宇宙は約137億年前に膨張を始め、現在も広がり続けています。
アインシュタインの相対性理論によれば、時空自体が曲がり、広がり続けるため、宇宙の終わりや境界を定義することは困難です。
そんな領域を他に見つけることはなかなか難しいわけで、「この分野なら一生攻略し続けられる」という仮説の元、興味を持つようになりました。
ちなみに、なぜ2020~21年頃には興味を持ち始めていたにも関わらず、この記事の発表が2024年になったのか。
正直、「それどころではなかったから」です。苦笑
2022年には現職へ転職したり、プライベートでも色々あったりと、元も子もない話ですが、考えて行動するための余裕や時間が作れませんでした。(実際、今の会社への転職時も「少しは近づくかな…」と考えてなくはなかったのですが…諸々を鑑みて、この目標に対する最短距離ではない選択をしています)
この7月で現職に入ってから丸2年が経過しました。
まだまだ毎日やること・やれることだらけの毎日は変わりませんが、「あと4か月で30歳か…」という思いもあり、ひとまず今考えていることを発信してみようと思い立ち、この記事に至っています。
理由②:2050年の日本においても、成長産業かつ世界へ発信できる領域である可能性が高いと考えたから
皆様は、みずほフィナンシャルグループ社が発表している「2050年のニッポン」という資料をご存知でしょうか?
https://www.mizuho-fg.co.jp/company/activity/onethinktank/pdf/vol015.pdf
資料では「問題を先送りにした場合」「理想的な"ありたい状態"」の日本の姿も描かれています。
「問題を先送りにした場合」の話が悲観的に書かれるのは致し方ないと思いやすいのですが、「理想的な状態」の話に関しても、"年金は万が一の保険、年金に頼らずとも生活できる社会"などと記載されるような状況です。
私には、16個年下・中学2年生の弟がいます。
「僕の元カノ、メンヘラやってん」と小学生の頃から言ってくるませた弟です。(メンヘラという単語はYouTubeで覚えたそうです笑)
と同時に、Macを使いこなしてストップモーションアニメを作るなど、私の持ち得ない類の才能も見せつけてくる存在です。
そんな弟に対して、「40歳になる頃、年金は"20歳から払うけど、万が一の保険にしかならないもの"になるらしいよ」とは、とても言う気分にはなりません。
未来ある彼らこそ、不都合になり得る事実を知るべきだとは思いつつも、心苦しいものがあります。
「それなら、この資料の中で、何か誇れるような内容は…?」と思っていたタイミングで見つけたのが「衛星データの利活用」や「月面ロケット構想」のページでした。
徐々に調べていくうちに、技術的な発展や後述する法整備なども含めた様々な面から「日本発でも、世界と対等に渡り合える領域である」という可能性を感じ、改めて着目するようになりました。
理由③:最先端の議論が行われる場所は、その分野に関する法整備を行っている国・地域だと認識しているから
理由②までだと、「宇宙ビジネスで一旗あげればいいのであって、法をつくる必要はないのでは?」という疑問が湧いて当然だと思います。
法にこだわる理由は、「日本が世界へ発信するためには、それに応じた法整備がなされていることが追い風になると認識しているから」です。
例えば、安楽死や尊厳死の問題は、一部合法化が進んでいる欧米(スイス・ベルギー・カナダなど)での議論が活発です。
議論が活発な国では、団体ができたり、基準が設けられたり、調査結果が文献として出てきやすかったりします。
宇宙法に関する点で言うと、日本は2024年現在で4つの法律を制定しています。2008年制定の「宇宙基本法」、2016年制定の「衛星リモセン法」と「宇宙活動法」、そして2021年制定の「宇宙資源法」。(いずれも略称です)
「宇宙資源法」を世界で4番目に制定しているように、現在は宇宙法の先進国と言える状態だと思っています。
だからこそ、小型衛星を宇宙空間に飛ばしてデータを取得することができるし、月に着陸して資源を採取することもできます。そして、それらを有効活用することができます。
ただし、この世界は日進月歩です。
いつ世界が追い付き追い越してくるかわかりません。なんなら、実はもう追い越されて置いて行かれているのかもしれません。
可能性ある産業において、その状態をみすみす見逃すのはもったいないかな…と思い、まずは自分から行動することにした次第です。
