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風のなかで逝きたい...

森を歩くのが好きだった。

朝露。樹木のにおい。

風が吹き抜け葉っぱがざわめく。

そんな朝が好きだ。

森の暗さが好きだ。

この前、ある学会に出かけた。
ACPという言葉を初めて知った。
アドバンスド ケア プラニング。
患者がどこでどう最期を迎えるか、事前に家族や医療者と話し合って、計画を立てておくことを言うらしい。

医療者たちは、本気で患者さんの最期の希望を叶えたいと思っているのが伝わってきた。

でも。

今の制度では、患者は病院または在宅で逝くしかないらしい。

自宅は嫌だ。家は生活する場所、生きる場所。死場所ではない。

病院は忙しない。落ち着かない。ゆっくり静かに逝ける気がしない。

屋根のないところで、風に吹かれて、私は逝きたい。

高い木々に太陽の光がやわらく遮られる場所で、湿った土の上に腰を落ち着けて......
太い幹に体を預けて、目を閉じたい。

ACPの話を聞いていて、ただ、そう思った。

病院でもなく、在宅でもない、第3の選択があったらいいのに。

私は静かに、森のなか、風に吹かれながら、眠りにつきたい。



(私のプロフィールはまだ内緒… そのうちリンク貼ります)


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