ちなみに、完全に余談ですが、他国で考えるなら、ルクセンブルクは面白い立ち位置をとる国だなと思っています。
宇宙資源法は日本よりも先行して制定していますし、なんなら先ほど例にあげた安楽死・尊厳死に関する合法化も行われています。
東京都よりも少し大きな面積で、人口は約65万人(杉並区より多くて、足立区より少ないぐらい)という国が、どうして国民1人あたりのGDP1位に食い込めるのか…というのは、どこかのタイミングできちんと確かめたいです。なんなら機会があれば行ってみたいです。
理由④:人生で最初に抱いた将来の夢が「宇宙飛行士」だったことを思い出したから
ここまで、なんとか左脳で書いている風にまとめてきましたが(少なくともそのつもりです笑)、結局は直感的にも惹かれていないと、物事は続かないと思っています。
私にとっては、「人生で最初に抱いた将来の夢」が宇宙飛行士だったことがそれにあたります。
きっかけは「ピコ」で"宇宙飛行士になって宇宙を目指すゲーム"をやっていたことでした。ブースターを大気圏で切り離してスペースシャトルで宇宙空間に到達する…というゲームをやっていた記憶があります。懐かしい。
幼稚園の頃に遊んでいたゲーム、そしてそこから生まれた一番最初の夢がここに来て結びつくのは面白いな、と個人的に思っています。
一方、もちろん課題も…
以上が、1人の企業法務が突拍子もなく「宇宙の法律をつくりたい」と言い出した理由でした。
ただ、それらを実現するには、当たり前ながらいくつもの課題があります。
本当は数えきれないほどありますが、ひとまず、直近でぶつかりがちな4つの課題を余談ながら記載しておきます。
課題①:英語をビジネスで使う場面に遭遇した経験がほとんどなく、英文契約の経験が少ないこと
宇宙業界はまだまだ人類にとって未知の領域を多分に含みます。
日本が絡む余地があると同時に、日本だけでは完結することが無く、日系企業での勤務経験しかない私にとっては、ハードルの1つとなっています。
まずはTOEICからかな…と思いつつ、実際に使わないと使えるようにはならないとも思う今日この頃です。
結局は、地道な積み重ねをどうやって、どこでやるかなんですよね…
課題②:弁護士資格を持っていないこと
究極的には「資格の有無は関係ない!」となるのかもしれませんが、まだまだ先端領域の知識に関して、"有資格者"のネットワークが強いことは否定できないと感じています。
課題③:社会人として&法務としての経験値が浅く、社会の仕組みの理解を深める必要があること
「法をつくる」ということは、日本において立法権を持つ国会での意思決定を必要とします。
法的な知識だけではなく、「パブリック・アフェアーズ」「ガバメント・リレーションズ」と呼ばれるような、ロビイングも含めた広報的なスキルも必要となります。
最近は、余裕があればルールメイクにまつわるイベントへ参加したり、文献を読んだりもしています。
課題④:宇宙のことをまだまだ知らないこと
調べれば調べるほど、「何も知らないな!」となって面白いです。
▼参加したイベント
https://www.sushi-tech-tokyo2024.metro.tokyo.lg.jp/ (宇宙エレベーター、面白かったです)
▼読んだ本
最後に
いくつかの理由から"宇宙の法律をつくる・更新する"という目標にたどり着き、この記事を書くに至りました。とはいえ、あくまで「現在抱えている課題・思いに合致した」感も強いです。
記事の内容に嘘偽りはないものの、進路には時の運もあります。
もしかしたら、今後、「ああ言ってたのになんで?」と思われるような行動を取ることもあるかもしれません。
ただ、なんだかんだ私の中での軸はぶれていない中での進路・行動を選択すると思います。気にかけていただける方はぜひお声掛けいただけるとありがたいです。
また、「なんだこいつ、浅い文章だな」と思われた方もいらっしゃるかと存じます。
完全なる私の力不足です。申し訳ございません。
まだまだ宇宙初心者、社会人経験10年にも満たないペーペーです。至らぬ点はぜひご教示・ご指摘いただけますと幸いです。
いずれにせよ、一足飛びでできる・携われるだなんてことはあり得ず…
こうやって文章にまとめてみると、なおさら「一つ一つの事象の積み重ねだ」と強く感じます。
何歩も出遅れてのスタートですし、今いる環境への感謝と貢献をおざなりにするつもりもありません。
驕らず、丁寧に精進します。
思いのほか長文となってしまい、反省しております…苦笑
最後までお読みいただいた皆様、ありがとうございました。
引き続きよろしくお願いいたします!
城居